JD東京本店
レポート
2008.08.22
ファッション|FASHION

JD東京本店

道玄坂上に「粋な大人の不良の遊び着」をテーマにした
メンズアパレルショップが登場

大理石が敷き詰められた店内はクラシカル
な雰囲気。
ウッドベースや大きなトナカイの剥製が
ディスプレイされ、まるでギャング映画の
セットのよう。
売れ筋の西陣瀑布デニム29,190円
(税込)〜
ポケットやサイドに西陣帯地を貼付けた
デザイン。
スワロフスキー付きベルト。全面に
ビジューやスタッズが施されたゴージャスな
デザイン。
和柄ちりめんシャツ16,590円(税込)〜。
カジュアルなアイテムも豊富に揃う。
専務取締役の中谷健司さん。
03年あたりからから、東京のストリートでは、10代後半〜20代前半の男性を中心に、「ギャル男系」ファッションがきれいめで大人っぽく進化した「お兄系」ファッションが浮上。06年3月に109-2がリニューアルオープンし、メンズを対象にしたフロアをスタートしてからはさらにボリューム化している。

そんななか、「粋な大人の不良の遊び着」をコンセプトにしたメンズアパレルショップ「JUVENILE DELINQUENT(ジュべナイル・デリンクエント)(以下、JD)東京本店」がオープンした。大阪心斎橋にあるJD大阪本店、東京渋谷にあるJD渋谷店に次ぐ3店舗目で、フラッグシップショップである。オープンしたのは08年3月1日。

運営元は大阪に本社を置く(有)JD(ジェイディー)。同社は、1997年にブランド「JD」を設立。映画の中のギャングが着用するような1920〜30年代のクラシックスーツや和柄の入ったTシャツやジーンズなど、インパクトのあるゴージャスなデザインが特徴である。

同社は97年に、大阪・心斎橋にJD大阪本店をオープン。その後05年には、渋谷・円山町のランブリングストリート近くにJD渋谷店をオープンした。そして今回、商品のラインが増えて手狭になったことから、新たに新店舗をオープン。これに伴い、JD渋谷店はジーンズを中心としたカジュアルなアイテムを扱うデニムファクトリーとしてリポジショニングし、東京本店はスーツからカジュアルまでのフルラインナップや限定アイテムが揃う、JDの世界観を表現するフラッグシップショップとして差別化した。

場所は道玄坂1丁目、道玄坂を上った坂の上に位置する。周辺は飲食店やIT企業のオフィスなどが多い落ち着いたエリアである。

「出店候補地は六本木か渋谷で探していましたが、センター街のように店や人通りが多すぎるところは埋もれてしまうため避けたかったんです。渋谷の中でも道玄坂は少し落ち着いた大人っぽいイメージがあるし、周りにはアパレルショップがないので目立つだろうと思いました」(専務取締役 中谷健司さん)。

店内は、黒とゴールドのインテリアで統一。ブランドイメージに合わせて1920〜30年代のアール・デコやアール・ヌーヴォーなどをイメージした内装になっている。床は磨き上げられた大理石で、中央にある大きな鹿の剥製とワイン色のソファが目をひく。コンセプトは「ゴージャスと下品のスレスレのライン」(中谷さん)。

商品は全てオリジナルで、スーツ、パンツ、インナー、アウター、アクセサリー、靴などフルアイテムを取り揃えている。カジュアル系とフォーマル系の割合は、約6:4で、サングラスやベルト、ステッキなどの小物も充実している。スーツ類は、結婚式やパーティー用のニーズが多いそうだが、同店では日常的にドレスアップするスタイルを提案している。

ターゲットは「イキな大人の遊び人」。夜24時まで営業しているため、平日は在勤者が仕事帰りや飲んだ帰りに立ち寄るケースが多く、22時位から混み始めるというのが大きな特徴だ。土日には地方からの来店者も多く、なかには北海道や沖縄、海外からも来店する人もいるそうだ。年齢層は、20代〜50代までと幅広い。

道玄坂〜円山町〜神泉町周辺には、01年以降、中規模の事業所用ビルや集合住宅が相次いで登場。周辺に勤務する人をターゲットにした飲食店や風俗店、クラブなどで構成されており、ビジネスマンや夜遊びに繰り出す若者、カップルなど、渋谷のなかでも最も夜遅くまで賑わうエリアである。同店が道玄坂上という立地を選んだのは、渋谷駅周辺よりも来街者の年齢層が高めで落ち着いた雰囲気が気に入ったからだという。これまで、アパレルのショップはほとんどなく、ファッションのイメージとはかけ離れたこのエリアだが、同店の出店により今後どう変化するか注目したい。

[取材・文/フリーライター高田晋一+『ACROSS』編集部]


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