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HMV record shop
レポート
2014.10.02
この記事のカテゴリー |  カルチャー | 

HMV record shop

渋谷にHMVが復活・レコードショップをオープン! 古くて新しいアナログレコードの楽しさを発信

「HMV渋谷」(2010年惜しまれつつ閉店)といえば、90年代「シブヤ系ミュージック」の発信源となった重要ショップとして記憶されている方も多いはずだ。2014年8月2日、渋谷の宇田川町にローソンHMVエンタテインメントがアナログレコード・CDの中古専門店「HMV record shop渋谷」を新たにオープンし、音楽ファンの注目を集めている。

アナログレコードの人気復活は世界的な現象で、デジタルで育った若い世代までもがレコードを買い求めるようになっている。日本国内では2011年以降、アナログ盤の生産は大幅に増加(生産ベースで2013年/2010年比が240%)。新譜をアナログでリリースするアーティストは、ダンスミュージックからロック、アイドルなど各ジャンルに及び、名盤のリイシューも活発だ。そうしたマーケット変化に対応するべくオープンしたのがこの「HMV record shop渋谷」である。


入りやすさと居心地のよさを追求したという店内。マニア層向けのレコードショップとは異なり通路も広く明るい。エントランスすぐの位置でHMV独占販売のアナログ盤をコーナー展開している
1階レジ前に広いスペースを設けてアナログプレイヤーを展開。女性客からも人気を集めている
アナログ盤をUSB経由でパソコンに取り込んで楽しむというスタイルが広がっている。このION「Archive LP」はスピーカー&アンプ内蔵の人気機種
世界の人気レコードショップのバッグコーナーは女性客にも人気
MUROのレコードコレクションの放出も行われた
ショップのロケーションは渋谷区宇田川町、井の頭通りの東急ハンズ前。かつてダンス系人気レコードショップ「DANCE MUSIC RECORDS(DMR)」があった物件。店舗面積は500平方メートルで、うち1Fが約292平方メートル、2Fが約208平方メートルの2フロア。東京都内では8店舗めとなる。
 
商品は、バイヤーが直接海外から買い付けてきたレア盤・名盤を中心とする約80,000点。60〜90年代の洋楽で、レコードとCDの比率は6:4。ジャンル毎にフロアを分けており、1Fがロックと邦楽、その他が2F。

輸入盤はロック、ソウル、ポップス、ジャズ、R&B、レゲエといったジャンル展開で、中でもUKロック名盤の品揃えに力を入れているのは英国発祥のHMVらしいセレクト。商品の品揃えについては専門性の高い現場スタッフの意見を重視しているそうだ。HMVの店舗で中古レコードを扱うのは同社初の試みであり、店頭での買い取りも実施。ソウルやレゲエの7インチシングルやミュージックテープなど、多様なフォーマットのソフトを充実させているのも特徴だ。
 
さらに邦楽ロック/ポップスのレコード、CDも取り扱っており、商品の約20%が新旧の邦楽ポップス。特にここ数年、新作をアナログ盤でリリースする国内アーティストが増えており、過去の名盤や名曲がアナログで再発売されるケースも増えている。

新しく、HMV独自のセレクトによる、独占販売のアナログ盤リリースもスタート。70年代ポップスなどをはじめとする、現在手に入りにくい名盤をアナログで再発する「HMV EXCLUSIVE」と、音楽ファンの間で人気の高い新進アーティストの作品を7インチで紹介する「HMV SINGLE CLUB」の2ラインで、現在までで約20タイトルを展開。これは、シブヤ系ポップスを全国に発信した「HMV渋谷」の記憶があるユーザーにとっては嬉しいところだ。

「40~60代の、かつて洋楽をよく聞かれていた世代の方たちをメインターゲットにしてはいますが、アナログ経験のない10代~30代のお客様もターゲットに見据えています。店舗デザインも若い方たちや女性にも気軽に入って頂きやすいよう注力しました」(ローソンHMVエンタテインメント経営企画室 渡辺昌平さん)。
 
