通常、第1土曜日に実施している定点観測だが、今月はGWによる来街者層の変化を考慮し、1週間ずらして実施した。
気象庁によると、先月の花冷えが過ぎたと思ったら今度は新緑冷えだとか。朝晩の冷え込みはまるで冬並み。再びエアコンをオンにしている人も少なくないだろう。アパレル業界でも、好調だった春の立ち上がりが、5月に入りどこも数字的には今ひとつ。さらに水着の立ち上がり期でもあるのに、夏の準備といった気分はまだまだのようだ。
そんななか、衣料よりも動きがいいのが靴、バッグ、アクセサリーといった小物類。スタッズつきのデザイン・ボストンバッグやおおぶりのロングネックレス、キラキラ靴、ウエッジソールサンダル、レースアップサンダルなど、トレンドアイテムが女性ファッション誌を賑わせているなか、改めて街を観察=プレサーベイを行ったところ、驚くほど浸透していたのが、今回のカウントアイテム、「女靴、うち素足着用」である。
「女靴」の定義は、パンプス、ミュール、サンダルなどの形状で、色やデザインなどにより女っぽい靴の略称。ただしスニーカーは除く。ブーツはアンクル丈のみ含み、ロングブーツは除く、とした。
■考察:
数でもっとも多かったのは黒。その他では、ペパーミントブルーやグリーン、ピンクベージュ。ギャルの間ではゴールドやメタリックのピンク、ブルー、クリアソールが目立った。
デザインは、ストリート系〜コンサバ系には、ぺたんこ、またはちょこっとヒールの甲浅でバレエシューズのようなつま先の丸いものが圧倒的に多く、足の指の付け根がちらりと見えたり、足の骨が浮き立つさまが、ちょいヌーディー、ちょいセクシーな印象で今っぽい。
合わせるボトムスは、スカート+スパッツ、クロップトパンツ、ハーフ丈パンツ、と足首が強調されるようなものが多かった。
一方、ギャルやギャルミックス系には、ピンヒールでメタリック素材のサンダル、ミュールなどが浸透しており、ボトムスはすっかり夏の装い。GAPやZALAなどのショウウィンドウでは、男性のジャケット+パンツにビーチサンダルという、欧州のメゾン発のコーディネートが紹介されており、今夏の男子の流行を予感させた。
さて、ストリートファッションを振り返ると、99年に台頭した「裏原系の女の子スタイル=ストリート系」が、2001年以降、「大人っぽく」「女っぽく」「キレイめ」などをキーワードに女の子っぽいスタイルへと変化。その象徴的なアイテムが、足下=女の子っぽい靴=女靴だったのは、何度となく解説で述べてきた。
その後、服はカジュアルでも足下だけ女靴にするほどほどカジュアル、ほどほど大人っぽい「ミックス感」がすっかり定番スタイルになり、カラータイツやソックス、スニーカーソックスの変形番、レースやサポーター的なデザインのものなど「足下のレイヤード感」がトレンドになった時期もあったが、2005年は潔く素足で履くスタイルへと移行しているようだ。
「素足に女靴」というスタイルの背景にあるキーワードとしては、服に対しての「リラックス感」や「抜き」「ハズし」「カジュアル感」「健康的」などだろうか。新聞や雑誌では決して報道されていないが、今回ズームアップアイテムで取り上げている「スラウチ・パンツ」も含み、全身キメキメ、アゲアゲの「セレブ」や「セレブカジュアル」「モテカジ」が、東京のストリートではすっかりその実態を失っていることが明らかになった!
定点観測
2005.05.14
#293 | 実施日 : 2005.05.14 | 最高気温 : 17.1 | 最低気温 : 9.3 | 天候 : 曇
293定点観測・解説
■2005年5月14日(土)実施
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