世界フェアトレード・デー2008
レポート
2008.06.25
ライフスタイル|LIFESTYLE

世界フェアトレード・デー2008

丸ビルに800人が集まったフェアトレードの祭典

《インタビュー》
《インタビュー》
オーガニックコスメにもさらにしっかりとした
ストーリー性が求められつつあります。
右:百貨店コスメバイヤー
左:化粧品メーカー勤務
大学でフェアトレードを広める活動を
しています。生産者の実際の話がために
なりました。
右:20才/学生(法律)
左:20才/学生(法律)
毎年参加してます。今年は幅広い層の
お客さんが来ていて関心の広がりを感じ
ました。
35才/主婦
フェアトレードとは、対等かつ長期的な貿易を行い、途上国の人々が自らの力で暮らしを向上させることを支援する貿易のパートナーシップのこと。経済的、社会的、環境的な問題のバランスを取りながら、途上国の持続可能な経済発展と貧困解消を実現するものとして、ヨーロッパを中心に世界中で市場が拡大している。日本のフェアトレード普及率は1割以下と海外と比較するとまだまだ低いが、ここ数年、フェアトレード・コーヒーやフェアトレード・チョコレートなどをきっかけに注目が集まり、推定市場規模は2006年の約35億円から今年は約50億円(見込)と急速に拡大している。

「世界フェアトレード・デー」は、フェアトレード認証団体のひとつであるIFAT(国際フェアトレード連盟)に加盟する世界70ヶ国・約350団体のフェアトレード組織と生産者組織が、フェアトレードを一斉にアピールをする日。毎年5月の第2土曜日に、各国でイベントやキャンペーンが同時開催されている。1995年にヨーロッパで始まり、日本では1999年からNGO団体のGlobal village(グローバル・ヴィレッジ)と、フェアトレードショップ(People tree/ピープル・ツリー)の呼びかけで、全国各地でイベントが行われるようになった。

5月10日に東京・丸ビル7階ホールで行われた「世界フェアトレード・デー 2008」は、Global village(グローバル・ヴィレッジ)と、(People tree/ピープル・ツリー)が主催する日本最大のフェアトレードイベントである。フィリピンのNGO、「Saffy Handycrafts」(サフィー・ハンディクラフト)やインドのオーガニック・コットンの生産者支援組織「Agrocel」(アグロセル)の代表者による活動の内容やエコロジーへの取り組みについてのシンポジウムや、フェアトレード・ファッションショー、『marie clare』(マリ・クレール)の生駒芳子編集長が参加するファッション・トーク、フェアトレード・ヘンプを使ったアクセサリー作り、フェアトレード団体の代表によるセミナーなど、今年のテーマである「フェアトレード+エコロジー」に合わせたさまざまなイベントやシンポジウムが企画され、立ち見も出るほどの賑わいを見せた。

「フェアトレードを身近に感じてもらい、楽しんでもらえるようなイベント作りを心がけました。特に今年注力したのがフェアトレード・ファッションショーです。イラストレーターの及川キーダさんによるライブペインティングで始まり、パリコレなどで活躍するモデル13人が参加して、ピープル・ツリーのコレクションのほか、サクーン、リチャード・ニコル、ボラ・アクスなどの海外デザイナーとのコラボレーションのコレクションを披露しました。ヘアメイク、モデル、スタイリスト、演出家、カメラマンなど、外部のスペシャリストがフェアトレードを理解して積極的に協力してくれたことに感謝しています」(ピープル・ツリーPR小野さん)。

また、7階のホワイエではフェアトレード・マーケットと題して、ピープル・ツリー、ぐらするーつ、スローウォーターカフェ、シャプラニール、第3世界ショップ、オルター・トレード・ジャパンなど6団体がフェアトレードショップを出店。洋服や雑貨、食品などの店舗が軒を連ねた。

イベント参加費 は1,000円(グローバル・ヴィレッジ会員500円)。06年の来場者は500人だったのに対し、丸ビルでの開催した07年、08年は約800人と一気に増加。年齢層は20代〜30代の女性を中心に10代〜50代までと幅広く、男女比は1:5。告知はウェブサイトやピープル・ツリーのカタログ、パンフレットなどで行った。フェアトレードに関心を持つ人が一挙に集まる年に一度のイベントとして認知されているようで、興味のあるイベントに参加しながら、合間にフェアトレード・マーケットで買い物をして1日を会場で過ごす人も多かったようだ。

「来場者数は07年から大きく変わりませんが、今年は学生の方など若い来場者が増えた印象があります。『フェアトレードを学びたい』『フェアトレードで国際協力したい』と社会貢献の面から考える人だけでなく、ファッションや食べ物などから興味を持つ人も増えているようですし、フェアトレードに関心を持つ層が広がっている手応えを感じました」(小野さん)。

ピープル・ツリーは、フェアトレードの認知度が高いイギリスをはじめ各国で、フェアトレード・ファッションのパイオニアとして高い評価を受けている。そもそもフェアトレード製品には食品が多いが、ピープル・ツリーは行程の多い衣料品を手掛けることで、より多くの生産者の収入を確保し、オーガニック・コットンや手織りの布など環境問題にも配慮しながら、要求の高い日本の消費者が納得する品質向上に務めてきた。ここ数年のピープル・ツリーの躍進は、そのまま生産者団体の技術力の向上と市場における信頼につながり、ピープル・ツリーと取引のある生産者団体が他国のバイヤーからも発注を得ることもあるという。今後も幅広くフェアトレードの意義を訴えると同時に、よりフェアトレード・ファッションに力を入れていく方針だ。

草木染めのドレス(1万4,000円)、シルクのブラックドレス(27,000円)など、「世界フェアトレード・デー」を記念したボラ・アクスとの特別コレクションは、5月中旬からピープル・ツリーのウェブサイトで発売中。また、ロンドン・ファッション・ウィーク「Estethica」でも発表された2008年秋冬のデザイナー・コレクションは、8月下旬から直営店やウェブサイトで発売開始。ボラ・アクスが手掛けたケープ・コート(27,000円)やニットカーディガン(29,000円)、ジュエリーデザイナーのサム・ウビが手掛けた真鍮のアクセサリー(7,500円〜12,000円)など、フェアトレード・ファッションの盛り上がりを予感させるアイテムが揃っている。

〔取材・文:佐久間成美(エコライター)〕


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