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農家の台所 くにたちファーム 恵比寿店
レポート
2009.05.18
この記事のカテゴリー |  飲食・フーディング | 

農家の台所 くにたちファーム 恵比寿店

野菜の新たな価値を提案するレストラン

ふだんは食べることができない
珍しい野菜が並ぶサラダバー。
シェフ自ら給仕するシェフズルーム
併設された野菜の販売所では、野菜を
購入することも可能。
看板メニューのダジン。ランチ時は
これに、ごはん、香物、みそ汁が付い
て1,480円。
店内の野菜栽培コーナーでは、同社が
国内で初めて販売したソルトリーフを
育成している。
日本人にはもっと野菜が必要という考えのもと、農業改革を目指す企業「国立ファーム」。同社が運営するレストラン「農家の台所 くにたちファーム」が国立店に続く2号店目として、恵比寿店をオープンし注目が集まっている。08年11月の開店以来、生産者の顔が見える野菜、その野菜のおいしさを引き立てるメニュー構成、食を楽しむ空間づくりが受け、予約が途切れることがないという。実質的な運営元は、コンテンポラリーダイニング株式会社。

実は国立ファームは、AV界のイノベーターとして90年代に名を馳せた高橋がなり氏が2006年に立ち上げた農業を主体にした新事業。農産物の生産、流通、販売、消費(飲食店)までを一貫して行うことで、日本の農業界を活気づけようと設立。

「AV界も農業界も“ものづくり”という視点で捉えれば同等で、ものづくりがカッコいいと思える気運を高めることによって、真っ当な感覚を持った人間の育成が目的」(高橋さん)。

まずは、高橋さんの自宅からも近い東京郊外の住宅地、国立市に農地を開拓。野菜栽培からスタートした。同時に、熱心で研究的な農業者である全国の篤農家(とくのうか)に直接交渉し自らのレストランで販売することで、生産者との距離が縮まり、ネットワークも広がっていったという。結果、一般的な流通に乗りにくかった篤農家の野菜を、消費者に直接届ける事が可能になった。

「手間はかかりますが、当社で流通経路を確保し、飲食店も経営してしまえば、新たな市場を開拓でき、農家に還元できる。農家のモチベーションも上がって、おいしい作物がどんどん市場に出回る。農業がちゃんと儲かるとわかれば、後継者も絶えることがなくなり全てが丸く収まるんです」(同社の礒辺和明さん)。

同社が07年1月に国立市に開店した飲食店「農家の台所 くにたちファーム」は、一般の流通に乗らない珍しい品種の野菜や、篤農家が生産した野菜が並ぶため、見て楽しい、味わっておいしいと、今も地域住民のファミリー層を中心に高い評価を得ている。店内の販売所でも野菜が購入できるので、買い物だけに訪れる主婦も多い。

都心部からでも通いやすい立地に、ぜひ出店してほしいという客の要望に答えるかたちで、JR恵比寿駅西口から徒歩1分という好立地に2号店を開店した。45坪の店内は全50席。厨房の脇には8名利用の個室「シェフズ・ルーム」があり、ここではシェフ自ら給仕するサービスが受けられる。客層は、75%が30歳代前後の女性客で、意外にも50歳代以降の中高年も目立つそうだ。21時以降には、男性の一人客の姿も。

同店一番の売りであるサラダバーの前には専門スタッフが常駐し、野菜の品種や特徴、生産地のエピソードを披露し客とのコミュニケーションを図っている。アラカルトメニューから選ぶと食材が偏りがちだが、野菜、肉、魚の比率を「4:3:3」「5:5:0」「5:0:5」「6:2:2」「10:0:0」から選べるコースメニューになっている。いずれの比率も、ボリュームによって3,500円、4,500円、5,500円の3つの価格が設けられている点も良心的だ。平均客単価はランチ時で1,500円、ディナー時は5,000円ほど。

東京都産業労働局農林水産部発表によると、区市町村や農業組合が農家から農地を借り受け、在住の一般市民に貸し出す「市民農園」や、農家自らが直接一般市民に所有の農地の貸出と指導を行う「体験農園」が、ここ数年増加。08年3月時点で500ヶ所近くが開設されており、気軽に農業を始められるという理由から注目が集まっている。

また、不安定な雇用情勢を鑑み、新たなビジネスチャンスや就業の場として農業に活路を見出す20歳代、30歳代の若者も少なくないと聞く。「ギャル社長」こと藤田志穂氏は、次の活躍の場として「食」と「農業」を提案。秋田県をベースに、農家の協力を得て農業体験の企画や、おしゃれな農作業服を手掛けるなど、ファッション要素を取り込んだ新たなビジネスモデルを展開。既存のイメージを覆すことで若者の農業離れを阻止するという取り組みだ。また、雑誌『BRUTUS』(09年2月15日号)では、アートディレクターの佐藤可士和氏が農業を「新しいエンターテイメント」と紹介するなど、業界人の進出も目立つ。

「かっこいい、おしゃれと若者に思ってもらうことが、一番のアピールになります」(磯辺さん)。

本格的な農業が増える一方で、一般の生活者には、今後ますます“ファッション農業”が増えそうだ。


[取材・文/藤原祥子(フリーエディター・ライター)+『ACROSS』編集]
■農家の台所 くにたちファーム 恵比寿店

住所:東京都渋谷区恵比寿南1-7-8 
   恵比寿サウスワン 1階
電話:03-3719-4831
営業時間:ランチ11:00〜14:30(L.O)
     ディナー17:30〜22:00(L.O)



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