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コアなレコードファンに向けた貴重なアナログ盤コーナー
7インチアナログとカセットテープのコーナーには予想を上回る人気だという。ちなみにこのビルは元銀行で、ここは金庫室
カセットテープを楽しむ音楽ユーザーも増加中。若い層にとってはこれもまた新鮮な音楽体験だ
レコードバッグやコンテナ、段ボールなどはシンプルで使いやすいデザインで統一されている
ヴィンテージのジュークボックスや超高級オーディオ、ターンテーブルなどさまざまな形で音楽を楽しむための仕掛けが施されている
2階のスペースではインストアイベントを開催。リアルタイムでストリーミング中継も行なっている
HMV record shop 店長の竹野智博さん
レジ前のスペースにアナログプレイヤーなどのアクセサリーをズラリと並べるという、レコード店としてはイレギュラーな配置もその現れ。アナログレコードに関心を寄せているのはコアな音楽好きばかりではなく、むしろ渋谷に集まる若いユーザーにとっては、アナログレコードを聴くのは新鮮な音楽体験であり、HMV渋谷の狙いはまさにそんなライトな音楽ファンたちを開拓することにある。
 
「ふらりと入ってこられたお客様がアナログプレイヤーに反応していますね。カップルだと男性がレコードを掘っている間に、女性がプレイヤーを触って遊んでいらっしゃることが多いです。これまでのレコードショップではあまり見られなかった光景ですね」(同店店長 竹野智博さん)。
 
ショップのロゴを配したレコードバッグも人気商品で、エコバッグのように気軽に使える点が女性客にも好評だそうだ。
 
2010年にローソングループとなったことで売上の基盤を整えたHMV。次の段階として新しいサービスや差別性のある独自商材を開発しようと考えた時に、浮上したのが中古ソフトとアナログ盤だった。
 
CDの販売額減少の原因には生産量そのものの減少も反映されていて、お客様が欲しくても手に入らない音源もあることが分かりました。そんななか、中古の音楽ソフトの市場を見ると、ここ数年海外で中古/新商品含めてアナログ盤のマーケットが大きく伸びていました。そこで中古とアナログ盤を商品として新しく提案するために、発信力の高い実店舗を設けることにしました」(渡辺さん)。
 
90年代からは随分数が減ってしまったものの、かつては“世界一のレコードタウン”といわれた宇田川町には、今も数店舗のレコードショップが点在し、レンタルを含めたメガショップも渋谷には集まっている。情報の発信拠点を作るのであればやはり渋谷に、というところにこの物件との出会いがあったという。
 
週末にはインストアライブやDJなどのイベントをコンスタントに開催している。さらにDJ MUROが放出したレコードの販売のような、渋谷のレコードショップならではの企画も開催。イベントはUstreamでリアルタイムのストリーミング中継を行い、ソーシャルメディアで情報を発信している。
 
世界的なアナログレコード人気の象徴ともいえるのが、“レコードショップと音楽ファンのお祭り”として2008年にアメリカでスタートした「Record Store Day(レコード・ストア・デイ)」。年々その規模は拡大し、日本でも2012年から本格的に開催されている。“ライトな層”を含めた音楽ファンのゆるやかなコミュニティ化が進んでいて、そのリアルな場としてレコードショップが今、再び存在感を増しているのである。
 
一方、音楽の楽しみ方としてはライブ興行もここ数年活況が続いており、その両方を繋ぐシナジーの可能性を持つのがローソングループであるHMVの魅力だろう。多店舗展開も含めて今後、渋谷でのチャレンジがどのように生かされていくのか、同社が試みる新しい音楽文化の発信に期待したい。 

取材・文: 本橋康治(ACROSSコントリビューティングエディター/フリーライター)

HMV record shop 渋谷

住所:〒150-0042 東京都渋谷区宇田川町36-2 ノア渋谷 1F/2F
tel: 03-5784-1390
営業時間: 11:00〜22:00

公式LINE アカウント:@hmvrecordshop


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