定点観測
2004.03.06

#279 | 実施日 : 2004.03.06 | 最高気温 : 14.1 | 最低気温 : 4.5 | 天候 : 晴時々曇り

279定点観測Zoom-1・解説


■2004年3月6日実施:男の子ボトムス・レイヤード

ひとつめのズームアップアイテムは、これ。実は、昨年から腰にネルシャツなどを巻いたり、短パンの下にスウェット、スリムパンツ、スパッツ、ソックスな、過度に重ね着をする男の子がすごく増えており、今がピーク?とも思われるので、今回記録に残すことにした。

とはいえ、プレサーベイを行った平日と比べると数が少なく、とくに新宿地点では見つけるのに苦労し。

そのスタイルは、大きくわけると、ストリート系のレイヤードとドメなモード系のレイヤードの2種類。短パン+スパッツ、短パン+ジャージ、またはパンツというスタイルが大半だったが、なかにはボロボロに破れたブルーデニム+スパッツという組み合わせも見られた。

両者の差は、トップス。ストリート系はボトムスのみがレイヤードするのに対し、モード系(というか、ト−キョ−・モードだが)はトップスもデザイン性の高いものをレイヤードしているようだ。

上下黒というト−キョ−・モード系も見かけたが、多くは色・柄使いが派手、というかやリ過ぎ! ネックレスやブレスレット、帽子といったアクセサリーの着用率も100%で、ランDMCよろしく、ゴツめのゴールドのチェーンを首や腕に巻くなど、カッコイイのとダサいのが紙一重というのもポイントだ。

購入場所をインタビューすると、短パンはさまざまだが、下に重ねたサリエル風のパンツやスパッツ、タイツなどの服はフラボアやand Aの他、先日「todayユs shibuya?」でも取り上げた、ウラ・キャットストリートの「ファクトリー」や「ディバイス」を挙げられた。

着用するのは10代の男の子。おしなべて眉毛が薄く細めで、よく読む雑誌も『mini』や『spring』といった女性誌を挙げるなど、「女の子のファッション」への関心が高い点にも注目したい。

「女の子っぽい男の子ファッション」の歴史を遡ると、80s前半のモード全盛の「NEW WAVE」、同後半の「アリス少年」、そして90年代半ばに台頭した「女の子になりたい!」という「カマ男(フェミ男)」などが挙げられる。「NEW WAVE」は、マントやコートがミックスしたようなロングスカートや西洋の服装史に出てくるようなオーバースカートなどで、きっかけはヨウジヤマモトやコムデギャルソン、ゴルチェなどのビッグメゾン。最近来日したディビッド・ボウイや、カルチャ−クラブ、沢田研二、坂本龍一などが「西洋の服飾史における男の様式美の再現」という印象が強かった。

「アリス少年」は、当時チェッカーズが大ブレイクした時代に台頭した男の子のスタイル。短パンにハイソックス+帽子、メガネなど、小物使いも含め、女の子からみでもかわいくやんちゃな「弟キャラ」というのが特徴だった。

その背景には、80年代は「強い女」や社会ヘの反発として、90年代は「元気な女の子カルチャー」に憧れだったりなど、女性に対峙する価値観という裏付けがあって生まれてきたストリートファッションだったが、04年はあまりそういったイデオロギーは感じられない。というよりも、そのメンタリティにシリアスさはなく、センスギリギリの80sっぽいスタイリングを、あえて積極的に取り入れ、ファッションとして愉しむ、というのが共通する意識なのかもしれない。

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