昨シーズンと同様、JFW公式スケジュールの大トリを飾ったのが、山縣良和さんによる「writtenafterwards(リトゥンアフターワーズ)」。09A/W Collectionでは「Graduate Fashion Show」と題し、披露したコレクションは、服飾、美術系学校の卒業制作の過程で出る廃材を再利用して作られた作品を発表。絶賛を浴びる一方で否定的な意見も多く、センセーションを巻き起こした。
そんな同ブランドの新作コレクションは、「創造力を感じられるものを表現したい」という思いから、「神々のファッションショー〜神さまからの贈り物〜」をテーマに掲げ、もしも遠い昔、たくさんの動物たちの前で世界で初めてのファッションショーが神々によって行われていたら」というストーリーに基づいてショーが発表された。
会場となった台東デザイナーズビレッジの体育館は超満員。山縣さんの「ファッションの神様を間近で見てほしい、子供のような純粋な気持ちで見てほしい」という思いから、来場者は床に直接座って観覧するスタイルになっている。ステージ正面からまるで後光のようなまばゆい光が差し込むと、白いあご髭を蓄え、杖をついた神様のような扮装のモデルが登場。モデルたちはみな、1反=約50mの反物を体に巻き付けているが、これらはさみを入れたり縫ったりせずに、ぐるぐる巻きにしたり、ねじったり、結ぶことで形を形成しているものだ。
今回の作品にはスーパーオーガンジーや墨流し、リネンやコットンジャカード、サテンなど日本各地の生地メーカーから譲り受けた日本産の反物を使用。今回のイメージを最大限に活かすこと、日本らしいものであることを基準に選んだのだそうだ。
「服作りの原点は布を巻くこと、という発想から、今回のコレクションを制作しました。ファストファッションよりも速いファッションとは何だろう?と考えた時に、ユーモアを込めて体に布を巻き付けることで、洋服を表現したんです」(山縣良和さん)。
昨シーズンと同様、服作りの常識を覆すことでファッションとは何かを問いかけるコレクションになっていた。同時に、ファッションの原点に立ち返ることで、ファッション本来の魅力や文化としての可能性を改めて考えようという問題提起のようにも感じた。
レポート
2009.10.28
ファッション|FASHION
2010SS東京コレクションレポート_writtenafterwards(リトゥンアフターワーズ)
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