08年11月28日、大手セレクトショップSHIPSが手がけるメンズ・カジュアルブランド「SHIPS JET BLUE(シップス ジェットブルー)」の、初のフラッグシップショップとなる「SHIPSJET BLUE 原宿店」が、原宿の遊歩道沿いにオープンした。
04年からスタートしたオリジナルブランド「SHIPS JET BLUE(シップス ジェットブルー)」は、これまで渋谷区神南の複合店「MUSEUM for SHIPS(ミュージアム フォー シップス)」の地下1階ほか、大阪、福岡などの一部店舗で展開してきた。ベーシックなアイテムが主軸のSHIPSブランドの中でも、25歳前後のいわゆる「ニュージェネレーション」をターゲットにした、エッジィでモード感のあるカジュアルラインだ。
「09年春夏シーズンのテーマは“BACK TO THE STREET”。07年から続くトラッドブームから派生して、現在はスポーツ、アウトドア系のアイテムを取り入れたスタイルがトレンドです。そこで、ストリートブランドやアウトドアブランドが日本で最も支持されていた90年代のテイストを、現代へと置き換えたストリートスタイルを提案しています」と話すのは、同社プレスの霜降高明さん。
同社が展開する「MUSEUM for SHIPS」が位置する渋谷区神南は、原宿と同様に大手セレクトショップの路面店が集まるエリアだが、原宿と比べて来街者の年齢層が幅広いのが特徴。そのため、オンオフまで幅広いスタイルが求められることから、30-40代を中心とした幅広い層に向けたスタンダードなアイテムを中心に取り揃えているそう。同店がある原宿エリアとのターゲットの棲み分けをはっきりさせている。
「出店場所を原宿にした理由は、原宿は“洋服を買うこと”を目的に、ファッションに敏感な層が訪れる独自のエリアであり、トレンドアイテムを積極的に発信していく『SHIPS JET BLUE』のコンセプトにぴったりの場所でした。また、ストリートやアメカジを提案するためにも、90年代のトレンドの中心であるこの場所に出店することは大事な要因のひとつです」(霜降さん)。
2階建ての店内は約120坪で、天井も高く広々。白を基調に、壁にレンガを使うなど、リラックスした雰囲気だ。客層は20代の男性を中心に、高校生〜40代までと幅広く、近辺での買い物途中にふらりと立ち寄る人も多いという。
商品は、オリジナルと国内外のセレクトを1:1の割合で構成。オリジナルは「SHIPS JET BLUE」を中心に、ベーシックでデイリーユースなアイテムを展開する「SHIPS GENERAL SUPPLY(シップス ジェネラル サプライ)」、独自の世界観を表現する「Advantage cycle(アドヴァンテージ サイクル)」が揃う。セレクトは、ブランドにこだわらず国内外のものをラインナップしており、今期〜春夏シーズンは「OPENING CELEMONY(オープニング セレモニー)」「ACRONYM(アクロニウム)」など、ニューヨークやヨーロッパ等のブランドが多いという。ナイロンやポリエステルなどの合繊を使ったアウター類や、ポップな色使いのパーカー、クロップドパンツなど、トレンド要素を取り入れたアイテムのほか、アウトドアやワーク、ミリタリーといった、スタンダードなアメリカンカジュアルがメインだ。価格帯はTシャツで4,900円〜、アウターで1万円台〜と比較的手頃で、上は10万円台までと幅広い。
さらに、同店のオープンに合わせて、「SHIPS JET BLUE」のガールズラインとなる「Khaju(カージュ)」が2階部分にデビュー。女性のクローゼットをイメージした店内には、モード、カジュアル、パーティなど幅広いスタイルに対応するウエアや小物類が並び、インナーやルームウエアなどを置いたベッドルーム風のコーナーもある。ブランド名は「花樹」の造語で、花のもつ華やで可愛らしいイメージを女性らしさと重ね合わせて名付けられた。
「ターゲットは20〜30代のトレンドに敏感な女性。オリジナルブランド『Khaju』に国内外のセレクトアイテムをプラスして、ガーリーでセクシー、さらに遊び心のあるスタイルを提案します」(霜降さん)。
今後は「SHIPS JET BLUE」と「Khaju」を複合して、全国に店舗を展開していく予定だそうだ。ここ数年、若者の間でも利便性の高い駅ビルやファッションビル、インタ−ネットなどで買い物をする層が増加しており、原宿や渋谷を回遊して買い物をする層が減少。原宿は表参道ヒルズや大手外資ショップの出店により、メインストリートに観光客や家族連れが増えるなど、客層も激変している。しかし、定点観測のカウント結果からも分かるように、依然として原宿の来街者数は多く、裏原宿エリアにはBEAMS(ビームス)、UNITED ARROWS(ユナイテッドアローズ)、JOURNAL STANDARD(ジャーナルスタンダード)など、大手セレクトショップが展開する各ブランドの旗艦店も点在している。そんななか、老舗セレクトショップの新たな一面を押し出した同店の登場は、新たな支持層を開拓し、ショップイメージをより幅広い層に訴求していくといえるだろう。
[取材・文/渡辺満樹子(フリーライター)+『ACROSS』編集部]
レポート
2008.12.19
ファッション|FASHION
SHIPS JET BLUE(シップス ジェットブルー)
SHIPS JET BLUEの旗艦店が原宿にオープン
関連リンク
同じタグの記事