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DESSERT COMPANY

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レポート
フード
2003.10.11
この記事のカテゴリー |  飲食・フーディング | 

階段を登ってフロアへ。右手に見えるの
が、テイクアウト用のケース。
オリジナルのショーケースに入った姿が
愛らしい胡麻プリンや桂花杏仁豆腐、
マンゴプリンなどの瓶詰めのスウィーツ。
アルミパック詰めのクッキーや焼き菓子
は常時5種類ほど用意されている。
ヘルシーなカフェごはんやおかずもテイ
クアウト可能。手作りの温もりが溢れる
とてもやさしい味。
原宿とは思えない民家が立ち並ぶこんな
路地の奥に、デザートカンパニーはある。
98年から東京を中心に沸き起こったカフェブーム。バワリーキッチンに並び、その先駆者的存在として知られていたのが青山のカフェ、デザートカンパニーである。アジアンスウィーツの発信地として連日行列ができる程の人気店だったが、01年惜しまれつつも閉店。約2年の休止期間を経て03年9月1日、2年間の限定店として再始動した。

場所は渋谷から原宿に向かう裏通りのさらに奥、元ギャラリーロケットだった小さな一軒家。階段を登ると、天窓からの心地良い光が降り注ぐ部屋のような空間が広がる。客は靴を脱ぎ、斜面を利用したひな壇状の変型フロアに、御膳と座布団を自由に配置し座るというちょっと変わったスタイルである。

コンセプトは「医食同源」という以前からの考え方をベースに、食の可能性をさらに広げる実験室=ラボ。約5年間のさまざまな経験を経たオーナーの塚本サイコさんやスタッフの食に対する想いの発表の場でもあるという。

「98年に知り合いからこの場所で何かやらない?というお話を頂き、本当に軽い気持ちでカフェを始めたんです」と話す塚本さんは、実はクルーエルレコード所属のアンビエント系のミュージシャンとして活動するアーティストでもある。
「飲食店の経営なんて未知の世界。デザインなどを手掛ける弟とパティシエ経験のある友人2人を巻き込んで、メニューの開発から内装まで全て自分たちで行う、手づくりでのスタートでした」(塚本さん)。

それが、98年9月『Olive』誌上のカフェグランプリで、アジア部門のグランプリを受賞したことをきっかけに急変。巷のカフェブームもあいまって、次々に雑誌で取り上げられるようになり、あっという間に“行列のできるカフェ”になってしまったのである。

「オープンして1年。ウェイティングのお客様を回転させていくことで精一杯ななか、お客様は本当に満足してくれているのだろうか?という疑問を抱くようになっていました。でも立ち止まるきっかけもないまま3年が過ぎ、ビルの取り壊しと共に閉店。各方面から出店の依頼も頂いていましたが、私たちは敢えて一度立ち止まり、リセットする道を選んだんです」(塚本さん)。

閉店後も、レシピの開発・提供、雑誌の連載から生まれたデザートカンパニー内のフードユニット「フーデコ」でのケイタリングなど、ソフト面での活動は継続。また、カフェのはじまりからおわりまでを綴った『カフェをはじめたくなる本、カフェをやめたくなる本』も出版し話題を呼んだ。

「正直、このまま小さくやっていくのもアリかな、という思いもありました。でも時間が経つにつれ、場を持つことがどんなに大事なことだったかを痛感するようになったんです」(塚本さん)。

そんな折、この物件の話が浮上した。たまたま出版記念パーティを行った場所でもあり、これも何かの縁、ということでラボ構想へと発展。今一度、自分たちが納得できる、正直で丁寧な商品作りを極めようと、再出発を決意したのだそうだ。

「オープンにパーソナルに、究極の個人へのサービスが私たちの目標です」(塚本さん)。
以前から要望が多く、自分たちもやりたかったというデザートとフードのテイクアウトを開始。
また、2人からの一組だけで店まるごとを貸し切れる家庭薬膳のコース(1名4,000円〜)も用意するなど、採算を度外視した「究極の個人へのサービス」も具現化した。

「今はお客様に喜んで頂けるのが本当にうれしくて、このカタチをとって本当に良かったと思えます」(塚本さん)。

目標が明確になり、自分たちの想いもクリアになった今、改めて路面店やデパ地下などの商業施設への出店も考慮できるようになったという。まずは、問い合せの多い通信販売に対応すべく準備をしているそうだ。

カフェブームの中、多店舗展開はもちろん、カフェをステップに幅広いビジネスに乗り出したオーナーも少なくない。しかしその時、塚本さんは立ち止まり、“本当にやりたいこと”に向き合うべくリセットの道を選んだ。その背景には、大胆さと繊細さを併せ持つ女性ならではの感性が大きく影響しているのかもしれない。

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