第352回定点観測・速報:男女レザーブルゾン
レポート
2010.04.09
ファッション|FASHION

第352回定点観測・速報:男女レザーブルゾン

「SCM時代」を象徴する、「上質なフツー」トレンドの再来。

2007年11月に実施した定点観測で取り上げた
レザーブルゾンファッション。女性はスカート
の丈が今よりも長めで、男性はギャル男独特
のワイルドなファッションが主流だった。
おそらくまったく同じブランドの同じ型の
レザーブルゾンの2人組。「お揃いファッシ
ョン」がここにきて増えている点にも注目
したい。
ウエスト部分がシャーリングされている
コンビネゾンに黒のコンパクトなライダ
ースでモード系な女性。差し色の赤も増
えている。
MJのような赤いブルゾンを深いVネックで
着用し、ショルダーを強調した着こなしの
女性。激しく色落ちしたデニムで80sスタイ
ルは今夏も健在。
10年代は、プレシャス世代(40代以上)にも
クラッシュデニムが一般化。上質レザーブル
ゾンにブランドバッグ、ウエストに巻いたス
カーフなどキラ感がポイント。
おそらくこちらは50代のカップル。男性は
ともかく、10年代のファッショントレンド
は50代、60代にも受け入れられている。

10年代のトレンドは、少しだけマニッシュがポイント。

 お花見日和となった4月3日土曜日。プレサーベイを実施した結果、今回の定点観測のテーマは、男女レザーブルゾンとした。

 定点観測では、近いところでは、2007年11月に「女性レザーブルゾン」として取り上げている、下の写真をみると、女性においては合わせるスカートの丈がうんと短くなっていることがわかるだろう。

 もともとモード系のファッションを好む男性を中心に支持されていたアイテムだが、カーフなどの堅くて厚みがあり、ジッパーを多用したハードなライダースではなく、シープスキンなどの薄くて柔らかいものが増え、シルエットもコンパクトで着やすく、かつリーズナブルなものが多数登場したことで、「着やすく買いやすい」という敷居の低さが多くの支持層を獲得したといえるだろう。

 そういえば、H&Mの昨年末のセールでは、20,000円弱だったものが2,000円になっていた! また、ユニクロでは、フェイクレザーでカラフルなものがプロパーでも4,000円弱、郊外のロードサイドやSCに出店している他のドメブランドからも、一応レザー(ペラペラで品質としては粗悪な印象!)というブルゾンが3,000円ほどで購入できるなど、ブランド名を気にしない昨今の服選びの感覚がさらに助長されてもおかしくない「SCM(supply chain management)時代」を象徴するアイテムともいえそうだ。

 さて、街をプレサーベイからみた今春のレザーブルゾンの傾向は、色は、『PS』系の子には茶色が圧倒的に多く、先月取り上げた小花柄のひらミニスカートとレギンスまたはタイツにぺたんこ靴またはアンクル丈のブーツというのがまるで示し合わせたようにセットになったコーディネートとして浮上していた。さらに、ヘアスタイルはまあるいボブ、とアタマのてっぺんから足のつま先まで全身パターン化しているのも興味深い。なかには、わざと「全身・全アイテムおそろい」にする女子もいるそうで、「コスプレ(コスチューム・プレイ)」化の進む今どきの若者たちのファッション感覚が露呈した結果となっていた。

 一方、平日に多かったレザーブルゾンは黒。ギャルや大人世代に多いのですが、昨年からのロックテイスト=全身黒コーディネートの延長として支持されているのでしょう。トップスがショート化/コンパクト化し、「にょっきり足シルエット」は健在であることもわかる。

 以前との違いは、というと、マットで真っ黒だったレギンスから、肌が透けているストッキング素材やレースタイツなど、「脱冬」ファッションへと進化していたようだ。

 「レザーブルゾン」の象徴するもの・ことは何か。おそらく、かつては春のアウターの定番アイテムといえば、Gジャンやコットン素材のブルゾン、またはニットカーディガンなどが主流だったが、比較的高価なレザーという素材が、SCMの発展により安価になり、「着やすく買いやすい」ものになり一般化した=上質化した、とも考えられる。

 また、00年代をずっと牽引してきたフェミニン、甘さなどのトレンドが、レザーという少しだけハードでマニッシュなテイストが加わり、今春のトップスとしてマストレンド化している点にも注目したい。つまり、10(テン)年代、フェミニンなものからマニッシュなものへ...。ディテールでは「おリボン」や「キラキラアイテム」など、ゆり戻しつつも、緩やかに移行しつつあるといえそうだ。


■今回注目したアイテムやスタイル
●カウントアイテム
・女性レザーブルゾン
・男性レザーブルゾン

●ズームアップアイテム
1)おリボン
2)デザイン・ソックス



■観測結果
・渋谷:
全通行人数 1,885人
 男性 862人(45.7%)
 女性 1,023人(54.3%)
 うち、スカート着用 301人(29.4%)
・女性レザーブルゾン着用 124人(14.4%)
・男性レザーブルゾン着用 153人(15.0%)

・原宿
全通行人数 4.901人
 男性 1,875人(38.3%)
 女性 3,026人(61.7%)
 うち、スカート着用 735人(24.3%)
・女性レザーブルゾン着用 143人(7.6%)
・男性レザーブルゾン着用 388人(12.8%)

・新宿
全通行人数 3,208人
 男性 1,470人(45.8%)
 女性 1,788人(54.2%)
 うち、スカート着用 615人(35.4%)
・女性レザーブルゾン着用  65人(4.4%)
・男性レザーブルゾン着用 148人(8.5%)


★各地点別の結果は別途レポートします。


「女性レザーアイテム着用/男性レザーアイテム着用」のOVERVIEWはこちらからご覧ください。
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