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papabble(パパブブレ)

papabble(パパブブレ)

レポート
フード
2007.06.01
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東京都中野区の小さな商店街にある
バルセロナが本店の飴専門店

直径約1cmほどの飴に「LOVE」やハートの
モチーフなどがあしらわれたタイプが人気。
BAG(袋入り)は400円〜。常時20〜30
種類のフレーバーが揃う。飴とは思えな
いディスプレイが印象的。
飴のカラフルさを生かした容器には、実際
の集気瓶や試験管などを用いたユニーク
なデザイン。JAR(ガラス瓶)750円〜。
水飴を練ってから完成まではおよそ
1時間の工程。目の前で繰り広げられる
様は圧巻そのもの。
店内で使っている家具のほとんどが
アンティーク。この棚はスペインで
買い付けてきたもの。
今回「todays shibuya?」で取りあげるショップがあるのは渋谷ではなく中野である。だが、きっかけとなったのは、07年4月に実施した定点観測の渋谷地点でインタビューをした女性が、ショッピングバッグいっぱいに持っていたかわいい飴を見せてもらったことからだ。

その飴の名称は「papabubble(パパブブレ)」。小さいながらも金太郎飴のように断面がレモンやキウイ、チェリーなどのモチーフがくっきりと描かれていてとてもポップ。しかも、パッケージはシンプルでおしゃれなデザインで、まるでビーズ玉かなにかのアクセサリーのパーツのように魅力的だったことから、今回、取材することにした。

場所はJR中央線または東京メトロ東西線の中野駅から歩いて10分ほどの小さな商店街・薬師あいロードの一軒家。オープンしたのは05年6月で運営するのは有限会社カンノという。

オーナーの菅野清和さんは専門学校で2年間日本料理を学んだ後、カフェなどを中心に5年ほど飲食業に携わっていた経歴の持ち主。もともとスペイン料理に魅力を感じていた菅野さんは、02年に料理の勉強をするために単身スペインへ。現地で、「papabubble(パパブブレ)」本店のオーナーである、オーストラリア人のTommy(トミー)氏と出会う。当時、北欧に古くからある伝統的な飴の作り方を習っていたという同氏は、その半年後バルセロナに「papabubble(パパブブレ)」の本店をオープン。友人に誘われてその店を訪れた菅野さんは、目の前で職人が楽しそうに飴を作る光景を目の当たりにし、飴作りに魅了されたという。その後、弟子入りや修業という形ではなく手伝いから徐々に働くようになり、2年間かけて技術を体得したという。04年の秋頃に帰国し、05年1月に同社を設立。バルセロナ本店の2号店としてオープン。その他、アムステルダム店、オープンを間近に控えたニューヨーク店がある。

「もともと何か新しいものを探しに行こうと日本を出ていたので、飴作りを知った時にこれしかないと思ったんです。働き始めた時点で、日本に出店することは考えていましたね。作り上げられた飴は宝石のように輝いていて、こんな面白いものは日本にはないと思いました」(菅野さん)。

出店にあたっては意表を突く隠れ家的な立地で、車の通行が少なく、のんびり散歩がてら寄れるような、住宅地と商業地の中間という条件で物件を探したという。代々木上原、中目黒なども候補に挙がったが、中野区新井に決定。使い勝手のよさを重視した2階建ての一軒家で、60平米の1階が店舗兼オープンな作業スペースとなっている。内装は本店も手がけたインテリアデザイナーで、バルセロナで活躍しているミスターボーンズによるもの。インテリアやパッケージにこだわった、おしゃれな雰囲気の飲食店に可能性を感じるという菅野さんの言葉通り、同店も什器やインテリアにはアンティークを用い、明るさを抑えた照明がどこかオシャレなインテリアショップを思わせる佇まいだ。

商品構成は大きく分けて3種類。BAG(バッグ)袋入り60g・400円、JAR(ジャー)ガラス瓶入り60g〜350g・750円〜3,000円、LOLLYPOPS(ローリーポップス)棒付き400円〜1,500円で、飴の種類は通常の硬さのものとソフトタイプがある。デザインは、本店の職人のひとりChristopher King(クリストファー・キング)氏が手がけた。パッケージや飴などは「人々が求めるデザインやパッケージを現代風にアレンジし、欲しいと思わせるようなもの」を常に心掛けているという。フレーバーはマンゴーやキウイ、ライムなど、その都度、季節などによって変えているそうで常時20〜30種類が揃う。人気はブドウ味で日本店のオリジナルだ。

ターゲットは当初20〜30代の男女だったが、実際は主婦を中心に7割が女性で、年配の男女も少なくない。購買数は1人あたり平均3個程度というが、お土産としての需要も少なくなく、10個以上まとめ買いする人も。毎朝開店前には20〜30人の行列ができ、3月のホワイトデー直前には200人ほどが並んだ日もあったのだそうだ。GW後は少し落ち着いたとはいうものの、毎日17〜18時頃に完売するという状態。ただ夏場は飴という材質上オフシーズン。8月いっぱいはお休みとなる。

現在卸先は「DEAN&DELUCA(ディーン・アンド・デルーカ)」のみ。同店舗を隠れ家的な存在にして、いろいろなところに卸したい気持ちもあるが、今のところは店舗販売分の製造で精一杯なのが正直なところだそうだ。

「オープン後、思っていたより早く知ってもらえたことが一番の驚きでした。理想はお客さんが飴を作る工程を見て、いろいろ試食をして、選んで買ってもらうことなんです。もう少し落ち着いたら2号店をオープンさせて、そのような環境で買って頂ける店舗にしたいです」(菅野さん)。

先頃オープンした新丸ビル内のベーカリーショップ「POINT ET LIGNE(ポアンデリーニュ)」のように、内装や照明、什器など、いい意味で“らしからぬ” 飲食・物販店が増えている。同店も、こだわったインテリアに、まるで化粧品のような統一されたデザインのパッケージなど細部にまで行き届いた演出が魅力のひとつ。さらに、訪れた人が飴の製作行程をまるでショーを見ているかのような気分にさせる演出も重要な要素になっているのは確かだ。そんな、「見られることを前提とした見せ方」への工夫は、今後ますます多様化していくだろう。

[取材・文/笠原桐子+『WEBアクロス』編集室]

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