09年3月28日(土)、宝島社が主催する『InRed』6周年×表参道ヒルズ3周年記念〜オモカジ女子祭り〜「InRed 表参道 collection2009」が、表参道ヒルズ本館B3Fの「スペースオー」で開催された。会場には、抽選で招待された『InRed』読者300組600名が集まり、“30代女子”の熱気に包まれた。
2003年2月に創刊した『InRed』は今年6周年。同誌は当時、30代の女性誌といえばコンサバ系か海外モード系の大きく2つの切り口しかなかったところに、「“30代女子”のためのカジュアルファッション」を打ち出し新たなマーケットを開拓。30代の女性を“女子”ととらえた「大人可愛い」ファッション提案が共感を呼び、年々部数が増加した。そして雑誌不況といわれる現在、36万部(09年2月号現在/実売26万部)へと発行部数を伸ばす好調ぶりだ。ちなみに宝島社は、『sweet』や『spring』の発行部数も増大するなど好調で、業界でも注目される存在となっている。
イベントは、同誌でお馴染みのモデルが着こなす「FRANQUEENSENSE(フランクウィーンセンス)」や「vanessabruno(ヴァネッサブリューノ)」など7ブランドによるファッションショーや、人気メイクアップアーティスト中野明海さんによる「大人可愛いメイク講座」に加え、同誌での連載も持ち『InRed』世代から絶大な支持を得る小泉今日子さんのトークショーなどが行われた。
メイク講座では、中野さんが分かり易く解説をしながらモデルにメイクを実演。「コンシーラーは叩き込まず境目を馴染ませるだけ」「チークは2色使いで自然に」「シェーディングはふだん使用する2〜3トーン暗めファンデーションで代用」「眉は短めのナチュラルな太眉がトレンド」など、ナチュラルでも華やかな“大人可愛い”メイクテクニックを披露した。そして本イベントのメインでもある小泉今日子さんがステージに登場すると、会場は一気にヒートアップ。同誌の大平編集長も加わり、連載の裏話や、30代〜40代でのライフスタイルや気持ちの変化、『InRed』世代へのアドバイスを交えたトークに、来場者は熱心に聞き入っていた。しかし約2時間強のイベント中はずっとスタンディングだったこともあり、中弛みするシーンもみられたのが少し残念。
「30代女子」をターゲットとする同誌だけに、来場者のメイン層は25〜30代の女性。なかにはお母様と一緒の母子や今話題の“草食男子”とのカップル、幼児連れのお母さんの姿が見られたのが印象的だった。
ファッションで目立ったのはワンピース。花柄やホワイト〜ベージュでふんわりと女の子らしいシルエットのワンピースに、黒ジャケットやグレーのカーディガンを合わせてやや大人っぽく着こなしたスタイルが多かった。全体の色使いは控えめで上品な着こなしが主流ではあるが、バッグや靴などの小物でデザイン性の高いものを取り入れ華やかさをプラスしていたのが『InRed』的だ。一方、関係者には“コマザワンヌ”のようにかごバッグやトートバッグなど、小物でカジュアルダウンする上級カジュアルが多かった。
実際に着用していたのは、「PRADA(プラダ)」「BALENCIAGA(バレンシアガ)」「MARNI(マルニ)」「Yohji Yamamoto(ヨージヤマモト)」といったハイブランド系から「moussy(マウジー)」「SLY(スライ)」「ANAP(アナップ)」など109系、「aquagirl(アクアガール)」「GALLARDAGALANTE(ガリャルダガランテ)」などのセレクト系に加え、「LOWRYS FARM(ローリーズファーム)」や「JEANASIS(ジーナシス)」「UNIQLO(ユニクロ)」「ZARA(ザラ)」まで多種多様。ブランドにこだわり過ぎないミックス感覚で、等身大の“大人カジュアル”を演出していた。実際の買い物スポットは、「便利」「ツボをおさえたセレクト」といった理由から意外にも「ルミネ新宿」の人気が高かった。
ヘアはというと、ゆるいウェーブのセミロングヘアが大多数。前髪は自然にサイドに流すなどナチュラルなヘアスタイルが主流だったが、なかには、重めバングスのボブヘアやマニッシュなショートヘアなどトレンドを意識したエッジーなスタイルや、カチューシャ、シュシュなどヘアアクセサリーですっきりまとめたヘアアレンジもみられた。
また、同イベントへの来場目的を聞いてみたところ、小泉今日子さんの人気に負けず劣らず、メイクアップアーティスト中野明海さんへの支持が高かったのが興味深かった。なかには「中野さんの顔が好き」「メイクのファンでしたがご本人がすごくかわいくて中野さんばかり見ちゃいました」というように、外見的な魅力への声もあがるなど、中野さん自身がアラフィフ(!)とは思えぬ“大人の赤ちゃん肌”とベビーフェイスを兼ね備え、YOUさんや小泉今日子さんと同じく“大人可愛い”を体現するひとりとして支持されつつあった。
『InRed』の魅力について聞くと、「上品さのあるカジュアルファッションで取り入れやすい」「年代にあっている」「頑張りすぎずリラックス感のある感じが好き」「ナチュラルで良い」「オンオフの使い分けが参考になる」など、同誌の意図が読者に伝わっている様子が伺えた。そんな同紙が作りだした“大人カジュアル”マーケットの流れを受け、「働く女性」をターゲットにする『BAILA』(集英社)や『Oggi』(小学館)などのコンサバ系雑誌もここ数年“脱コンサバ化”が進んでいる。カジュアルアップしたストリート系とドレスダウンしたコンサバ系のファッション感覚が接近したことにより、この“大人カジュアル”マーケットはさらに拡大しそうだ。
[取材・文/『ACROSS』編集部]
[撮影/阿部智将]