3月28日(土)20:30〜@ホテルクラスカ
様々なものからの卒業。ファッションとは何かを問いかけるコレクション
09-10秋冬シーズンの東京コレクションウィークのラストを飾ったのは、セントマーチンズで出会った山縣良和さんと玉井健太郎さんによる「writtenafterwards(リトゥンアフターワーズ)」。
07年の設立以来、人とファッションの新たな関係性を構築することをコンセプトに、ファッションデザインの教室「ここのがっこう」の運営や、幼稚園でのプレゼンテーションを行うなど、ファッションだけにとどまらない活動を行う新進気鋭のファッションレーベルである。
4シーズン目となる今回は、「Graduate Fashion Show」と題し、様々なものからの"卒業"をテーマに据えた。ショーに先駆けてデザイナーの山縣さんは「僕は0点」という絵本を発表し、そのストーリーをもとに作られた20体のアートオブジェのような作品を発表した。これらは布や糸は一切使わず、美術・服飾系専門学校の卒業制作から出た廃材の紙や木、ゴミ袋などを再利用して制作されているというから驚く。
「完璧を求められることが多い今の世の中で、100点を目指すんじゃなく、全く逆のベクトルの表現をしたらどうだろうと思ったのがきっかけです。洋服じゃなく、とにかく何でもいいから体にまとう物を作ろうと思いました」(山縣さん)。
真っ暗だったランウェイに煌煌とスポットライトが照らされると、くしゃくしゃに丸めた紙くずを思わせる、巨大なショッキングピンクの球体をまとったモデルが登場。頭には角帽をかぶり、顔はほとんど覆われていて見えない。続いてくずかごを象ったメッシュの筒状のオブジェや、ガムテープを体にぐるぐる巻きにしたようなドレスが次々と登場。新聞紙とアルミホイルで作られたドレスにはキリンの立体造形が付いていたり、動物モチーフも印象的だ。
「ファッションへのアンチテーゼでなければ、破壊でもありません。ファッションが大好きだからこそ、ファッションに、本来持っていたはずの夢や自由を与えたいと願う表現なんです」(玉井さん)。
「ファッションデザイナーであることは、本来は自由で、ある意味エゴイスティックに表現できる、夢を持てる職業なはずなのに、最近はファッションデザイナーでいることがすごく不自由なことに思えて仕方ない。クローズデザイナーではなく、ファッションデザイナーであることとは何かを、もう一度考えるべきなのではないかと思うんです」(山縣さん)。
原点に立ち返り、様々なものから卒業し、勇気を持って変化する時期である、という思いが込められた今回のコレクション。「ファッションを志した原点に返って、もの作りに対するエモーショナルな感情を出したかったんです」という山縣さんの言葉の通り、ファッションとは、トレンドとは、もの作りとは何か、という問題提起が込められたパンクチュアルなコレクションになっていた。
ちなみに、今回でデザイナー玉井さんは同ブランドを辞任。今後は山縣さんが単独で「writtenafterwards」を引き継ぎ活動していく予定だ。
撮影・取材・文/『ACROSS』編集部
■Japan Fashion Week
日時:09年3月21日(土)〜3月29日(日)
主催:有限責任中間法人 日本ファッション・ウィーク推進機構
後援:経済産業省、独立行政法人 中小企業基盤整備機構、独立行政法人 日本貿易振興機構、知的財産戦略本部、外務省、文部科学省、国土交通省、東京都、社団法人 日本経済団体連合会、日本商工会議所、東京商工会議所、財団法人 日本アパレル産業協会、財団法人 ファッション産業人材育成機構、日本百貨店協会、社団法人 日本皮革産業連合会
日時:09年3月21日(土)〜3月29日(日)
主催:有限責任中間法人 日本ファッション・ウィーク推進機構
後援:経済産業省、独立行政法人 中小企業基盤整備機構、独立行政法人 日本貿易振興機構、知的財産戦略本部、外務省、文部科学省、国土交通省、東京都、社団法人 日本経済団体連合会、日本商工会議所、東京商工会議所、財団法人 日本アパレル産業協会、財団法人 ファッション産業人材育成機構、日本百貨店協会、社団法人 日本皮革産業連合会