今月の定点観測の目玉ともいえるアイテムが、「レギンス男子」だ。そのデザインのインパクトの強さからか、既に秋冬の時点で、テレビや新聞などでも取り上げられ、話題となっていた、あのアイテムである。
レギンスの定義は、タイツの足首から下をカットオフしたような形のボトムスで、その上に何らかのアイテムを重ねて着用するのが一般的だ。もともとコットン素材が主流だったスパッツがナイロン素材またはナイロン混紡の素材により、肌に張り付くような収縮性をもったものへと進化。既に3年ほど前から女性を中心に、スカートやショートパンツの下に重ねて着用するスタイルとして定着しているアイテムである。
それが、男性にも一般化したのが今シーズン。マスコミの報道では、ユニクロのヒートテックのタイツ版がきっかけ、となっていたが、毎月定点観測を行っている筆者らの見解はちょっと違い、以下の2つの流れがあることが明らかになった。
1)もともとアウトドア好きの人や自転車乗りの人が、2、3年前からスポーツブランドのレギンスを購入し愛用していたが、保温性に長けていたり、収縮性も優れているなど、機能がいいことから、ふだん使い(リアルクローズ)としても着用するようになった。 ⇒アウトドア/自転車好きの男子のグループ。
2)2008年10月に発表された2009春夏のパリコレクション(ギャルソンやジョンガリアーノ、ジバンシーなど)や東京コレクションで発表されたのが引き金で、着用するようになった。 ⇒モード好き男子のグループ。
1)2)ともに、その背景には、ここ数年の男性の夏の短パンブーム〜浸透と、裾のロールアップ人気がある。夏はナマ足だったが、秋になり、レギンスをプラスしたというわけだが、ソックスのように何枚か購入し着用するうちに、安くてそこそこ機能性というユニクロも買うようになっていった、ということのようだ。
1)は、30代以上に多く、よく読む雑誌に『Be-Pal』が登場するなど、本気のアウトドアボーイや自転車乗りなどが顕在化。ふつうに渋谷や新宿に目立った。また、レギンスではなくても、裾の短いクロップトパンツやロールアップして見せた足首部分が、パンツとは異なるパステル〜ポップな色のソックスをチラ見せするスタイルが、30〜40代に支持されていたが、これは根強いトム・ブラウンの影響と思われる。
一方、2)は、サロンボーイ系のスリムな男子に多く、全身黒でロングスカート+レギンス、バルーンシルエットやサルエルパンツといった変形パンツに+黒レギンスというモード系か、逆に色や柄の組み合わせが派手なカラフルコーディネートの“フェノメノン系”が、特に原宿地点で目立った。
「つりやトレッキングが趣味で、山登りをする人の間では当たり前です」と言うのは、34歳の男性03567番さん。「08年の冬くらいから、ショートパンツが履きたくてレギンズを合わせるようになった」と話してくれた。現在、街用は10本、山登り用は2本と、その数は逆転! ちなみに、インタビュー時の来街目的は、渋谷パルコのパルコファクトリーで開催中だった「みうらじゅんの展覧会」だった。
また、「長いズボンよりも合わせやすいのでよく履く」と言うのは、19歳(1990年生まれ)の専門学校1年生の03578番さん。グッズ基礎科という専攻も興味深いが、「合わせやすい」理由は、トップスにボリューム感があるのでボトムスはスリムにしたい、というシルエットへのこだわりが、女子のトレンドと似ていて注目される。
18歳(1991年生まれ)の高校3年生の03580番さんは、「貴族のようにしたかった」とか。レギンスを見せたくて、パンツの裾をゴムで止めて、モモンガパンツ風にしているとのこと。「後ろからみるとスカートっぽく見えるようにした」と話す。レギンスはユニクロで1,000円。他に合わせていたアイテムを購入していたのは、ウィーゴと、39マート、マライカと、古着屋か雑貨屋というのが、今どきの高校生のファッション感覚を表していて興味深い。
他にも計34人のレギンス男子を撮影&インタビューしているので、ぜひチェックしてみてください。
http://www.web-across.com/observe/cnsa9a000004lk3n.html
レポート
2010.01.23
ファッション|FASHION
第349回定点観測・速報
今さら? いえ、レギンス男子は「一般化」した今がニュース。
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