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レポート
2002.09.07
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伊勢華子/ISE HANAKO インタビュー

クリエイティブプランナー
「aSOBOT」がプロデュースした雑貨ショップ
「Mysiq」の前で。

「眠っていた力」が目覚めた日

そもそも私は、小さい頃から空想をするのが好きで、自由奔放な子供だったみたいなんです(笑)。親もふつうの学校に行かせるより美大に行かせた方がいいだろう、ということで中学受験をしたんですが失敗。ハチマキとかしちゃうような塾に通ってたんですけどね。そこからです。私の「フツーコース」を歩む道がはじまったのは。ふつうの中学、高校と進学し、雑誌も『Cancam』とかを読む子だったんですよ。そして、大学も経済学部に進学。クラブはチアーリーダー部です。全国大会で第3位だったんですよ(笑)。

でも高校3年生の時に初めて海外に行ったんです。イギリスの田舎の牧師さん家にステイをしたんですが、もう、それまで心の奥底にしまわれていた何かものすごいエネルギーが一気に吹き出した感じでしたね。いわゆるカルチャーショックです。それからは、大学の長期休暇のたびにアメリカの西海岸をバンで縦断したり、アフリカやオーストラリア、ニュージーランドにファームステイしたり。とにかく海外にばっかり行ってました。面白いものは日本にはない、なーんて思い込んでいましたからね(笑)。

海外に旅をするといっても、興味はそれぞれの国の人たちの「生活」。実は、それぞれの国が抱えている問題が、その国の人たちの生活に大きく影響しているんです。ですから基本的に移動するのはダメで、1カ所に留まり、そこの人たちが必要としていることを手伝ったりして、生活に触れる旅をするようになりました。ボランティアっていうと大げさなんですが、その村のために肥だめをつくったり、ウミガメの産卵を守るために海岸パトロールをしたり。

第2外国語が中国語だったということもあり、人民大学に約3ヵ月の短期留学も経験しました。でも、ニュージーランドに行った時でしたか、あまり感動していない自分に気づいたんです。アメリカとイギリスをミックスして小さくまとめた感じ、っていうんでしょうか。で、インドに行った。

日常の生活の中にある、ものづくりの「心」

そうやって旅を重ねるうちに、世界中に友だちができていました。ガーナでは学校をつくったり、ボスニア難民キャンプでの共同生活も経験しました。

私の場合、いろんな意味でそういう海外で出会った人から受けた影響が大きいです
ね。ちゃんと生活している人というか、あるものの中で豊かに暮らしている人たちに
出合ったから。お金や物質的に恵まれていて豊かというのとは違い、心が豊かとでも
いうんでしょうか。確かにお金も大切なんですけど、それがメインじゃない。でも本
当は、国内外問わず、ちゃんと暮らしている人はいますよね。

いずれにしても私は「ものをつくる」とき、そういう日常の中に、小さくてもすばらしい何かを見つけたり感動したりできる「心」を大切にしたいと思うんです。

で、ふと思ったのが、「子供の心はどんなだろう?」っていうことだったんです。
世界の子供たちの「たからもの」がぎゅっと
つまった宝箱

世界一周の船の旅

思えば、私はあんまり映画とか音楽とか観たり聴いたりしないで育ってしまったんですね。たとえば、何かを見た時に「美しいな」と感じることがあったとしますよね。その美しさを表現する方法として、「あの映画の中の××というシーンに似ていて美しい」とかいろいろあるじゃないですか。でも、私の場合は知識がないから、自分が経験したことからしか比べられない。常に、自分の中から出てくる「心」でしかなかったんです。

だから何度も旅をした。いくつもの旅を経験し、世界中のいろんな人々の生活、生の声を伝える人になろうと思ったんです。それも、内部から伝える人になりたい、と。大学院に在学中も修了後も、仕事をしながら、ずっとそういう思いを持ちつつも突っ走っていました。

そんなある日、たまたま映像をやっている友だちといっしょにご飯を食べていた時に、「自分たちの仕事って、ほんとうは何処にいてもできるんだよね」という話になったんです。確かに、パソコンがあれば、東京じゃなくてもぜんぜん大丈夫で、東京どころか、陸の上じゃなくても、海の上でも大丈夫。衛星とか飛ばせば、直接発信もできるし! という具合にとんとんと話が進み、お酒の席とはいえ、盛り上がり、「行くなら世界一周だ!」と。

そんなふうに試行錯誤していたとき、出合ったのがピースボートでした。ピースボートに関しては、人によっていろいろと意見が分かれるとは思いますが、私にとっては、やっぱり簡単にはできない、世界を周る機会をつくってもらえて、とてもありがたいなと思っています。
家の窓を開けると、すぐ前にピラミ
ッドがそびえていた!

やわらかな「心」のままでいられたら、毎日はもっと楽しいかもしれない

テーマは子供たちの心を見つめること。24色のサインペンと画用紙を持ち込み、世界22ヵ国に生活する300人近い子供たちに「あなたの宝物って何ですか?」と聞いて回ったんです。いろんな宝物を描いてくれましたね。でも、思ったんですけど、子供って本当に純粋なので、実はあまり心配することはないな、と思いましたね。子供たちの背景には愛情を持って見守っている大人の姿があったんです。幸せをしっかりと受け止めて生きていることがわかりました。

世界の子供たちの「心」に直接触れて、自分も優しくなったような気がしますね。あまり自分が、自分が、と主張しなくなったように思います。家族に対しても同じですね。昨日も、おばあちゃんとお母さん温泉旅行に行ってきたんですよ。3人がいっしょにお風呂に入ると、順番に人の身体が変わっていく感じがよく分かるんですよね(笑)。
来春くらいに、また船に乗ろうと思っているんです。子供たちに本を配るのが第1の目的。もうひとつは、お年寄りに「いちばん美しいものは何ですか」って聞きたいなと思ってます。
Mysiq: 渋谷区神宮前2-12-3-1F
tel:03-5785-9131

「ライフスタイル」っていうか「世界観」

仕事では、つい先日、外苑にほど近い場所に「Mysiq」という雑貨のセレクトショップを立ち上げたばかりです。コンセプトから物件探し、商品構成など、すべて「ASOBOT」で手がけました。「Mysiq」とは、「居心地のいい」という意味のスウェーデン語。英語でいう「COZY」にあたります。温かさとともに、もろさや醜さをも受けとめる深みのある感じ、とでもいうんでしょうか。そういうコンセプトで世界各地から集めたものと日本の作家さんによる装飾品や雑貨、絵本、おもちゃなどを取り扱っていますが、結果的に東欧や北欧のものが多くなりましたね。陽と陰が混じった「世界観」でまとめてみました。このパズルとかはチェコに行った時に買ってきたものです。絵がなんともいえない、かわいいでしょ!

時代が変わっても譲れないものってあるじゃないですか。世の中のトレンドがどうであっても自分はいいって正直にいえるもの。ずっと残っていくもの。そんな自分の「心」がつくる「世界観」にこだわったものづくりをしていきたいと思っています。


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