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STUDIO GLYPH(スタジオグリフ)
レポート
2016.01.06
この記事のカテゴリー |  飲食・フーディング | 

STUDIO GLYPH(スタジオグリフ)

“教育と食”をテーマに荻窪の文化拠点を目指す“レストラン+アトリエ”

2015年8月号の『美術手帖』(ファッション特集)の打ち上げパーティーで訪れたレストラン兼アトリエ「STUDIO  GLYPH(スタジオグリフ)」。昭和の雰囲気の外観と空間に素朴な料理がとても居心地がよかったことや、アトリエスペースが併設されているとなど、活動がユニークだったことから取材することにした。

JR中央線の荻窪駅から徒歩5分ほどの商店街の端に「STUDIO GLYPH」がオープンしたのは2015年の3月のことだ。

「最初はお店を始めようなんてまったく思っていませんでした」と言うのはオーナーの渡辺圭太さん。

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もともと先生になりたくて大学では教育学部に通っていたんです。でも、卒業してそのまま先生になることに疑問を感じるようになりました。経験もないのに人様の子どもを預かれないのではと。それで大学を卒業した後、もともと興味があった絵画を勉強し、美術教師の免許を取ろうと思い、京都の美大に通い直したんです」(渡辺さん)。
 
しかし、美大を卒業する頃には、教育学や美術だけでなく、飲食店のアルバイトで調理技術も身に付けるなど、再び、学校教育という枠組みの中に入ることに対して違和感が生じていたと話す。
 
「教育の現場に入らず、自分の力で勝負したいと思い、模索していたときにこの物件を借りる機会に恵まれ、では、何かおもしろいことをやろう!と思ったんです。まあ、僕がすぐにできることといったら飲食店。とはいえ、単なる飲食店ではなく、その背景には、何か“教育的なこと”をやりたいという気持ちがあり、1階をレストラン、2階をアトリエにしました。地域の人たちに自由に使ってもらったり、絵のワークショップとかを開いたりできる文化拠点のような場所を作りたかったんです」(渡辺さん)。
 
築50年という家屋の壁を塗ったり、ウッドデッキにするなど自らリノベーションを施し、開放感のある中庭や木を基調にまとめ、都心部とは思えないほどアットホームで、ゆったりとした時間が流れる空間に仕上がっている。
 
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エントランスへと続くこのウッドデッキも渡辺さん自身によるリノベーション。
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テラス席でも食事を楽しむことができる。
1階のレストランでは、武蔵野でとれた野菜を使ったイタリアンベースの料理が楽しめる。“武蔵野”とは、北端を埼玉の川越、西端を東京青梅、南端を世田谷の等々力渓谷、東端を上野公園とする武蔵野台地のこと。市場や直売所など、渡辺さんが自ら足を運んで野菜を仕入れているという。
 
「味は他の土地で採れる野菜と大きな違いはないかもしれませんが、なるべく地元の野菜にこだわっています。というのも、武蔵野の野菜には季節感があるからで、いつもその時期に合った食材を活かした料理を出そうと思っています。野菜がないというのも楽しいですよ。市場に行ったらネギしかないなんてこともあるけれど、そういうときはネギを何とかして料理にするわけです」(渡辺さん)。
 
飲みものも、東京の地ビールや武蔵野産のワインなどを数多くセレクト。今後は、“江戸東京野菜”という、東京の伝統野菜を使ったメニューも増やしていくという。
  
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当日採れた武蔵野の野菜と、店で栽培しているハーブ。
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ディナーメニュー。
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武蔵野エリアの各地の地ビールや、練馬区の公式キャラクター「ねり丸」が描かれたサイダー。
2階のアトリエは、基本的にはプロジェクターはもちろんのこと、キッチン付きのレンタルスペースとして配備。ギャラリーやワークショップの会場として利用できるが、今現在は団体客による貸切スペースとしての利用が多いのだそうだ。レンタル料金は1時間3,000円だが、個展などを開く場合は1週間単位での価格も設定されている。また、15人〜20人程度の団体客によるが多いという。
 
「当初はワークショップ専用のスペースにするつもりだったんですが、実際は、1階のお店を回していくのに手一杯で…。とりあえずこの1年はベースを作って、来年から本格的に絵画教室とかをやろうかなと思っています」(渡辺さん)。
 
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真っ白いレンタルスペース。飾られている絵は7月に開催されたSTUDIO GLYPH初のイベント“納涼祭”のワークショップで子どもたちが描いたもの。
このレストランとアトリエ(教室)がセットになって初めて、渡辺さんの思う「教育的なこと」のひとつの形となるのだそうだ。
 
「食と絵画、僕自身、そこから多くを学びました。絵画も調理も“世界の真理”がわかるんです。たとえば火の扱い方とか、風の吹き方とか、角(かく)とか、自然の摂理のようなものです。食や絵画を学べば、世界との付き合い方のようなものが身に付いてくる。そのことをたくさんの人と共有できるような場所にしたいですね」(渡辺さん)。
 
店名の“GLYPH”は絵文字や象形文字という意味で、そこには渡辺さんの仕事に対する姿勢や思いが込められている。
 
「絵文字とか象形文字というと、人間がいちばん最初に描いたラスコーとかアルタミラの洞窟壁画が思い浮かんだんです。あれって、動物ではなく人として誰かに何かを残したい、伝えたいというすごく純粋で素朴な表現だと思うんです。そんな風に、僕がする仕事は、ズル賢く頭をこねくり回してお金を稼ぐのではなく、東京中を走り回って野菜を仕入れ、それを食べてもらってお金をもらうという純粋で素朴なものでありたい。そういう意思表明でもあるんです」(渡辺さん)。
 
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ロゴマークは“自然の摂理”という言葉から連想された風見鶏。それを船に乗せることで、風や水などの自然と人間の知性が融和するさまを表現している。
ここ数年、使われなくなった古い家屋を少しだけリノベーションした小規模の飲食店が、住宅街にも増えている。飲食だけでなく、ワークショップやアトリエという“プラス機能”は、都心部ではなく郊外でもない、この中間の(都心部の)住宅街に暮らす人々のニーズにもフィット。“飲食+アトリエ”の業態は今後さらに増えそうだ。

【取材/文:大西智裕(ACROSS編集部)】


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