手前ミソの話で恐縮ですが、おそらく世界中を探しても、ここまで(ある程度)きちんとしたルールに乗っ取って、ストリートファッションを継続的に調査しているところは他にないでしょう。
せっかくなので、ここで簡単に、街頭でファッションを定期的に観察・分析する調査活動の歴史を振り返っておきましょう。風俗の「定点観測」がはじめて行われたのは、今和次郎による「東京銀座街風俗記録」(1925)とする説が一般的です。
ちなみに、「色」に関しては財団法人日本色彩研究所という期間が1953年より季節毎に実施していますが、インタビューはおこなっていません。また、「ファッション」に関しては、1970年より毎月原宿の街頭で写真撮影を行っていた箱守廣さんというカメラマンの方がいらっしゃいますが、80年代初頭に中止。「アクロス」と同じ頃に撮影調査を開始していた「トレンド情報会社」は数社ありましたが、残念ながら2000年代に入って中止してしまいました。
一方、「ストリートファッション」が注目されるようになった90年代後半になると、街頭撮影やインタビューから次のトレンドの兆しを探ろうとするマスコミや個人、学生などが急増。
2000年代になると、雑誌「フルーツ」に代表される「ストリートスナップ」で構成する媒体がウェブ上に急増します。「読者モデル」の一般化も手伝って、「ストリートファッション」は、「調査対象」ではなく「コンテンツそのもの」へと位置づけが変わっていきました。
そして2010年、ストリートスナップは全世界的に増殖していますが、そこで行き交う情報は、いわゆるファッションではなくなりつつあります。そして、リアルなクローズ(実際に私服として着用されているリアル感)やヘアメイクなどへの関心が高まるなか、とうとう掲載されたいがためのつくりこみ=「コスプレ」する人も急増。「」90年代とは異なる「読者モデル」という名称に集約されるようになっているように思います。ということで、「コスプレ化するファッション」の話は、また秋のドリフのファッション研究室ででもトピックとして取り上げましょう。。。
ということで、今回の定点観測は、気がついたら本当に増えた、男性ショートパンツに注目したいと思います。思えば、「男性ショートパンツ」をヒット商品として日経新聞に記事を書いたことがあるのですが、2007年6月のこと。そして、その記事を見直してみると、なんだか2010年の今とほとんど同じ!
インタビューでは、「その前の年はすね毛を見せるのに抵抗があって裾をロールアップしたスタイルが多かったけど、今年はふつうに履いている。さらにトレンドはひざ上丈とショート化が進んでいるので、チャレンジしたい」と話しています。
+するのは、スニーカーではなく、革靴でプレッピースタイルがトレンドで、最初に一部の人に支持されていたトレンドが翌年もう少し幅広い人に取り入れられトレンドとしてより流行ってるように感じられる「トレンド2年越し現象」についても言及しているではありませんか。
リーマンショック以降の不況の影響か、ほんとうにメーカー側の商品開発が保守化傾向にあり、流行っているものをつくるマーケットイン発想の一般化により、「トレンド2年越しどころじゃなくて、3年越しへと「延長」しているようです。
ということで、今回はいったい全男性通行人中何パーセントがショートパンツを着用するようになっているのかの数値をゲットしたく、今回のテーマとしました。
ちなみに、トレンドの流れとしては、もちろん、イオン〜郊外型のSCで多く見かけるスポーツブランドやアウトドアブランドなどの、比較的だぼっとしたショートパンツ(たいてい+スポーツサンダル)スタイルの男性も少なくありませんが、というか夏はほとんどそんなGAPおやじも多いかと思いますが、まあそれはそれでカウントには含めますが、インタビューは、シャンブレーだったりチノショートだったり、爽やかチェック柄などのプレッピーっぽい細みの上品なものと、ギャル男のバックルがでかい細身のショートパンツスタイルの2種を中心にお願いします。