平年より3日、昨年より13日遅れで桜の開花が発表になった2005年春。季節の変わり目でもあり、00年代も半ばを迎えたという意味では時代の変わり目でもある。
ということで、渋谷、代官山、恵比寿、中目黒、原宿、広尾、表参道、六本木、銀座など、いろいろなエリアでプレサーベイを行なった。もっとも目立ったのは、原宿、渋谷、代官山エリアに、いかにも「新東京人」と思われるティーンズやその親子、春休み中の東京近郊在住の小中学生で賑わっていたことである。ティアードトップスやチュチュ風のレース使い、厚底スニーカーにレースのソックス、デザイントップスのレイヤード、スカート・オン・パンツなど、昨年のトレンドアイテムでめいっぱいオシャレしたアンバランス感がとても初々しい。
そんなシーンは毎春のことなのでは?と思われがちだが、実はストリートで「新東京人」の“塊”を感じるのは3〜4年に1度のことである。『WEBアクロス』編集室では、この「新東京人」の出現は、「新しい若者世代」の台頭を意味していると捉えている。つまり、今春は、「新人類世代(60年-64年生まれ)」→「(第2次)スキマ世代(65年-69年生まれ)」→「団塊ジュニア世代(70年-74年生まれ)」→「ヘタウマ世代(75年-79年生まれ)」→「ウチら世代(80年-85年生まれ)」ときて、いよいよ「1986年-1989年生まれ」へと“若者の主役”が移行したといえそうだ。
一方、表参道や恵比寿に多かったのは、ややトレンドを意識したコンサバ系〜OVER30s、40sの白やベージュ系のナチュラル&キレイめワーキング・コーディネート。なかでもトレンチコートやオフホワイトのジャケットに「美脚系ブルーデニム&パンプス」が定番スタイルとなっていたのが興味深い。
雑誌をチェックしてみると、『nonno』や『MORE』、『CanCam』『JJ』『Oggi』に『style』、『domani』『VERY』といった“赤文字系の雑誌”では軒並み「白×ベージュ」のコーディネートが今春のトレンドと位置付けられていたが、実際に渋谷のストリートを観察してみると、白やベージュのナチュラルカラーに加えて、もう少し茶色っぽい深みのある色や、オリーブグリーン、カーキといった色みのアウターやパンツを着用する人も少なくなかった。ちょうど、ストリート系、モード系の雑誌で紹介されている今春夏のトレンド、「スイート&ミリタリー」「リラックス&ボヘミアン」「サファリ」「アフリカン・フォークロア」がミックスした雰囲気といったところだろうか。
ということで、今回のカウントアイテムは、ナチュラルからサファリ、エスニックまでのすべてを包括する名称として、「アースカラー」とした。
実査日にもっとも目立ったのは、20代前半にも浸透したことでボリューム化した印象を受けたトレンチコート。アーミー風ブルゾンや裾リブのショート丈ブルゾンといったマニッシュなアイテムには+スカートやパンプス、デザイン・ボストンバッグなどでフェミニンミックスに、ベージュ〜オフホワイトのキレイめジャケットやブルゾンには美脚デニムやスカート+スパッツでちょっぴりカジュアルに倒す“ミックス感”が重要なポイントになっていた。
また、今春のアースカラーは、全体的に彩度が抑えめのくすんだ色合いのものが多く、発色に陰影が感じられる天然系の素材がトレンドといえそうだ。
ちなみにストリートファッション史を振り返ると、「アースカラー」という名称で取り上げたのは以下の通り。
・89年7月
・01年8月
・03年8月
いずれもその年の春夏のトレンドだった「エスニック」や「フォークロア」を反映した色だったが、それぞれシーズンど真ん中の盛夏にマスのトレンドとして取り上げていたのが、今年は4月とトレンドの先取りムードがストリートに浸透していることが明らかになった。
また、近年の2回分のスタイルを見ると、実は今春とあまり大きくは変わっていない。というよりも、むしろ2年ほど前のトレンドに戻っている点にも注目したい。
■ 今後増えそうなアイテムやスタイル:リネン素材、白パンツ、ボリュームスカート、60s・70s風柄ワンピース、ボリュームネックレス、フォークロア調のバッグ、ベルボトムジーンズ、太パンツ、クロシェ・バッグ、ボストンバッグ、カーゴパンツ+赤いパンプス、ボウズアタマ、大ぶりのサングラス、白いバッグ、デジタル時計、ストロー素材の帽子など
定点観測
2005.04.2
#292 | 実施日 : 2005.04.2 | 最高気温 : 13.8 | 最低気温 : 7.8 | 天候 : 曇
292定点観測・解説
■2005年4月2日(土)実施
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