■背景
天候の都合により第2週めの実施となった第276回目の定点観測。トレンドが混在するなか、メインのトレンドとして、ショート丈のアウターに注目した。
まずは、昨年の今ごろのスタイルちょっと思い出して欲しい。02年11月は、「パンツのブーツ・イン」のスタイルを取り上げた。ロングニットカーディガンのアウターにカーゴパンツ、裾をもたもたっとさせてブーツの中にイン、そして中折れ系のハットというのが典型的なスタイル。レイヤードによる「ユルさ」をベースに、どちらかというとマニッシュ、メンズライクな雰囲気がカッコイイとされていた。
意図したわけではなく、先月(03年11月)のカウントアイテムはブーツ。しかしそのスタイルは、02年のようなマニッシュなものではなく、「ミニスカート」が予想以上に支持されたことも手伝い、ノーズが長めで甲の部分が薄いエレガントなブーツや細いヒールの女性らしい上品なスタイルへと変化した。
実はこの「エレガント」「上品」「女性らしい」などは今秋冬のストリートのキーワード。ミニに限らず、スカート自体を着用する人も増加しており、+スパッツやタイツ、またはパンツ、そしてブーツを合わせる「スカパン・スタイル」も多様化していることを確認した。
そこで改めて、今年のマスのトレンドは何?昨年と違う点は何だろう、とプレサーベイを行った結果、アウターの丈が短かめになっており、且つややコンパクトなシルエットへと変化している点に注目。メゾン発のトレンドであるライダースJKの影響なのか、裾が腰骨あたりのショート丈のジップアップ・トップス全般を取り上げることにした。
■結果
渋谷、原宿、新宿の3地点とも、Pコートや丈が短いPジャケットが圧倒的に多く、色は茶系ではなく黒。レザーよりもウールやメルトン、デニムといった従来のアウターとして親しみのある素材が目立った。つまり、厳密なライダースJKということではなく、ショート丈で実用性としてではなく、デザインとしてジッパーが多用されているブルゾン。シルエットとしては、肩よりもウエストを細く、緩やかなボディコンシャスになっている点に注目したい。
合わせるボトムスは、ミニスカートやテロテロっとした素材のエレガント系スカート+女靴や、前述したような「スカパン」など。ポイントは、足元も含み、ボトムスがエレガントであればあるほど、トップスでちょっとスポーティ、またはちょっとカジュアルに。「エレガント」や「女らしさ」がキーワードとはいえ、「ジェンダー・ミックス」への意識の高さは健在のようだ。
■考察
さて、実査を終え、改めて今秋冬の立ち上がりの時期に発売された雑誌を見ると、軒並み「60s」をフィーチャーされていたことを確認。しかし、12月現在、実際の渋谷〜原宿〜恵比寿・代官山のストリートでは今ひとつ。一部のコンサバ系のOLさんや30代の女性=“ストリート系以外の層”で、ツィードやジャカード織りの柄コート、大きめの白や透明のボタンのアウターなどを見かける程度に留まっていた。
もちろん、年が明け本格的なセール期になると、「せっかくだから」とあえてど真ん中のトレンドアイテムを購入する人も増え、街は再びメゾン発の「トレンディ」な雰囲気を盛りかえすことだろう。しかし、実は、メゾン発のトレンドに敏感に反応する層が大きく変化。ファッションに興味のある「ティーンズ」と、意外にも「20代〜30代のコンサバ層」なのである。
定点観測
2003.12.13
#276 | 実施日 : 2003.12.13 | 最高気温 : 14.5 | 最低気温 : 5 | 天候 : 快晴
276定点観測・解説
■2003年12月13日(土)実施:女性ショート丈トップスうち、ショート丈ジップアップ・トップス
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