店頭はすっかり春ものが出揃い、ショップスタッフも店内では全身春の装い、と気分的にはすっかり冬に飽き飽きしているものの、実際はまだまだ寒いこの季節。気分と実際の天候の差がもっとも大きいなか、今回はバッグに注目することにした。
素材はレザー。なかでも、柔らかくソフトな質感で中に入れるもの次第で形やニュアンスが変化するデザインのものがここ数年の定番となっているので「ソフト・レザーバッグ」として定義した。
実は、00年を境に、ストリートにおいてはヴィトンに代表されるようなモノグラム柄がどんどんモチーフとしてパロディ化し、代わりに80年代風のくしゅくしゅっとした形がはっきりしないバッグが台頭。And Aをはじめ、ドメ・ブラからもたくさんリリースされたのは記憶に新しい。
『WEBアクロス』では、2003年3月にand Aに代表されるような「ギャザー・バッグ」として「ズームアップ・アイテム」で取り上げたが、その後、このトレンドは徐々に20代後半、30代へと広がり、2005年2月、「カウントアイテム」=「(カウントできるほどたくさんの人に支持される)今どきのマス・トレンド」へと浸透していったのである。
ストリート実査を終え、2年前と比べると、黒やクリームベージュ、白といったベーシックな色のものだけでなく、緑や赤、黄色、ブルーなど、カラフルになり、表面もパンチングだったり、色違いのレザーとのパッチワークが施されていたり、フリンジ、スタッズ、ビジュー、リボンといった装飾のパーツが施されるなど、デザイン性溢れるものが増加。比較的シンプルな装いのアクセントとして、「アクセサリー感覚」で支持されているようだ。
具体的な傾向は以下の通り。
・ バレンシアガ風またはボトキエ風な、マチがあり、フリンジや外ポケット、スタッズなどがあしらわれた「エディターズ・バッグ」:ストリート×モード系からコンサバ×モード系、コンサバ系に。持ち方としては、ショルダータイプを肩に掛けずに下にだらりと下げて持つ「ビクトリア持ち」がコンサバ×モード系の間で目立った。
・ 80年代のユーズド小さなポシェット:原宿ティーンズに
・ and AやLIMI、代官山系、ドメ・ブラに多いリボンが施されたラヴリーなデザインのもの:20歳前後のストリート×モード系に
共通するのは、「くしゅくしゅっ」としたカジュアル感、脱力感、気の抜けた感(スラウチ)だろうか。パンツの裾やブーツのデザイン、デザイントップスのドレープ感、ストールやポンチョにできる自然のシワやヒダなど、ストリートではスタイリングのポイントとして順番に取り入れられてきたが、気が付くと、バッグはずっと「くしゅくしゅ感」をキープしたまま、幅広い層に受け入れられるマスのトレンドになっていたようだ。
ちなみに、最新号のファッション誌をみても、アクセサリー感覚のバッグはイチオシのアイテムのひとつ。もちろん、有名ブランドのものをそのまま着用するOVER30sも少なくないが、ストリートの若者の間では、等身大のブランドであるドメ・ブラのものや手持ちのバッグにちょっと奇抜なデザインのキーホルダーやスカーフ、チェーン、リボンなどをプラスするなど、ひと工夫を凝らすことで個性を演出する人も増えるだろう。
★1980年8月に実施した第1回目から数えて今回290回めとなる定点観測。05年12月には300回を迎えます。
定点観測
2005.02.12
#290 | 実施日 : 2005.02.12 | 最高気温 : 8.6 | 最低気温 : 1.9 | 天候 : 晴れのち曇り
290定点観測・解説
■2005年2月12日(土)実施:女性ソフトレザーバッグうち、ソフトレザーショルダー
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