世界13カ国の『VOGUE(ヴォーグ)』が協力して、NY、パリ、ミラノ、東京などで一斉に開催したナイトショッピング・イベント「FASHION'S NIGHT OUT(ファッションズ・ナイト・アウト=FNO)」。このイベントは、世界的な景気後退の中で3月に開催されたパリコレの際、世界から集まった『VOGUE』編集長たちに対し、「こんな時だからこそ、ファッションを盛り上げたい」という『VOGUE US』編集長のアナ・ウィンターの発案によって実現した。
東京では9月11日に表参道・青山エリア一帯の217の店舗/商業施設が協力し、延べ5万人を動員した。日本で『VOGUE NIPPON』を発行するコンデナスト・パブリケーションズ・ジャパンによると、この日参加した全店舗の延べ売上高は1億円。世界的な不況下でくすぶっていたファッション・ヴィクティムたちのショッピング熱を掘り当てた形となった。
表参道ヒルズでFNOアンバサダーの富永愛とMCのクリス・ペプラーらによるオープニングセレモニーが夜7時半に幕を開けると、吉川ひなのやライブを披露した土屋アンナらゲストを一目見ようと、レイヤー上に連なる各階には多くの人がびっしりと詰めかけた。
各ショップで限定アイテムの販売、スタンプラリーの実施、シャンパンやフィンガー・フードが提供されたほか、オープニングとクロージングのセレモニーが行われたイベントの拠点となった表参道ヒルズではセレブが提供したチャリティオークションも実施された。
イベントに参加したのは、表参道ヒルズやGYREなどの表参道/みゆき通り沿いの表参道エリア、それにドゥロワー(Drawer)やシンシアローリー(Cynfhia Rowley)といった骨董通り沿いの、主にファッション系の店舗。シャネル(CHANEL) やディオール(Dior)などの高級ブランドから、 H&Mやフォーエバー21(FOREVER21)といったファストファッションのほか、一部ではゴディバ(GODIVA)、ピエール・エルメ(PIERRE HERME)などの飲食店も参加した。
世界の13都市で開催されたとはいえ、イベントの趣旨自体はナイトショッピングを楽しむだけの、まさに“夜市”。だが、華やかな表参道/青山の店舗で振る舞われた、シャンパンやワイン、フィンガー・フードが、ショッピング慣れしたはずの来場者にも、一種パーティ気分のような特別な盛り上がりを与えたようだ。
主催者のコンデナスト・パブリケーションズ・ジャパンには、多くの店舗から「新規顧客が多く来店・購入した」という声が寄せられ、「1,000人以上のお客様が来客された」(プラダ)、「ファーなどの高額品を即決いただいた」(ディオール)という声もあったという。確かにGYREやディオール(Dior)といった店舗にも、ひっきりなしに人が訪れ、通常は敷居の高さを感じるはずのヤング層も多く出入りしていた。
現実はどの商業施設でも商況は不振だ。しかしそんな今だからこそ、このような“お祭り”的なシチュエーションを設けることによって、生活者の消費行動を盛り上げるのもひとつの方法といえる。
[取材・文/渡辺正明(フリーライター)+『ACROSS』編集部]
■FASHION'S NIGHT OUT(ファッションズ・ナイト・アウト)
『VOGUE US』編集長のアナ・ウィンターの発案により、世界13カ国のヴォーグが協力して、NY、パリ、ミラノ、東京、ロンドン、北京、デリー、台北、ベルリン、リオデジャネイロ、マドリード、アテネで開催。極東(東京、北京、台北)は9月11日、その他の都市では9月10日の開催。
■参加店舗数:217店
■来場者数
延べ来場者数:4万7,740名(推定)
・1店舗あたりの平均来場者数:220名
・1店舗あたりの最大来場者数:1,100名
・延べ来街者数:5万5,000名 以上
■売上
・スタンプラリー参加店売上(96店舗合計):4,147万円 以上
・1店舗あたりの最大売上:800万円
・延べ売上(推定/217店舗合計) 1億円 以上
<以上コンデナスト・パブリケーションズ・ジャパン 調べ>
レポート
2009.09.30
ファッション|FASHION
FASHION'S NIGHT OUT(ファッションズ・ナイト・アウト)
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