2010年2月6日土曜日に実施した第350回めの定点観測。前日までプレサーベイを実施した結果、以下の3つのテーマに注目することにした。
・女性メタル使い小物、うち、メタル使いバッグ
・パーマ男子
・変形パンツ
今月の定点観測の解説第1弾は、カウントアイテムではなく、久しぶりに観察していて変化があり、興味深かった「パーマ男子」から。
2008年にボブヘアの男性が増えたことから、本誌定点観測でも「ボブヘアの男子=ボブ男」と命名し、取り上げたのは、2008年6月のこと。後日、09年7月13日付けの『日経MJ』「ブームの予感」面でも、「街で見かけるボブ男なヤツ〜人生もヘアも型にハマらず」という記事を寄稿したが、その特徴は、「中性的」で、「もっさい感じ」、「やぼったい感じ」にあった。
つまり、世間一般からすると、好感度といわれる毛先を短くツンツン立てた「さわやか系サラリーマン」や、男らしくかっこいいと大人気のミュージシャン、EXILE(エグザイル)に代表されるような「シュッとした感じ(インタビューの回答そのままの表現)」とは対極に位置する、もっさい「ボブ男」は、ある意味、「クリエイティブ」を基軸とした、新しい男性像のアイコンでもあったのである。
実は、今回取り上げた「パーマ男子」も、「ビジネス」よりも、「クリエイティブ」であるかどうかにこだわるグループだろう、という仮説のもと、デプスインタビューを行った。
「前はボブでしたが、今回はパーマをかけて、もしゃもしゃした感じにしました」(21歳・会社員・デザイン)
「もともと短髪だったのですが、そこから伸ばしてイメージを変えようと思いパーマをかけました」(25歳・自営業)
というように、仮説通りの男性もいたが、「もともと天然パーマなので」や「セットが楽だから」、「パーマで大人っぽくしたかった」という人も少なくなかった。
また、完成したパーマヘア・スタイルは、以下の4パターンに分類された。
1)クセ毛や天然パーマを生かした、ウェービーなナチュラルボブのスタイル
2)全体的に丸くボリューム感のある、外国の子どもや大学生のようなソフトカーリー・スタイル
3)片側サイドを短く刈り上げ、アシンメトリーなボリューム感で80年代風のアヴァンギャルドなスタイル
4)全体的に短めで毛先を遊ばせて男らしさを追求した、動きのあるワイルド系のスタイル
それぞれのファッションの特徴をみると、1)に人気なのは、ベーシックなアメカジスタイル。ウェリントンタイプの黒縁眼鏡をプラスして、知的且つクリエイティブな印象を受ける。
2)や3)に人気なのは、今回の「ズームアップ3」として取り上げている「変形パンツ」、なかでもサルエルパンツを履き、リュックが差し色の全身モノトーンのコムデギャルソンのようなスタイリングでモードなグループで、専門学校生やショップスタッフに多い。また、レザーブルゾンやテーラード/チェスターコートにデニム+ブランドバッグという、パーマヘアでワンポイント変化を加えた「上質なベーシックスタイル」も今後30代、40代へと拡がりそうだ。
4)は、デザインデニムやバックルが大きめのベルト、レースアップブーツ、スタッズ使いと黒ベースにワイルドなパーツが目立つスタイリングが多かった。
また、実は、2)や3)のパーマスタイルは、女性の間でも増えており、3)のような、いわゆるトレンドヘアにしたいという「ファッション・アディクト」な層に加え、マス化したボブヘアを伸ばそうという中途半端な長さへの対処だったり、今のヘアスタイルから何か変えたいと思っているが、カットよりも印象が変わるパーマを選択したといった声も聞かれた。
この「何か変えたい」「変化をつけたい」「変わりたい」という気持ちの高まりがヘアスタイル、特にパーマに表象されたのはなぜだろうか。と推察すると、無理矢理結論付けるつもりはないものの、近年の漠然とした不安感や閉塞感からの脱却をイメージせずにはいられない。
毎回インタビューで「将来の夢は?」と尋ねているが、昨年ごろから、その回答に、「幸せな家庭を築きたい」(24歳・会社員)や「親孝行をすること」(21歳・デザイン)、「元気なおじいちゃんになること」「歳をとっても働きたいし、孫とも遊びたい」(23歳・大学4年生)など、人生において「ふつうなはずのこと」を敢えて答えている若い男性が増えているのは、今年30年目を迎える定点観測史上初めての現象かもしれない。
それぞれのスタイリングは下記をご覧ください。
・「パーマ男子」OVERVIEW
http://www.web-across.com/observe/cnsa9a000004qva0.html
レポート
2010.02.24
ファッション|FASHION
第350回定点観測・速報
注目したは、女性メタル使い小物、パーマ男子、変形パンツの3テーマ。
まずは、「パーマ男子」から。
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