去る10月8日(土)、宮城県本吉郡南三陸町のベイサイドアリーナを会場に、「S-PAL×PARCOスマイルマーケット」が開催された。
これは、JR仙台駅前で隣接するエスパル仙台と仙台パルコによる共同の復興支援企画イベントで、地震や津波で衣服を失った南三陸町住民の女性を対象に、秋冬のファッションアイテムを無料で提供するというものである。
南三陸町は、3.11の東日本大震災の津波によって壊滅的な被害を受けたエリアで、震災から約半年経つ現在も、町民の約1/3、5,800人ほどが仮設住宅での生活を余儀なくされている。津波の被害で衣類を失った住民も少なくないなか、衣料品を提供するイベントを行った。
会場となったベイサイドアリーナは、7月まで避難所として使われていた施設で、現在は、南三陸町役場の仮庁舎として機能しているほか、災害ボランティアセンターやコミュニティFM「南三陸災害エフエム」の放送局、図書館やハローワークなどが併設されている。
もともと「スマイルマーケット」は、エスパル単独のプロジェクトとして始まったもので、去る7月23日(土)に、石巻専修大学を会場に第1回目を開催。春夏のファッションアイテム約6,000点を無料で石巻市在住の女性250名に提供したところ、非常に好評でニーズを感じたことから、第2回目となる今回、エスパルとパルコの共同で開催となった。
実は、仙台パルコとエスパル仙台は、2008年から「エキマエから東北に元気を!」をコンセプトとした共同プロジェクト「SENDSAI HEART STATION(仙台ハートステーション)」を開催している仲。これまでにも年に数回、仙台駅構内でのファッションショーを開催してきた実績がある。震災後は復興支援を軸に展開しており、今回、スマイルマーケットの共同開催に至ったというわけだ。
本イベントに先駆けて、エスパル仙台と仙台パルコの店頭で、利用客や出店テナントから衣服を募集。約8,000点の洋服や雑貨が集まった。アイテムはすべてレディスで、アウターやバッグ、靴、下着、アクセサリーのほか、ベビー用品やおもちゃなども見られた。
告知は、チラシのポスティングや、南三陸町の復興支援情報ポータルサイトなどに情報掲載したほか、「南三陸災害エフエム」で町外に避難している人々にも呼びかけた。
当日は、午前8時から整理券の配布をスタート。この時点で1,000人以上が並んでおり、開始と同時に、すべての整理券を配布終了。なんと早朝3時頃から並んだ人もいて、配布終了後も大勢が来場したそうだ。40代〜50代の主婦が中心で、10代の高校生〜70代まで年齢層はかなり幅広かった。
特設会場となったホール内は、アウター、トップス、ボトムス、靴がアイテム別にコーナー陳列されており、姿見やフィッティングルームも設置。出張ショップのような雰囲気にするため、ハンガーラックやトルソなどを使って、無機質にならないようなディスプレイを目指したという。
午前11時、スタッフの「いらっしゃいませ」の声とともに開場。会場は真剣な表情でアイテムを選ぶ来場者たちの熱気に包まれた。100名づつ会場に入場し、20分間で5点を選び、その後検品コーナーで包装するというシステム。16時の終了時間には、用意したほぼ全てのアイテムが配布された。
また、ファッションアイテムを5点選んだ後には、「お楽しみコーナー」が設置されており、パルコからはウンナナクールとタビオの協賛による下着や靴下・スタージュエリーとリベラルの協賛によるエコバック、また、エスパルからは青果物専門店いたがきの協力による季節の果物をもれなく全員に配布された。