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mudsnail(マッドスネイル)
レポート
2014.07.05
この記事のカテゴリー |  ファッション | 

mudsnail(マッドスネイル)

気鋭のデザインチームがオリジナルラインをスタート 2次元を3次元に拡張するクリエイションの魅力

 アンリアレイジやケイスケカンダとの仕事で注目を集めるプロダクト内装デザインチーム「MUDSSNAIL(マッドスネイル)」がレディスシューズ/アクセサリーのブランド「Surface Dive」をスタート。2014年6月、その第1回展示会がぴゃるこ(渋谷パルコPART1・4階)で開催された。代表の藤本有輝さんを中心に開催されたトークイベントの模様とともに紹介したい。

 
「Surface Dive」の展示会は「ぴゃるこ」(渋谷パルコPART1)で6月に開催された。今後は順次店頭で展開予定だ
パンプスのラインは全4型
これまでもアンリアレイジなどに供給してきたアクセサリー。今回デビューしたオリジナルラインは7種類
6月11日(水)に開催されたトークイベント。出演者はMUDSNAIL代表の藤本有輝さん、アンリアレイジの森永邦彦さん、音楽評論家・吉見佑子さん、スタイリスト・山口壮大さん。モデレータはACROSS編集長・高野公三子が務めた
トークイベントにはアンリアレイジやぴゃるこのファンから服飾、メディア関係者まで幅広い客層が集まった
プロダクトや内装デザインから始まるMUDSNAILの歩みを振り返る

今回発表されたコレクションはレディスシューズ4型、アクセサリー7種類。いずれも3Dモデリングの技術を用いて製作されたもので、2次元のデザインを3次元に拡張することをテーマとしている。

パンプスのラインには「Depth of Pattern」というネーミングが施されているように、ヒールやアッパーにストライプやペイズリー、花柄などのデザインパターンが独自の奥行きで立体化されている。価格帯はシューズが25000円から37,000円、アクセサリーが6000円から33000円。グローバルファッションEC「KIEI Tokyo」で販売されるほか、実店舗ではこの「ぴゃるこなどで順次店頭に並んでいく予定だ。

MUDSNAILは2006年にプロダクト内装デザインチームとしてスタートし、ファッションや音楽をはじめ様々な分野で活動を展開してきた。インテリアからファッションブランドの展示会における展示制作、ボタンなどの服飾資材からアクセサリーまで幅広く手がけている。


MUDSNAILのクリエイションに注目が集まった大きなきっかけは、ケイスケカンダとアンリアレイジという国内屈指の若手ファッション・クリエイターとの数々の仕事だった。例えばアンリアレイジの「wideshortslimlong」コレクション(2012年A/W)で用いられた特殊サイズのマネキンや「低解析度=LOW」をデザイン表現したシューズ、「keisuke kanda」の女子用プラモデルや「洋服でデキた四畳半和室」などはそれぞれのブランドのファン以外にもインパクトを与えた。


そして2012年に東京オペラシティで開催された大型展覧会「感じる服 考える服:東京ファッションの現在形」(
ACROSSでのレポートはこちら、2013年の「IFF」といった外部での展示機会が増えたことで、藤本さんの創りだすクリエイティブに注目が集まっている。


3Dプリンターだからこそ造形可能な自由度の高いデザインに加えて、石膏や金属、樹脂、繊維など様々な素材のポテンシャルを活かし、複雑なプロダクトや立体形を創り出すことができる技術力が藤本さん/MUDSNAILの魅力である。


2014年6月11日には「ぴゃるこ」展示会会場でトークイベントが開催された。MUDSNAIL代表の藤本有輝さんを中心に、アンリアレイジの森永邦彦さん、音楽評論家の吉見佑子さん、スタイリストでぴゃるこを運営する山口壮大さんを迎え、ACROSS編集長の高野公三子がモデレートを担当。これまで藤本さんと仕事やプライベートで関わりのある面々が、藤本さん/MUDSNAILのクリエイションのバックグラウンドにあるファッションや音楽など、プライベートも含んだエピソードを紹介した。

