さて、もうひとつのズームアップアイテムは、こちら。気が付いたら増えていた、とでもいうような眉が隠れ、できれば目元ギリギリの長くて厚みのある前髪の女の子が増えているので取り上げることにした。
もっとも目立ったのは、ヘルメットのようにまあるく頭から顔を覆うような内側への流れのある「ラウンドバング」の典型的なマッシュルーム。支持するのは『Zipper』や『Cutie』などを読むティーンズで、ヘアカラーは明るめの茶色で、メッシュやセクションカラーを入れている子が多かった。黒はほとんどなし。
まだ数は少なかったが、ミドルからロングヘアの重・厚バングスはモードを意識したカジュアル層に人気で、サイドを無造作(ともするとちょっとボサボサ気味!)にし、60sの外人風なニュアンスを演出しているようだった。
とはいえ、実際に最近カットした子にインタビューをしてみると、「重・厚バングス」が増えた背景には、昨秋冬から今春のトレンドといわれている「60s風モード」を意識、というよりは、目元ぎりぎりの長さの前髪にすることで、このところずっとメイクのポイントとなっている「目力(めぢから)UP!」の効果がある、という効能の方が大きいようだ。
また、先日取り上げた「ニット帽の深被り」のように、顔を小さく面長な「小顔」に見せる効果も狙いのひとつのよう。
どうやら近年のファッションは「自分を/意志を表現するための服装」というよりも、「自分がどう見られるか/こう見られたい」ということに意識が集中しているようである。80年代からの長いスパンでストリートファッションを再考すると、ヘアメイクも含め、若者たちの多くが「自分」にしか関心がなくなっているのがよくわかる。唯一、ストリートにおける新しい「若者世代」の80年代半生まれの間で、新しいスタイルへの挑戦、流行にノッてみるなど、自分の興味や時流に素直に、またはあえて積極的に反応した服選びをしているのが新鮮だ。
定点観測
2004.03.06
#279 | 実施日 : 2004.03.06 | 最高気温 : 14.1 | 最低気温 : 4.5 | 天候 : 晴時々曇り
279定点観測Zoom-2・解説
■2004年3月6日(土)実施:重・厚バングス
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関連リンク
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ニット帽・深被り
共通するのは「小顔効果」。
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