既存のルールや社会のムードに対する「反抗期」
ロンドンのセントラル・セントマーチンズ・カレッジオブアートアンドデザインで学んだ八木奈央さんと勝井北斗さんによって設立されたmint designs(ミントデザインズ)。2001年の設立以来、洋服をファッションとしてだけではなく「衣類」と捉えた活動を行っており、オリジナルのテキスタイルやプリント、複雑なパターンから生まれる独創的なカジュアルウェアが定評を博している。
そんなmint designs(ミントデザインズ)の09/10AWコレクションは、東京タワー地下駐車場を会場に行われた。テーマは「ミントデザインズの反抗期」。
「ブランドをスタートして8年が経ち、自分たちのもの作りのルールが読めるようになってきてしまったんです。それを壊したいという気持ちが今回のテーマにつながりました」(勝井さん、八木さん)。
コンクリート打ちっぱなしの無機質な空間に、ポップなプリント柄のマスクといばらの冠を装着したモデルが登場。よく見るとマスクは、女性の顔やチンパンジーの顔の形に立体的に象られている。これは旭化成の不織布smashとのコラボレーションによって作られた“to be someone(トゥービーサムワン)”というマスクで、加熱プレス成形加工ができる素材を使って立体成形されている。
作品は、同ブランドが得意とするプリントのアイテムに加え、ジャカード織りやニットなど、織りや編みでの柄表現も登場。伝統的な技法である刺し子やキルティングなどを駆使した、アバンギャルドな柄の表現も今回の特徴だ。同ブランドのトレードマークでもある女の子の連続モチーフに加えて、いばらやジグザグ模様、蟻、ドクロやラテン語などちょっぴりダークなモチーフを採用。とはいえ、よく見るとそのドクロは笑っていたり、創作過程の間違いや偶然を肯定的に生かそうという「happy mistake(ハッピーミステーク)」というメッセージが入っていたりと、同ブランドならではのアイロニーが感じられた。
アイテムは、Aラインのワンピースやポンチョ、コクーン形のカーディガン、ウエストにギャザーが入ったテーパードパンツなど、リラックス感溢れるゆったりしたシルエットのものが中心。前回のビタミンカラーを多用したポップな世界観から一転、黒とグレーなどのダークトーンを中心に、ボルドーやエンジ、ブラウンなど落ち着いた色みで統一し、シックな世界観を作り上げた。
「不況だからといって萎縮する感じはなく、むしろそういったムードや、コントロールされすぎる社会に対する反抗心が強いです」(八木さん)。
目以外をマスクで覆い、感情が見えない様はデザイナーの2人が考える理想の人間の顔。まさに反抗期のような無表情さに、現代の世の中に対する反抗心を込めたのだそうだ。
同ブランドが得意とする、ファンタジックで可愛らしい“トーキョー”という世界観を裏切る、パンキッシュで力強いコレクションとなった。
撮影・取材・文/『ACROSS』編集部
■Japan Fashion Week
日時:09年3月21日(土)〜3月29日(日)
主催:有限責任中間法人 日本ファッション・ウィーク推進機構
後援:経済産業省、独立行政法人 中小企業基盤整備機構、独立行政法人 日本貿易振興機構、知的財産戦略本部、外務省、文部科学省、国土交通省、東京都、社団法人 日本経済団体連合会、日本商工会議所、東京商工会議所、財団法人 日本アパレル産業協会、財団法人 ファッション産業人材育成機構、日本百貨店協会、社団法人 日本皮革産業連合会
日時:09年3月21日(土)〜3月29日(日)
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