衣料専門店としては初の"メイド"を起用した接客で、話題を集めている「ジーンズメイト アキバあそび館」。電気街の中心に地上6階延べ床面積759�uの店舗は、同社としても都内最大級規模で、1〜3階にトイや雑貨を並べ、アキバという立地を意識した品揃えとなっている。"オタク"カルチャーの聖地ともいえるアキバに新風を吹き込めるのか否か、注目されている。
同店舗は周辺を、TSUKUMO(ツクモ)、FIRST POINT(ファーストポイント)、あきばお〜、ソフマップなどのPC及び周辺機器を扱うショップが隣接するほか、同人誌、オモチャ、Tシャツ、フードなど、取り扱うアイテムが雑多なエリアだ。
同店舗も1階:雑貨・バラエティ(アキバキャラ系)、2階:雑貨・バラエティ(キャラクター系)、3階:パロディ・東京みやげ(アパレル中心)、4階:メンズトップス、5階:メンズボトムス、6階:フリースペースという構成。アイテム数もホビー類が約2,600に比べ、衣料品類が約420、服飾雑貨が約350と非衣類が多い。年間売り上げは5億円を計画している。
「入り口となる1階はあえてカップルやファミリー、女性でも入りやすくするためオモチャや雑貨を揃えました。フロア構成は正直言って最後まで悩みましたが、先ずは多くの人にご来店いただくことを考え、秋葉原という特性を考慮しホビー類を充実させました」と話してくれたのは同社広報の伊藤淳一さん。
メイドは全員で5名。日によって2〜3名が店頭に立つそうだ。4・5階のアパレル階のみでの接客となり、接客方法はほぼ個人に任されているが、メイド割やセット販売、全身コーディネートなど、メイド接客ならではのサービスも提供している。
ターゲット層は10〜20代の男性で、この部分は想定通りという。4・5階のアパレル階の商品構成は、ジーンズを中心に、Tシャツなどのカットソー、シャツ類などのカジュアル衣料となり、他店舗とほぼ同じ。ただ、アパレル階に限定すると、手狭なため、やや絞った商品構成。以前にアパレル販売を経験していたメイドのゆめさんに聞いたところ、「ダウンやコート類など高額品がなかなか売れません。2時間接客して低価格のジーンズ一本だけという方もいらっしゃるので、なかなかまとめ買いに繋がりませんね」と顧客の属性が従来と異なる点を率直に話してくれた。
同店の来客数は旗艦店の池袋に次ぎ、全店舗で2番目に多いそう。
「当初、ここまで話題を集めるとは想定していなかったので、我々の方がびっくりしている。オープンから1ヶ月は毎日のように取材があった。場所柄、海外からのお客様も多い。衣料品に比べ粗利の低い雑貨・ホビーを揃えているため、他店舗に比べると粗利率は低め。ただ、衣料品はまだまだ伸ばせる余地がある」と伊藤さんが話すように、取材中も、オタク系から白人、普通のカップルなどが入り交じり、顧客層は相当バラエティに富んでいた。
秋葉原には現在、08年に開業した駅ビルのAKIBA TOLIM(アキバ・トリム)」には無印良品とUNIQLO(ユニクロ)が入っており、09年12月には駅前にAOKIがオープンしているなど、新規参入が著しい。また、秋葉原駅は総武線と山手線、それに日比谷線が乗り入れるターミナル駅であり、駅前の集客力は高い。
一方、同店は駅前からやや離れており、多彩な店舗がひしめき、コアな客層の多いエリア。だからこそむしろ、目新しいサービスを打ち出す店舗として、周辺に馴染んでいる印象を受けた。また、オタクカルチャーが、有力なクリエーターを引き寄せる動きもある。過去に弊誌で取材した「galaxxxy(ギャラクシー)」やファンタジスタ歌麿呂ら有力なクリエーターらが、メジャーデビューアイドルが接客を行う秋葉原のライブハウス「DEAR STAGE(ディアステージ)」とコラボレーションするなど、クリエイティブシーンでも、オタクカルチャーは盛り上がりつつある。そんななか、同店は新しい顧客層の掘り起こしに繋がる可能性を秘めている。
「“オタク文化”は新しい潮流で、全国に広がっている。今後はホビー類を含めた商品構成を他店でも展開していきたい」(伊藤さん)。
[取材・文/渡辺正明(フリーライター/エディター)+『ACROSS』編集]
レポート
2010.03.12
ファッション|FASHION
アキバ あそび館
メイドが接客してくれるジーンズメイトの新業態 @秋葉原
関連リンク
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アキバあそび館
住所:東京都千代田区外神田1-8-8 岡嶋ビル1F〜6F 電話:03-3254-0370 営業時間:24時間 定休日:年中無休 - 株式会社ジーンズメイト
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