季節外れの台風かと思えば突然夏日になるなど、冬であることを忘れてしまいそうな04年12月。10月の最高気温は28.2度、11月は23.2度ときて、暖冬ながらも少しずつ冬らしくなり、街の若者たちもようやくアウターを着用するようになってきた。
そんな今秋冬のアウターの「トレンドど真ん中」のアイテムといえば「ジャケット」だ。今回は「カウントアイテム」と「ズームアップアイテム1」で取り上げることにした。
まずは、「黒いテーラード・ジャケット」。ラペルがあり、ふたつボタン(またはひとつボタン)で左右にポケットがあり後ろにベントがある、いわゆる一般的な「ジャケット」だが、丈が短く、肩が小さめで身幅も袖もタイトなのが今年の特徴である。
合わせるボトムスは圧倒的にブルーデニムが多かった。しかも、一時期のダメージドや色落ちデニムではなく、インディゴなど色が濃いめでスリムなものへと人気が移行していた。
ジャケットのディテールをみると、サテン素材だったり、ショールカラー(へちまえり)やピークドなどラペルのデザインが豊富で、ボレロのように丈がうんと短いもの、ボタンがなくピンで留めるものなど実にさまざま。男の子は+ブルーデニム+ロン毛の「スリマン風」、言い換えると、人気スタイリストやブランドのディレクターの日常着=「ギョーカイ風」スタイルが目立った。
女性は、ネオコンサバ系からOver30sには+美脚デニムで「セレブカジュアル風」。『zipper』や『PS』などのストリート系の子には、+ショート丈パンツやニット帽、下にパーカーを重ねてフードを上に出すなど、さらにカジュアル・ダウン!赤や緑、黄色などのアメカジっぽい原色使いは、まるで「カジュアル」というエッセンスのレイヤードのよう。当時流行った「ディスコ風ボレロジャケット(!)」のような80sスタイルをアレンジしたスタイルに着こなしていたようだ。「トーキョー・モード系」の匂いを感じさせた。
実は「黒ジャケット」は、昨年の今ごろから一部の男の子を中心にブレイクしたアイテム。なかでもベルベット/ベロアやコーデュロイといった光沢のある素材が人気で、ブルーデニムやカーゴパンツ、スカート+スパッツなどとコーディネート。黒以外にもエンジ色やダークグリーン、ダークブルーなどちょっとゴスっぽい(!)の雰囲気のものが「クラシック」というキーワードを表現するように人気だったのは記憶に新しい。デカサングラスやフェルト素材の中折れ帽、大ぶりのアクセサリーなど、トレンドアイテム満載の「トーキョー・モード系」というトライブの誕生を促したのである。
その後、「黒ジャケット+デニム」というスタイルが男性だけでなく女性をも巻き込み浸透していったのは今春のこと。ポイントは美脚デニム+パンプス。04年を代表とする「セレブカジュアル」の代表的なスタイルの台頭となったのである。
ちなみに、前述した「上半身ピタピタ」というのも今秋冬のポイントである。ジャケットに限らず、シャツやブラウス、ニット、カットソーなど、ミニ丈でおヘソをチラ見せするなど、「ギャルっぽさ」をミックスした、「04年風ボディコン」ともいえそうだ。
定点観測
2004.12.04
#288 | 実施日 : 2004.12.04 | 最高気温 : 14.0 | 最低気温 : 7.5 | 天候 : 曇後一時雨
288定点観測・解説
■2004年12月4日(土)実施:女性
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