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理科系の発想でアイデアを実体化できる点が藤本さんの仕事の強みだ
アトリエ(文京区千束)風景にはじまるmudsnailのリアルな現場話など、興味深い話が続出
森永さんと藤本さんの出会いは2008年で、仕事でのコラボレーションは2010年にスタート
「ぴゃるこ」の展示用キューブ兼座席もMUDSNAILの作品
パンプスのライン「Depth of Pattern」はストライプやペイズリー、花柄などのデザインパターンがモチーフ
ヒールやアッパーに3Dプリンターならではの立体的造形が施されている
さまざまな素材のポテンシャルを活かし、複雑なプロダクトや立体形を創り出す技術力がMUDSNAILの魅力だ
M&MやNOWHEREといった裏原宿系ブランドの「洋服は片手間でやっているような感じが格好よくて憧れていた」という藤本さん。もともと物理や化学が好きで「構造が理解できて、実験ができれば実現できる」のだという。ファッションの固定概念にはまらず、理科系の発想でアイデアを実体化できる点が藤本さんの仕事の強みであり魅力だと言えるだろう
 


藤本さんが神田さん(ケイスケカンダ)や森永さんと出会ったのは2008年で、アンリアレイジとの取り組みは2010年にスタート。販路など何もない状態から一つ一つ作り上げてきた、という藤本さんの歩みは、アンリアレイジがこれまで歩んできた姿勢に共通するものがある。
 

アンリアレイジやケイスケカンダという、ファッションブランドの中でも難易度が高いクリエイションを、プロダクトの制作や内装デザインというものづくりの現場サイドからサポートしてきた藤本さん。森永さんは彼とのものづくりについてこう語っている。


「理解が早くて、“こういうものが欲しい”というアイデアを投げかけると、スマートに応えてくれる。一緒にものづくりをしていく過程でそれがさらに洗練されていくのが分かるし、想像していた斜め上のビジョンが出てくるんです」(森永さん)


今回初めてオリジナルブランドを立ち上げるにあたってウイメンズから始めたのは
 「自分のノウハウを活かせるものをということで、身につけることができて、オブジェクトとして展示ができるものだったから」と藤本さんはいう。


今後、3Dプリンターが普及してコストが安くなっても、オリジナルを作り出すデザインや設計の重要性はむしろ高まる。ファッションのデザインからプロダクト化に至るプロセスにも大きな変化が起こりつつあるが、MUDSNAILの強みはそのデジタルとアナログをつなぐ発想と経験にある。


 
「3Dプリンターは現在のところ素材が限られているし、時間がかかるので量産には向いていない。量産するには3Dプリンターで作った原型を仕上げて、型を取って複製する過程が必要です。例えば石膏で出した型をアルミにするのか樹脂にするのか、という時の強度計算などには、アナログなノウハウが必要なんです」(藤本さん)
 

ファッションのシステムや固定概念に囚われないMUDSNAILの姿勢と高い制作能力は、ファッション産業そのものが大きく揺らいでいる現在、ますます存在感を増している。ファッションの拡張性を体現する、魅力的なプレイヤーである。


【取材・文: 本橋康治(ACROSSコントリビューティングエディター/フリーライター) 】 
 


MUDSNAIL 
東京都文京区千石4-22-8
http://www.mudsnail.jp/


MUDSNAIL 1ST EXHIBITION 2014.
「Surface Dive」
開催期間 2014年6月10日〜6月15日
PARCO PART 1 4F ぴゃるこ
150-8377 東京都渋谷区宇田川町15-1 PARCO PART 1


トークイベント
出演者:ANREALAGE 森永邦彦 / アクロス編集長 高野公三子 / 音楽評論家 吉見佑子 / スタイリスト 山口壮大 / MUDSNAIL 藤本有輝


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