東京コレクション参加ブランドのブライダル衣装をレンタル・オーダーできるブライダルサロン「Cli’O mariage(クリオマリアージュ)」が、09年6月18日、東京都渋谷区道玄坂1丁目にオープンした。運営元は株式会社コードスリー。同社は1989年に創業し、大手アパレルから国内外のデザイナーズなどハイブランドの洋服・小物や、家具等を、スタイリスト向けに貸出すプロユースのレンタル事業を展開している。幅広いネットワークを活かし、04年からはWEBショップ「select SHOP COS-MO-RA-MA(セレクトショップ コズモラマ)」をスタートし、一般消費者への販売も進めている。
ブライダル事業参入へのきっかけは、「昔ながらの“お人形チックでゴージャス”な衣装しかないブライダルの状況に疑問を感じていたから」というのは、同社代表取締役の武田和子さん。同社スタッフが結婚する際にも、自分のファッション感覚にフィットするドレスやメンズスーツが見当たらないと嘆き、自ら作ったりアレンジしたりしている状況に触れたことも理由のひとつだという。同店は今回、スタイリストレンタル用に揃えていたウェディングドレスを再編集し、ブランドに交渉して特注でドレスを作ってもらうなどして出店に至った。同店の利用は完全予約制で、1回の予約につき2時間/1組。
「海外では、自分らしいウェディングドレスを気軽に作っているのに、日本は決まったイメージの中から選ぶレンタルが約9割と主流。特にファッションに自分なりのこだわりがある方が衣装選びをする際には、違和感をおぼえることも多いのが現状です。当社が取り扱うウェディングドレスには、ブライダルラインを持たないデザイナーも多いですが、今まで培ってきたブランドとの信頼関係のもと、ご提供頂くことが可能になりました。デザイナーも、ブライダルという夢のある分野にチャレンジできる機会として、妥協のないデザインを作ろうと非常に協力的です。ビジネスとしても期待してくれていますね」(武田さん)。
コンセプトは“もっと自由にドレスを選ぶ”こと。ブライダル特有のかしこまったものではなく、現代風に楽しく自由にドレス選びができる空間づくりや接客を目指す。
同社ビルの1階にウェディングドレスフロア、2階にカラードレスフロア、別館にメンズフロアを構えている。白を基調とした1階は、アンティークの木製什器やシャンデリア等の効果もあり温かみがある空間だ。反して黒を基調とした2階は、カラードレスの色彩がエッセンスとなっている。1階は約30坪、2階約34.5坪、メンズ約87坪。
ドレスはレンタルとパターンオーダーが基本だが、一部のみフルオーダーが可能。現在の取扱いブランドは、東京コレクション、パリ・ミラノ・ロンドンコレクション等の参加ブランドやインポートブランド等約15ブランドで、今後も積極的に開拓する予定。セレクトは、ぬくもりが伝わるような手作り感や、ドレスやアンティーク調のデザインが得意なブランドにこだわっている。
同店で特に人気が高い「suzuki takayuki(スズキタカユキ)」、「KAMISHIMA CHINAMI(カミシマ チナミ)」、「fur fur(ファー ファー)」、「MAURIZIO PECORARO(マウリツィオ ペコラーロ)」、「FOR flowers of romance(フォー フラワーズ オブ ロマンス)」、唯一フルオーダーに対応する「ninita(ニニータ)」等のドレスに加え、メンズは「JOHN LAWRENCE SULLIVAN(ジョンローレンスサリバン)」のスーツ他、約100点を扱う。レンタル用に元々揃えていたカラードレスを含めたドレスは1,000点以上。小物類にも力を入れており、アクセサリーは2,000点以上、シューズ100点以上。通常のウェディングショップでは見られない、スニーカータイプやウェッジソールタイプのシューズの他、アクセサリーではビーズやレースをあしらった繊細でガーリーなものからインパクトあるインディアン調のものまで、遊び心ある個性的なラインナップが特徴だ。
通常は店頭スタッフによる接客・スタイリングだが、スタイリストとの関係を築いてきた同店ならではのサービスとして、第一線で活躍するスタイリストによるスタイリングが可能(オプション/2時間4万2,000円)。「弊社には毎日約100人のスタイリストが来店するため、とても身近な存在。彼らも新しいことを発信したがっている」(武田さん)ことから、宮崎あおいさんを担当する西脇智代さんや、TV番組『ビューティー・コロシアム』でお馴染みの桐原三惠子さん、堀北真希さんを担当する松本光司さん、栗山千明さんを担当するumeさんらが参画する。
料金は、ドレスレンタル(3泊4日)10万〜40万円、パターンオーダー30万〜100万円。また、アクセサリーブランド「e.m.(イーエム)」のマリッジリングなどをオーダーすることも可能で(マリッジリング4万2,000〜84万円、エンゲージリング40万〜130万円)、これは「e.m.」直営店と同店のみの取扱いだ。
「シューズやアクセサリーといった小物からでもご利用いただき、セレモニーではなくファッションの一部として上手にやりくりしてほしいです。ブライダルを日常とかけ離れた存在として手放すのではなく、例えば普段着がエスニックだからドレスもエスニックにしてみるなど、自分なりのブライダルを楽しんでほしいですね」(武田さん)。
客層は、OLからエディター、アパレル関係、芸能人までと幅広い。特に多いのは、雑誌『In Red』の愛読者などファッション好きの30代前半や、取り扱いブランドのファン層。神前式で挙式し、披露宴や二次会用のドレスからアクセサリーまで一式を求めることが多いのも、最近のブライダルトレンドの傾向を反映しているといえるだろう。また、関西圏など地方からの問い合わせも増えているというから、ニーズは決して東京のファッション・アディクトにとどまらないようだ。
また、来春からは新たにL'AUTRE CHOSE(ロートル ショーズ)、GIVENCHY(ジバンシィ)、MARK BY MARK JACOBS(マークバイマークジェイコブス)、CHIE MIHARA(チエミハラ)といった人気ブランドのブライダルシューズの販売を始めるという。
「味気ない白い靴ではなく、自分らしいとっておきの靴でヴァージンロードを歩きたいと願う方は多いのではないでしょうか」(武田さん)。
08年10月にはファッション誌『ELLE』から“自分らしいおしゃれ婚”を提案する『ELLE Mariage(エル・マリアージュ)』が創刊されるなど、アラサー世代を中心とした“婚活”ブームのなか、“自分らしさ”を演出できるかどうかが今後のブライダルのキーワード。同店は、“ファッション”を切り口に、いち早くそんな消費者の潜在ニーズに応えたブライダルサロンといえるだろう。
取材・文/緒方麻希子(フリーライター/エディター)+『ACROSS』編集
Cli'O mariage(クリオマリアージュ)
〒150-0043 東京都渋谷区道玄坂1-16-16 道玄坂1丁目ビル1F
TEL:03-3770-9722FAX:03-3477-7976
HP:http://www.cliomariage.com
MAIL:info@cliomariage.com
営業時間: 月曜〜土曜: 15:00〜20:00
日曜・祝日: 10:00〜18:00
<※完全予約制(2時間制)>
定休日:夏季休暇、冬季休暇、他
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TEL:03-3770-9722FAX:03-3477-7976
HP:http://www.cliomariage.com
MAIL:info@cliomariage.com
営業時間: 月曜〜土曜: 15:00〜20:00
日曜・祝日: 10:00〜18:00
<※完全予約制(2時間制)>
定休日:夏季休暇、冬季休暇、他
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