■カウントアイテム:女性ベージュ系/キャメル系アウター、うち、ショート丈
トレンドは「脱・黒」。
「クラシック&エレガント」というグローバルなトレンドの東京版。
2月は通常通り第1週目の実施となった第362回定点観測。前日までのプレサーベイを通して感じたのは、少しだけトレンドが動いたのでは?!ということである。その代表的なアイテムやスタイルが、今回の「ズームアップアイテム」の2点、「ロングスカート」と「フード出しスタイル」だが、ここではまず、今秋冬のアウターのメイン・トレンドが、「ベージュ系/キャメル系のショート丈のアウター」である点に注目した。
重衣料のトレンドとしては、00年代以降順に、Pジャケット、ダッフルコート、トレンチ、ミリタリーコート、厚手のロングカーディガン、レザーブルゾン(茶)、ダウンコート(ドレス調)、ノーカラーコート、ラップ式(ガウン調)のコート、ショート丈ダウン(ボレロ調)ポンチョ、シャカシャカアウター、レザーブルゾン(黒)、ショート丈ダッフルと、ほんとうにいろいろなアウターが入れ替わり立ち代わりずっと台頭。それぞれが、より着やすく買いやすい商品として「リアルクローズ化」していくなか、近年は、ボトムスのトレンドに併せて丈がショート丈になること、色展開することがひとつのトレンドとなっている。
たとえば、10年12月に取り上げたショート丈ダッフル、それ以前もちらほら見かけてはいたものの、紺や黒ではなく、今シーズンは茶系、ベージュ/キャメル系が主流になっている。思えば、2008秋冬〜09年春夏は「ロック」をキーワードとした黒のトレンドがギャル系やプレシャス世代(40代以上のマダム層)を中心に席巻していたのは記憶に新しい。しかしその後、感度の高い90年代生まれの若者たちの台頭とともに、クレージーカラーの80sファッションと、「グリモワール」系に代表される古着〜アンティーク〜ドーリーなミルク〜ベージュ系ファッションが台頭。2010年になりその流れは、オシャレ感度のいい「女子」たちから徐々に「脱・黒」が進行しており、グレー系ではなく、茶系、しかも彩度の浅いベージュ系〜ラテ色が今秋になりかなり増えているのである。
ルーツは、2011春夏のトレンドカラーだった「ヌーディカラー」の延長にあるものだろう。ちなみに、30年間以上に渡ってストリートファッションの観察をしている立場からすると、00年代のファッショントレンドは(残念ながら)比較的トップダウンのものが多い。
もっとも量的に多かったのは、「Cancam」〜「AneCan」、「Zipper」系に多いウール素材のコート。前者はダブルブレスト風になっていたり、袖口やバックスとラップがリボンになっていたり、襟元にファーがあしらわれていて上品&プリティな着こなしで、後者はデフォルメして着こなしてドーリー、ポップ&キッチュなニュアンスを演出していた。
一方、ストリート系には、ツイードやウールのダブルブレスト、ツイール/ホームスパンの表面がモケモケした(パタゴニアの代表的なもののようなボア素材)ブルゾンなどで少しラフなおじさんっぽい/ダサイ/バナル/カジュアルな雰囲気に着こなしに。20代後半以上のエレガント系には、ウールのコートに黒のボトムスというシックなコーディネートが目立った。
実は、2003年ごろにもベージュ系〜ピンク系がトレンドカラーになったが、当時はくすんだ色味が主流だった。今シーズンのベージュ系/キャメル系は、もう少し彩度が浅く、透明感があり、春夏に向け、もっと白っぽくなるのでは、という印象を受けた。そういえば、ヘアカラーも昨秋に比べるとやや明るくなり、裾がカールした柔らかいスタイルが増えている。ベージュ系/キャメル系に裾カールヘアなど、グローバルなトレンドが「クラシック&エレガント」だとすると、東京のストリートでは「昔からいるかわいい女の子」というニュアンスにスライドしている点も興味深い。
◎女性ベージュ系/キャメル系アウター(うちショート丈)着用率
・渋谷: 18.9%(7.3%) n=1,834人
・原宿: 14.4%(5.6%) n=3,933人
・新宿: 10.2%(4.7%) n=3,221人
今回は珍しく渋谷地点がもっとも着用率が高い結果となった。何かとオシャレ感度が下がっているとネガティブなイメージで語られることの多い渋谷だが、原宿や新宿と比較すると(今月は)ややキレイめ〜おしゃれな人の来街が目立った。また、各地点とも先月と比較すると全体的な来街者数も多かった(先月はセンター試験の日と重なったため激減した)。
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◎渋谷地点のOverview
◎原宿地点のOverview
◎新宿地点のOverview