イタリア発のファッションブランドとして好評を博するDIESEL(ディーゼル)のショップ兼アートギャラリー「DIESEL DENIM GALLERY AOYAMA(ディーゼル デニム ギャラリー アオヤマ)」が、昨今の現代アートブームと相まって注目を集めている。
07年9月に代官山から移転した同店がある港区南青山の骨董通り付近は、根津美術館や岡本太郎記念館、ブルーノート東京といった文化的施設をはじめ、アート関係のギャラリーや企業ショールームも多数点在するエリア。同店の地上2階建コンクリート造りのシャープな佇まいの中は、1階がショップで2階がアートギャラリーという構成になっている。
「移転前の代官山店もギャラリー機能はありましたが、店舗面積が約半分程度だったので、商品のディスプレイが優先されてしまい、それぞれのアート作品の世界感を100%表現できず、物足りなさがありました。しかし、今回設けた青山店では2フロア合わせて約60坪。ファッションとアートをいっしょにゆったりと楽しめる空間が実現しました」(同社広報宣伝担当)。
「DIESEL DENIM GALLERY(ディーゼル デニム ギャラリー)」とは、同社のブランドのなかでも最もプレステージのあるライン。ウォッシュやデストロイド、ダーティー加工など、職人による高い技術を駆使したデニムを中心に、レザーやカシミヤなどの高級素材を使用したアイテムが揃う。いずれも、デザイン性が高く、限定で希少性も高いため、コレクションそのものがアート作品ともいえる。Tシャツが3万円前後、デニムが7万円程、レザーブルゾンが20万〜30万円と、DIESEL(ディーゼル)通常ラインより高額だ。同コレクションの1号店は00年に大阪にオープン。現在は、この青山店とニューヨーク店の2店舗のみとなる
「青山という立地が選ばれた理由は、世界でもファッションに敏感な人がこれほど集中しているのは、東京以外にないからです。マーケット的に見ても、最も注目されている都市といってもいいでしょう。なかでも青山は、リベラルな雰囲気と高いプレステージを保つ魅力的な街です」(同社広報宣伝担当)。
現在、 2階のアートギャラリーでは、アメリカのストリート系インスタレーションアーティストのなかで脚光を浴びる、マーク・ジェンキンス氏のアジア初の個展「Glazed Paradise(光沢のある一瞬のパラダイス)」が開催されている。クリエイティブディレクター兼フィルムディレクターの木之村美穂氏からの紹介で実現したという。ジェンキンス氏の作品は、男性、女性、赤ちゃん、キリン、アヒルなど様々なモチーフを透明なパッキングテープで造るのが特徴で、代表作としては、人が逆さまになってゴミ箱に突き刺さっていたり、女性がカフェのテーブルに突っ伏している「Tape Men」シリーズ(03年)や、さまざまな場所にテープ彫像を置くプロジェクト「Storker Project」(05年)などがある。
作家本人が来日し1週間ほどかけて制作した新作ばかり。作品「Picnic(ピクニック)」は、衣服を着せた等身大のテーピング彫像やピンクの犬の着ぐるみが4体で円陣を組み、中央の乳房を食べようと狙っているもの。非現実的な雰囲気のユーモアを感じさせる作品だ。4席のうち1席だけ空席となっているのは、鑑賞者の席という設定で、見る側も参加して欲しいという作者の思いが込められている。また、木之村氏が撮影・編集したメイキングビデオもあるので、制作工程の謎が解けることで作品が2倍楽しめるしくみだ。
「2階ギャラリーの展覧会は本展で4回目になります。展示替えは1階ストアインスタレーションが年2回、2階ギャラリーが年4回のペースで、まずキュレーターの選択から始まり、開催予定日の約1年前から準備に取り掛かります。このギャラリーの目的は、まだ国内外では知られていない世界中の若手アーティストの作品や活動を紹介することです。DIESEL(ディーゼル)のコンセプト“For Successful Living(フォー・サクセスフル・リビング)”の通り、衣料品販売だけでなく生活環境そのものを文化的な側面から支援するという姿勢を表現する場でもあります」(同社広報宣伝担当)。
このようなアートとファッションの交流のほかに、様々な支援活動にも取り組んでいる。例えば、02年から毎年イタリアで開催されている無名の若手デザイナーやファッション関係の学校に通う学生を対象にした、ファッションコンテスト「ITS(International Talent Support)」では、ファッション部門にディーゼル賞を設けた。勝者には、自身のネーム入りラベルを付けたコレクションを、世界中の主要ストアで販売できるという大きなチャンスが与えられる。過去には、03年の菅谷鉄兵氏、08年の堀内太郎氏と日本人デザイナーも選出されている。また、アート・コンペティション「DIESEL WALL」や、ミュージックプロジェクト「DIESEL:U:MUSIC」を主催するなど、世界中の新鋭アーティストを発掘し、同店のような場の提供によって具体的な支援をしている。
5回目となる次回のギャラリー展示は、国内外でグラフィック、デザイン、映像など様々な分野で活躍するアートユニット「ENLIGHTENMENT(エンライトメント)」の三嶋章義氏による個展を8月30日より開催する。
開催期間:08年5月24日(土)〜8月15日(金)
[取材・文/藤原祥子(フリーエディター・ライター)+『ACROSS』編集部]
「2階ギャラリーの展覧会は本展で4回目になります。展示替えは1階ストアインスタレーションが年2回、2階ギャラリーが年4回のペースで、まずキュレーターの選択から始まり、開催予定日の約1年前から準備に取り掛かります。このギャラリーの目的は、まだ国内外では知られていない世界中の若手アーティストの作品や活動を紹介することです。DIESEL(ディーゼル)のコンセプト“For Successful Living(フォー・サクセスフル・リビング)”の通り、衣料品販売だけでなく生活環境そのものを文化的な側面から支援するという姿勢を表現する場でもあります」(同社広報宣伝担当)。
このようなアートとファッションの交流のほかに、様々な支援活動にも取り組んでいる。例えば、02年から毎年イタリアで開催されている無名の若手デザイナーやファッション関係の学校に通う学生を対象にした、ファッションコンテスト「ITS(International Talent Support)」では、ファッション部門にディーゼル賞を設けた。勝者には、自身のネーム入りラベルを付けたコレクションを、世界中の主要ストアで販売できるという大きなチャンスが与えられる。過去には、03年の菅谷鉄兵氏、08年の堀内太郎氏と日本人デザイナーも選出されている。また、アート・コンペティション「DIESEL WALL」や、ミュージックプロジェクト「DIESEL:U:MUSIC」を主催するなど、世界中の新鋭アーティストを発掘し、同店のような場の提供によって具体的な支援をしている。
5回目となる次回のギャラリー展示は、国内外でグラフィック、デザイン、映像など様々な分野で活躍するアートユニット「ENLIGHTENMENT(エンライトメント)」の三嶋章義氏による個展を8月30日より開催する。
開催期間:08年5月24日(土)〜8月15日(金)
[取材・文/藤原祥子(フリーエディター・ライター)+『ACROSS』編集部]