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Flying-Books/古書サンエー

Flying-Books/古書サンエー

レポート
カルチャー
2003.04.18
この記事のカテゴリー |  カルチャー |   飲食・フーディング |   イベント | 

 「もともと僕は“流通オタク”なんですよ。就職活動でもコンビニ業界を中心に廻り、セブンイレブンジャパンからは内定を頂いていたくらいですからね」と言うのは、2月16日、老舗古本店の渋谷古書センターの2Fにオープンしたオシャレな古本屋「Flying Books」の店主、山路和広さん(28)。

 山路さんは大学卒業後、(株)カルチャーコンビニエンスクラブに就職。約2年半勤務した後、充電期間を経て本事業を立ち上げた。

 「就職してマスマーケティングを目の当たりにし、僕のなかではマスマーケティングの限界を感じてしまったんです。顧客満足度という観点からすると、100人のお客さんがいたら100人が満足する商品だったりサービスだったりしなくちゃいけないじゃないですか。僕は100人中10人でもいいから、同じ価値観なりを分かち合える商品やサービスを提供する方がいいなと思ったんです」(山路さん)。

 同店のテーマは「BOOKS」「CAFE」「EVENT」の3つ。店内は、可動式の什器や柔らかい照明、木のぬくもりを感じさせる床材やカフェのカウンター、BGMなど、至るところにこだわりが感じられる。

 20世紀初頭のパリや50年代のサンフランシスコ、そして60年代の新宿などの混沌とした時代感に惹かれるという山路さん。本を開いた時に、時間や空間を越えて、その本の世界に飛んでいける感覚を、「Flying Books」という店名に託したのだそうだ。

 「ふつう本屋さんには可動式の什器は必要ないのですが、うちはポエトリーリーディングなどのイベントをするためのスペースを確保するために、特別に頼んでつくってもらいました」。

 設計を担当したのは山路さんの中学・高校の同級生で現在も草野球のチームメイトでもある伊藤正昭さん。他にも、コーディネーターとして岡野牧子さん、宮川祐一さん、照明や装飾は『DECO』の店主KENTAROさん、カフェのアドバイザーとして『bar trino』の戸崎由紀子さんなど、さまざまなジャンルで活躍する方々の「コラボレート」による成果だという。

 もちろん、Wバロウズのサイン本や『BAUHAUS』叢書全14冊、フランク・ロイド・ライトのドローイング、『VISIONAIRE』全38冊など、マーチャンダイジングもかなりのもの。取材中にも、「本を予約していた××と申しますが」という人が次々と来店。昔ながらの古書店ビジネスの手法も健在だ。

 実は、同店が入っている「渋谷古書センター」は山路さんのお父様の「(株)古書サンエー」が運営している。創業は1971年。「Flying Books」はその一事業部としてスタートしたが、今後は出版事業をはじめ、幅広い事業展開を計画中だそうだ。

 「以前は毎回アメリカなどに買い付けに行っていたんですが、今は独自の買い付けルートを構築したので、そのぶんお客様には商品を安く提供できるようになりました」と山路さん。アメリカだけでなく、フランスやイタリア、オーストラリア、そしてインドネシアと、いずれは世界中に「独自の買い付けルート」を構築していくという。

 このところ、渋谷や代官山、六本木などには、既存の枠組みにとらわれない「新しい書店」がたくさん登場している。もちろん、「新しさ」のキーになっているのは「流通」なのである。


取材・文:「アクロス」編集室

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