ストリートファッション マーケティング:第336回定点観測 解説
定点観測
report : 2008 | 
12 / 06

#336 | 実施日 : 2008 / 12 / 06 | 最高気温 : 13.1 | 最低気温 : 6.8 | 天候 : 晴

ストリートファッション マーケティング:第336回定点観測 解説

<いろいろある>が00年代後半のトレンドの特徴
〜来年30年目を迎えるストリートファッションの分析記録からの考察

第336回目の定点観測 解説

<いろいろある>が00年代後半のトレンドの特徴
〜来年30年目を迎えるストリートファッションの分析記録からの見解



前日までの天候とはうって変わって最高気温13.1℃という冬らしい気候となった第336回目の定点観測。今もっとも注目したいファッショントレンドとして、「バングス(前髪)のあるヘアスタイル」を紹介したい。

あれ、アウターじゃないの? という方は、ちょうど1年前の2007年12月8日(土)に実施した「第324回目定点観測」の記事を参照してほしい。
・2007年12月8日(土)に実施した第324回定点観測のカウントアイテム:

http://www.web-across.com/observe/d6eo3n0000039x17.html


当時「Aラインシルエットコート」という名称で取りあげたが、2008年12月6日(土)に実施した「第336回定点観測」のためのプレサーベイでも、アウターは去年とほぼ同じであることを確認。他にも、2005年以降ずっと流行っているミリタリーコートや2006年にデザイン&モードが入ってOLさんたちに絶大に支持されたファッションダウン、ストリート系の子を中心に2006年〜7年にマス化したレザーブルゾンやニットコート。さらに、2001年〜2005年ごろまでずっと流行っていたトレンチコート、ダッフルコートやPコートならぬショート丈のPジャケットなども復活しており、どうやら、<いろいろある>というのが、今秋冬の特徴である、という結論となった。

唯一、ニット素材のコートやポンチョなどが昨年に引き続き今秋冬30代〜40代にまで浸透しているトレンドアイテムかな、と思われるが、数としてはそれほど多くはなく、やはり、<いろいろ>なアウターが定番化している=<新定番>が登場している、というのが、00年代後半のストリートファッションの特徴と言えそうだ。


さて、そんな<いろいろある>なか、新しいトレンドの芽、次の時流を予感させるファッショントレンドを見つけようと、渋谷、原宿、表参道、銀座、丸の内とプレサーベイを実施したところ、ボトムスは相変わらずミニ丈主流だし、足下も特筆すべきものも見つからず、さてどうしたものか。と悩んだ末、共通項として浮上したのが、<顔周りの印象>の変化だったのである。

1984年以来、毎月約10〜40名の男女へのデプスインタビューを行っているが、90年代以降の女子の憧れの女性像のベースにあるのは、<GAIJIN(外人)っぽさ>であある。なかでも、眉毛やまつ毛といった目元に対する意識はずっと右肩上がりの歴史を辿っているといっていいだろう。00年代に入ってからのマスカラの大ブームは、下地やトップコート、美容液などと多様化が進み、2007年にはまつ毛のエクステンションが大ブームに。2008年に入ってからは、さらに手っ取り早いつけまつ毛が一般化しており、立体感ある大きな目元=GAIJIN風をすっかり手に入れてしまったと言ってもいいだろう。

00年代の大きなトレンドは、女性はフェミニン、男性はセクシー(新しいマチズム?)に、共に上品、上質、品格という潮流にあったことには異論はないだろう。その表徴として、女の子も男の子も髪を伸ばす傾向にあったのは、本定点観測の結果が記す通りである。実際に某社との共同研究でも、00年代前半は「髪を伸ばしたい」という声が多かったが、00年代半ばになるとロングヘアの女子が徐々に増え、<モテ>を意識した巻き髪が一部で増加。つけ巻毛もブームになったが、その後、00年代後半になると、<ストリート×モテ=SWEET(スィート)系>という女子のトレンドの変化とともに、ヘアスタイルも<ゆるふわ>が主流になっていた。

08年は、そんな多くの女子が理想ロングヘアを手に入れたものの、これから先どうしましょう、という時期に突入したのだろう。3月に「重ためバングス(前髪)」としてズームアップアイテムで取りあげたが、それが夏を経て、秋になりさらに幅広い年齢層へと拡大。12月6日(土)の時点では、女性の約23.0%がバングス(前髪)のあるヘアスタイルで、約9.8%が剥いたりしていない「重ためのバングス(前髪)」であることが明らかになった。

23.0%とは、ロジャース氏のイノベーション曲線では「オピニオンリーダー」を越え、「アーリーマジョリティ」にまで浸透しはじめたトレンド、まさに<普及離陸期>のトレンドファクターと言える。永年の経験からだけでなく、そんなトレンドファクターの背景にこそ、次の時代の潮流のヒントが表徴化しているようだ。

http://www.web-across.com/observe/cnsa9a000000jacy.html



実際にバングスのある女子にインタビューをすると、「なんで切ったの?」という問いに対して多かった回答は、「目を大きく見せたくて」や「サイドは長いままで、印象を変えたくて」「読者モデルも切っている人が多かったからブームに乗ろうと思って」など、自分自身の印象を変えようという積極的な意志や行動が感じられた。もちろん、つけまつ毛や瞳が大きくなるコンタクトレンズを使用している人も少なくなかった。

そういった<自分の外見を積極的に変えよう、変えたい、という意思や行為>は、昨今の不況・不景気という必要以上の報道やムードがどれくらい影響するのかは、来年、1月10日に実施を予定している次回の定点観測に委ねたい。



各地点別にみた観測結果は以下の通り。

・渋谷地点(女性合計1,751人)
バングス(前髪)のあるヘアスタイルの女性  9.5%(167人)
重ためバングス(前髪)のヘアスタイル    3.8%(66人)

・原宿地点(女性合計1,702人)
バングス(前髪)のあるヘアスタイルの女性  30.2%(619人)
重ためバングス(前髪)のヘアスタイル    13.8%(283人)

・新宿地点(女性合計1,875人)
バングス(前髪)のあるヘアスタイルの女性  27.7%(520人)
重ためバングス(前髪)のヘアスタイル    11.1%(208人)


渋谷地点の数値が極端に低いのは、たまたまなのか、「センターパーツ」や横に流す「ナナメ前髪」が多かったためと思われる。



他に取りあげたアイテムは、以下の通り。
●ズームアップアイテム(次に流行りそう、または今らしく記録に残しておきたいアイテムやスタイル):
(1)ボブ男(ボブヘアの男子)
http://www.web-across.com/observe/cnsa9a00000263gs.html


(2)マント(または大判ストール)

http://www.web-across.com/observe/cnsa9a00000263j8.html



今回の定点観測の全体像OVERVIEW(オーバービュー)はこちら。
http://www.web-across.com/observe/cnsa9a0000026380.html

「定点観測」:2000年代に取りあげたヘアスタイル


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