第3回 激アツ祭
レポート
2009.09.09
カルチャー|CULTURE

第3回 激アツ祭

高校生の高校生による高校生のためのイベント

司会のアンガールズとナイツ、超新塾と実行
委員会の女子高生たち。オープニングはオー
ルキャストが登場。
収益金で「激アツの木」を植えるというチャ
リティバザー。女子高生が好きそうなかわい
い&キラキラ系のグッズが目立つ。
(左)中島映美さん(高2)
ペットボトルのキャップがワクチン寄付に
なるのは、今回集めることになって初めて
知りました。1人ではなかなか集められな
いので、バイト先やコンビニに箱を置いて
もらったりして頑張って集めました。これ
だけたくさん集まると達成感があります。
(右)高橋万里菜さん(高3)
実行委員は45人いますが、そのうち41
人が女子! 女子高ノリで自分の学校の文
化祭よりも楽しく準備してきました。ラス
トにみんなで踊るダンスを一生懸命練習し
たのがこの夏のいい思い出。高3なので来
年参加できないのが残念です。 
倉屋亜佳根さん(高3)
私は受験生なので、この夏の思い出は激ア
ツ祭にかけています! 実行委員として参
加していく中で、友達もたくさんできて本
当に楽しかった。有名人に会えるのもうれ
しいし。高校時代のいい思い出になりそう
です。
佐々木亜紗美さん(高3)
今日はMCも兼務している実行委員長です。
みんなで5月ぐらいから準備をはじめ、最
初は週1ぐらいで打ち合せをしていました
が、直前にはもうほぼ毎日! エンディン
グのみんなでダンスをするのが一番の楽し
みで、そのためにずっと練習してきました。
今日は燃え尽きます!
 政権交代が確定した衆議院選挙の翌日の台風の真っ只中、「第3回激アツ祭」が渋谷AXにて開催された。

 「激アツ祭」とは、高校生マーケットのリサーチ、プロモーション、商品開発等を得意とする(株)アイ・エヌ・ジーが主催し、同社にモニターとして登録している現役の高校生が実行委員として主体的にプロジェクトの企画立案から運営・宣伝までを担当する、高校生のための大文化祭である。企画の趣旨は3つ。

(1)高校生の青春時代における思い出作り(熱くなれる)場の提供
(2)高校生の夢実現に繋がるきっかけの場の提供
(3)高校生の起こした行動を社会貢献につながる活動として形作ること


 イベントの内容としては、ダンス、ライブ、お笑いなど、高校生に人気のあるコンテンツをラインナップ。回を重ねるごとに動員数も増え、3回目を迎える今回は約1,000人となったそう。

 会場は夏休み最終日を迎えた“もっと燃え尽きたい”高校生の熱気で溢れていた。全体的には男子より女子のほうが多いが、5〜6人のグループも目立った。MCはアンガールズと実行委員の女子高生。有名人に対する距離感ゼロで、むしろ女子高生のほうがリードすることもある進行ぶりは、頼もしさすら感じられた。

 お笑いではナイツと超新塾など若手の人気どころや、音楽ではガールズ・ヒップホップグループYA-KYIM、R&Bの新人ユニットSQUARE HOODなどが登場。ヒップホップダンスチームのKoRocKやD-BLASTは、すでに高校生には人気が高く、ステージもかなりの盛り上がりを見せていた。

 激アツ祭ではアーティストがゲストとして出演して終りではなく、実行委員でもある現役高校生とのコラボ(ダンス・お笑い)が特徴で、高校生にとっても有名人と同じステージに立ってお笑いの掛け合いに挑戦したり、一緒に練習を重ねてダンスをしたりできることは、大きなモチベーションになっているのだろう。

 高校生が商品開発に携わったという「かむかむレモン」の新フレーバー(恋するロイヤルミルクティー味)の発表では、女子高生に絶大な人気のポップティーンのカリスマモデル小森純がプレゼンターとして登場。ギャル系のカリスマモデルや読者モデルは、女子高生には特に人気が高い。

 また、「みんなで考える時間」というトークバトルでは、「最近の男子」や「日本人はもっとアツくなれ」といった議題があがっていた。女子高生にとっては最近の草食系男子は物足りないというか、彼氏にするには頼りないと感じているのだという。日本人全体に対して、もっとアツくなろうよ!という提言もあり、高校生たちのもっともっと燃焼したい、アツくなりたいというパワーを感じた。

 その他、会場には、「チームマイナス6%」のチャレンジ宣言(キャッチコピーは「激アツJKが地球を守る!!」)の受け付けや、100人分のワクチン寄付を目指して高校生が集めているペットボトルのキャップの収集(20個持ってくるとハズレなしの抽選会に参加できる)、収益金を「マイ・ツリー」に寄付するチャリティバザー開催など、社会貢献を高校生目線で解釈・表現したコーナーもあり、同世代の入場者で賑わっていた。

 地球温暖化の説明も「地球の温度があと2度下がったら日本に四季がなくなっちゃうんだって。そしたら、ホワイトクリスマスみたいなロマンチックなこともなくなっちゃう。これってイヤだよね」といった具合。

 ルーズソックス全盛期だった頃の女子高生より、さらにパワーアップしている印象。ノリだけでガンガン行くギャル的な遊びの要素だけでなく、社会貢献というキーワードが「コンテンツ化」されていることにも象徴されるように、どこか地に足が着いているように感じた。

 今どきの高校生たちはクールどころか、もっともっと自分たちが熱くなれる場を求めているということがよくわかるイベントだった。終わる頃にはいつのまにか台風もどこかへ去っていた(!)。渋谷の高校生(特に女子!)パワーはまだまだ健在なり。


[取材・文/会田裕美(マーケティングプランナー)]


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