セカンドアカデミー公開講座vol.1
『働きながらみつける、私らしいライフスタイル』
2008.09.08
その他|OTHERS

セカンドアカデミー公開講座vol.1
『働きながらみつける、私らしいライフスタイル』

ワークライフバランスとecoLとは?
「新しい仕事のしかた」を探る。

左:井上奈香さん
右:小室淑恵さん
20代〜30代の女性が多いなか、男性も
1割程度参加していた。
ほぼ満員の会場内では、一心にメモを取る
姿が見られた。
軽食としてベーグルが提供された。
後援8大学の公開講座のパンフレットが
配布され、多くの人が手にとって見入って
いた。
もうすぐやってくる大学全入時代に備え、今どこの大学も学生だけでなく、社会人に広く門戸を開いている。その代表が「生涯学習センター」や「オープンカレッジ」などと名乗る、公開講座だ。趣味や教養の講座や、大学院レベルのビジネスクラスまで、幅広い内容がそろい、カルチャーセンターと比べ、安価なのが特徴だ。
 
「セカンドアカデミー」は、その公開講座を紹介するサイトである。2年前にオープンし、現在200大学、2000講座を網羅している。このサービスを立ち上げた背景について、代表の佐々木偉彰さんはこう語る。

「大学の公開講座は10年ほど前から始まりました。その頃は受講生はシニア世代が多く、新聞チラシを入れればすぐに人が集まった。ところがその方たちが高齢になり、次第に情報収集がインターネット中心になって、チラシでは集客できなくなったのです」。
 
ネットにしても、個別の大学に行き、そこからさらに講座にたどりつかないと調べられない、という状況から、まとめて検索できるサイトを作ったわけだ。

実際にサービスを始めてみると、サイトに訪れる人を分析して、これまで知りえなかった公開講座ユーザー像が見えてきた。シニアの受講者が多いと思われていたが、アクセス数の6割が20代〜40代の働く女性。講座にしても、江戸学、源氏物語、といった年配向けが主流となっていたが、実際人気だったのは、心理学、コーチング、マーケティング、語学といったビジネスや自己啓発に関するものだ。2000講座のうち、ヘビーユーザーの女性向けの講座は1割程度だというから、ようやくここで実態が把握されたわけである。そこで、公開講座に今もっともアクセスする、20〜40代女性向け、仕事・生き方に関するセミナーを開催して、大学への集客にもつなげよう、と企画されたのが、この『セカンドアカデミー公開講座 働きながら見つける、私らしいライフスタイル』である。

場所は日本橋、ベルサール八重洲。丸の内からちょっとはずれるので「丸の内ドットコム」にはのせられなかったそうだが、日本橋駅に直結し、丸の内OLが訪れやすい場所である。講師は、三菱地所環境ユニットの井上奈香さんと、ワークライフバランスの第一人者、小室淑恵さんの2名。どちらもタイトルどおり、「自身の働き方」と「自分らしいライフスタイル」について体験を反映しての講演だ。
 
200席用意された会場は、ほぼ満席。女性が圧倒的だが、男性も1割程度みえる。会場にはミネラルウォーターと、ベーグルサンドの軽食。ありきたりでなく、なかなかいい雰囲気である。
 
まず登場した井上さんは、トヨタ自動車のイメージレディから、フリーの司会者・レポーター、その後IT企業の社長秘書、そして三菱地所へと移った、転職組だ。三菱地所が、「大丸有」(大手町・丸の内・有楽町)エリア120haの再開発をする中、環境ユニットという部署で、「大手町カフェ」「エコッツェリア」といった環境テーマの集客施設や、「朝EXPO in Marunouchi」「打ち水プロジェクト」などのイベントを手がけている。井上氏の「わたし式Work Style」は、プライベートとオフィシャルを分けないこと、だ。3回の転職、どれもがプライベートのつながりから声をかけられ、仕事をしてそれが評価される、というパターンだったという。食べるために働く「Rice work」と、自分らしい生き方のための「Life work」をプラスして、「ecoL(エコエル)」と命名したプロジェクトは、まさに自分の体験を反映している。
 
小室さんは、今やワーク・ライフバランスの代名詞ともいえる、話題の人。このセミナー後も名刺交換の長い列が出来ていた。「日本は仕事ばかりの生活を送っている」「残業時間はトップクラス、仕事の成果は最低クラス」「出生率向上しても、女性が働かないと年金払えないから逆効果」などと、刺激的な今の日本の状況、それにやっと気づいて、生んで働けるための法律「次世代育成法」ができたから、今後ワーク・ライフバランスは企業にとってマストになってくる、といったわかりやすい論法で、説得力がある。それに加え、退職と同時に妊娠がわかり、起業直前に出産という体験を、夫の協力のとりつけ方、後輩の育て方など具体的なエピソードまじえて語り、笑いを誘っていた。夫が「ぼくは今日からワーク・ライフバランス王子になるよ!」と宣言し、朝2時間早く起きて、朝食準備や子どものお風呂をすべてやってくれるようになった、というのには感心というか仰天したが、そんな意識を持っているのが普通になってきているのだろう。
 
講演後には、後援8大学の公開講座の説明もあり、そちらにも熱心に耳を傾け、アンケートにもほとんどの受講者が記入しているようだった。OLの自己啓発は、今はお稽古事や留学ではなく、仕事や実際の生活に根ざすものにシフトしている、というのを実感するイベントであった。

[取材・文/神谷巻尾(フリーエディター)+『ACROSS』編集部]
■interview1
IT企業・営業事務(20代)
<来場者インタビュー>
■interview1
IT企業・営業事務(20代)
転職をして、3つめの会社で働いています。「何かやりたいけど、何をやっていいかわからない」とずっと思っていて、仕事を成功させた女性の話を聞けば、そこで何かを見つけることができるのでは、と思っていたんです。きっと同じような気持ちを持っている人たちが来ていて、交流もできるんじゃないかなと思いましたし。それで「セミナー 女性」などのキーワードで検索して、「マイコンコース」というサイトで見つけ、タイトルと講師の方に惹かれて申し込みました。小室さんはすごく偉大な方なのに、自分の体験もまじえて気さくにお話してくれて、感激しました。仕事をして子どもを育てて、というのがこうするとできるんだと、とてもためになりました。

■interview2
看護師(42歳)
実は今、失業中なんです。失業保険がもらえる3ヶ月のうちに、何か今後の仕事に参考になるものはないかと思って、ネットで探しました。講座を聞いて、とてもためになりました。仕事をしながら勉強してステップアップしていたなどという話を聞くと、もう私はこの3ヶ月何をやっていたんだろう、と思います。次もたぶん看護師の仕事に就くと思いますが、働き方を考えていきたいですね。


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