前日からの雨の影響でぐっと秋らしい気候となった取材当日。「待ってました」とばかりに、“先買い”していた秋アイテムが一気に街に溢れた楽しい実査となった。
既に7月の「ズームアップアイテム」で取り上げたブーツが再浮上。今秋冬のマストレンドになることは必須といえそうだ。季節の“先取り感”を足元に感じつつも、トップスはノースリーブと、真夏と同じ。そんなアンバランス感を支えているのが、今回フィーチャーする「黒トップス、うち、+パンツ」である。
実は、ちょうど1年前に実施した249回目の定点観測(9月1日実施)の「女性黒着用、うち黒トップス」とほぼ同じ。思えば、去年の今ごろ発売となったファッション誌は「今秋冬は黒がトレンドだ〜!」の一点張り。10月号の表紙のモデルが軒並み全身真っ黒な着こなしで、店頭が真っ黒になっていたことを思い出す。
今秋の黒の着こなしは大きく分けて2パターン。ひとつは、『Can cam』や『Vivi』『JJ』などを読む層による「無地×無地」。シンプルでシャープなデザインのものを「+黒スカート」や「+黒のぴったりパンツ」など、比較的ボディコンシャスで「キレイめ=ネオコンサバ」で「勝負」な着こなしが特徴である。
とはいえ、実は、この層においては、今秋は黒よりもベージュ、マロン、(ちょっと赤が入った)カフェモカなどの茶系がより多く支持されており、黒はその次のトレンド、という位置付けになっているようだ。黒のシャープさよりも茶系のフェミニンっぽさ、といったところだろうか。
一方、『mini』や『VITA』、『PS』などを読む層の黒は圧倒的にトップス。ポイントは、カーキ色や茶系、バーガンディなどのカーゴパンツやワンサイズ大きめの「ルーズ」なパンツで、そこに合わせるトップスとして黒が支持されているようだ。
もちろん、1枚で着るのではなく、2枚、3枚と重ねるレイヤードのトップスが基本。着こなしとしては、「黒×カーキ」や「黒×生成り」といったワークっぽかったり、エビエーターっぽい雰囲気がポイントだ。
また注目しておきたいのは、この層を中心に、黒トップスのデザインが、80年代っぽい妙なデザインがほどこされていること。たとえば裾がナナメにカットされていたり、ちょっとおおげさなドルマンスリーブだったり、裾が急に絞ってあったり、ヘンなところにドレープが入っていたり、片方にだけフリルがついていたり。
中には、こちらも今秋冬のトレンドアイテムのロングカーディガンを重ね、ズルズルッとした80年代のDC初期の頃のような雰囲気の着こなしをするオシャレさんも目立っていた。
もちろん、これらは単なる80年代ファッションのリバイバルではない。90年代半ばに提唱した「70年代リミックススタイル」のように、60年代、70年代、そして90年代を経ての「80年代リミックススタイル」が、02年秋冬になり、本格的に浸透しているといえそうだ。
定点観測
2002.09.07
#261 | 実施日 : 2002.09.07 | 最高気温 : 25.3 | 最低気温 : 22.1 | 天候 : 曇り一時雨
261定点観測・解説
261定点観測・解説
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