BENCH AT THE GREENE(ベンチアットザグリーン)
レポート
2008.09.25
ファッション|FASHION

BENCH AT THE GREENE(ベンチアットザグリーン)

トラディショナル×トレンドを提案する
新しい形のアメカジショップ

エントランスにはサッカー用の芝生が
敷き詰められており、まるで公園の
ような雰囲気。
定番のアメカジアイテムでありながら、
サイジングやデザインで現代らしく
アレンジされたものをセレクトしている。
スニーカーはバンズやコンバース、ドメス
ティックブランドのAREth(アース)など
充実の品揃え。
W-BASEのオリジナルピストバイクの
スペシャルヴァージョン。
BENCH AT THE GREENxPEANUTSの
Tシャツ。サンフランシスコのゴールデン
ゲートブリッジをモチーフにしたデザイン。
各3,990円(税込)
ジャック・ジョンソンなどのアートワークを
手がけるサンフランシスコのアーティスト、
ジェフ・カンハムさんによる看板。
代官山駅を出て徒歩1分、まさに駅前に2008年8月8日、アメカジ系のセレクトショップ「BENCH AT THE GREENE(ベンチ アット ザ グリーン)」がオープンした。プロデュースを勤めるのは木山明久さん(35)。木山さんは、アメカジ系セレクトショップの草分け的なショップ原宿「プロペラ」、渋谷「バックドロップ」で店長兼バイヤーを勤めてきた知る人ぞ知る人物である。運営元は(株)ブレンズ。

「アメカジファッションは普遍的なもの。トラディショナルなアメカジスタイルに、現代的な要素を加えてアップデートした商品を展開しています。ベーシックを突き詰めて見て来たからこそ、基本をふまえた上での新しい表現ができると思うんです」(プレス三好さん)。

コンセプトは“New definition of lifestyle(ライフスタイルの新しい定義)”。ファッションだけではなく、普段の生活が1歩楽しくなるようなライフスタイルを提示している。「BENCH AT THE GREENE」という店名には、公園のベンチのようにいろいろな人が集まる空間にしたい、という思いが込められているという。

取り扱いブランドは、ニューヨークの「Chimala(チマラ)」、オーストラリアの「ZANE ROBE(ゼンローブ)」、カリフォルニアの「ever(エヴァー)」、国内では「ORDINARY(オーディナリー)」、「Hashbrowns(ハッシュブラウン)」など。また、原宿にある人気自転車ショップW−BASE(ダブルベース)とのコラボレートアイテムも展開しており、さらに、子ども服や雑貨も扱っている。

同店では、ジーンズやチノパン、ワークジャケットなど定番のアメカジアイテムでありながら、丈や身幅がスッキリしていたり、サイジングが工夫されていたりと、現代らしくアレンジが加えられたものをセレクトしている。また、アメカジは基本的なアイテムがある程度決まっていて、組み合わせによってアウトドア、ワーク、ミリタリー、バイカーなどのスタイルになるが、同店ではその枠にとらわれない、自由なミックスしたコーディネートを提案。現代的な解釈を加えた新しいアメカジスタイルを表現している。

店舗面積は約20坪。店内はイメージカラーであるブラウンとサックスブルーで統一されており、入り口に人工芝が敷かれていたり、壁にピストバイクがディスプレイされていたりと、まるで公園のような開放的な雰囲気だ。さらに同店ではシーズン毎に、ひとつのロケーションを連想させるようなセレクトテーマを設定。現在のテーマは“サンフランシスコ”で、店内にサンフランシスコの地図を飾ったり、ダブルネーム商品のデザインに反映させたりと、テーマを決めて演出を行っている。

「原宿・渋谷エリアに比べると代官山は街自体が小さく、緑が多くて時間がゆっくりと流れているような気がします。そんなところが、同店のコンセプトにぴったりだったんです」(三好さん)。
初店舗ということもあり、認知度を高めるため、多くの人の目に触れる駅前を出店場所として選んだという。

メインターゲットは20代〜40代の男性。実際の客層は30代が中心で、40〜50代のオフウェアとしての需要もあるという。ファッションの買い回りをする目的意識の高い人が多いのも特徴で、代官山を起点として、恵比寿や渋谷に回遊するケースも多いそうだ。

「 “初代アメカジ世代”の今の40代や、裏原ブームを経験している30代にとってはアメカジファッションは馴染みがあるためか抵抗なく受け入れられているようです。一方、これまで触れたことがなかったと思われる20歳前後の若い男の子たちには新鮮に映るようで、新しいアメカジ世代が育っていることを実感します」(三好さん)。

ここ2〜3年で、東京のストリートファッションのトレンドがヨーロッパベースからアメカジに移行しており、中でもトラッドベースのアメカジの復活を感じる、と三好さんは語る。幣誌「定点観測」を振り帰ってみても、2008年春頃から、街を行き交う若者たちのファッションはモード色が消え、アメカジへ一転。特に20代前半の男の子を中心に、リュックやスニーカー、ネルシャツなどを取り入れたアメカジテイストの着こなしが増加している。手頃な価格の古着店が浸透したことに加えて、セレクトショップでアメカジテイストのアイテムを入れる割合が増加し、初心者でも着こなしやすい新品のアイテムが増えたことも理由だろう。

ベーシックをアップデートした大人向けのラインアップを提案すると同時に、若者が入門編として取り入れやすい、トレンドを加味したアイテムも提案。そんな同店は、現在のマーケットのニーズを取り入れた新しい形のアメカジショップといえるだろう。

[取材・文/笠原桐子+『ACROSS』編集室]


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