ACROSS Street Fashion Marketing

コンテンツメニュー
Combine books & foods

Combine books & foods

レポート
カルチャー
2005.09.20
この記事のカテゴリー |  カルチャー |   飲食・フーディング | 

“知り合うべき人たちが知り合う空間”をめざし、
下高井戸から移転・オープンしたBOOKS & CAFE

専門書が多いのは知り合いの大学教授
から仕入れたためだとか
社会科学関係の書籍の他に、
アート関係の本や文庫本も
シンプルで広いバーカウンターは
1人客に人気のスペース。
今では珍しくなったたばこの自動販売機。
目黒川に面したマンションの1Fは
続々と店舗に。隣は某お笑い芸人
がオーナーのジンギスカン屋の予定
2005年5月27日、中目黒に“ブック&カフェバー”の「combine(コンバイン)」がオープンした。同店は、2001年11月〜2005年1月まで下高井戸で営業していた古本屋「バラード堂」が装い新たに生まれ変わったニュースタイルの古本屋だ。

コンクリート打ちっ放しの約18坪の店内は、重厚な本や雑誌が整然と並べられた本棚、レトロなテーブル席とインテリア、広々としたバーカウンターで構成されていて、その高い天井と開放観溢れるエントランス部分のサッシが、目黒川沿いの緑を眺めながらのくつろぎ空間を見事に演出している。

「元々、本の売買という行為・仕組み自体が好きだったんです」と言うのは、同店の運営元である (有)バラード堂代表の柏木光二さん(29)。

「音楽とかってBGMになるじゃないですか。映画も受け身でいられますが、本はそうはいかない。1冊1冊向き合うためにはエネルギーも時間も要りますよね。個人にとって本の取捨選択はすごく大事なことだと思うんです」と、「古本の販売業」を選んだ理由を話す柏木さんは、大学入学のために秋田から上京。今はなき渋谷・恵比寿の「P-HOUSE」でアルバイトをしつつ、音楽や映像制作活動の後、独立したのだそうだ。

「絵や写真、映画・映像に限らず、なんでもすぐに消えていくものが多すぎると思うんです。最近の一過性だけのミリオンセラー本には、あまり興味ありません。心に残る本や文化として時代を追えるような本にこだわってセレクトしているつもりです。そういう意味では嫌いな本、大嫌いな作家の本も扱いますよ。“嫌い”な思いが心に残るじゃないですか」(柏木さん)。

「combine」では、通常の買い取りに加え、お酒と交換するというユニークな“物々交換式”の買い取りも行っている。「この本を置いて欲しい!」と持ち込んでくる人も多いそうだが、「感覚で決めてしまって申し訳ないのですが、選別させてもらいます」と柏木さん。

今回飲食経験のある同級生との協業により、カフェバー併設となった同店は、基本的に定休日はなし。営業時間は12時〜翌朝4時と、コーヒーを飲みながら読書するもよし、古本を求めて立ち寄るもよし、深夜にお腹が減ったときに食べに来るもよし……と、あらゆるニーズに応える“ブック&カフェバー”となっている。客層は、仕事帰りの近隣在住者がメイン。特に夜10時過ぎからがいちばん混み合う(!)ため、ドリンク・フードメニューを充実させているそうだ。

「夜は“がっつり”食べられるものを用意しています。おすすめは、だし巻き卵です」(柏木さん)。

また、「点ではなく線にすることに意味がある。下高井戸で『バラード堂』を開いてから約4年、やっとイメージに近いものになってきた」という発言からも伝わってくるように、柏木さんは起業するのにあたり、それまで日常的に行ってきた音楽や映像を「創る」側からは一歩引き、マネジメント・プロデュース側へと移行し、“好きなことをやる+αのビジネス”という観点を明確に意識するようになったという。その点では、下高井戸時代からさまざまなジャンルのアーティストたちとつながりを持ってきたことで、友人や知り合いによる店内イベントを開催できるという強みも大きいと言う。

「アーティスト気質の不器用な人が、正当な評価を受けずに埋もれていくのはもったいない。 “サロン”っていう言葉は使いたくないけど、『combine』は知り合うべき人たちが知り合う空間にしたい。いろんな人が集まることで、何かができれば。将来的には、音楽のフェスをやりたいんです」と物静かに話す柏木さんの目は、確固たる未来への展望を見据えているかのように感じられた。

店名の「combine」は、「結合させる」という意味に加えて、集まるべくして集まった人々によってムーブメントが生まれることを期待し、農機具メーカーからイメージされた“耕し、収穫する”というのがウラコンセプトだとか。「2人とも実家が兼業農家なんです」(柏木さん)。

なお、まもなく、DJイベントやミニライブや写真展、WEBサイトでの古本の販売、音楽レーベルのリリースなども行う予定だそうだ。


取材・文/青木勇気(フリーライター)+『WEBアクロス』編集室

全文を読む
同じカテゴリの記事
同じキーワードの記事