ここのところ街で増加している、アラウンド90年生まれのコスプレ系ファッションの若者が来店しているので、2012年2月14日(土)にスナップサイト『DROP TOKYO』と『ACROSS』の共同企画で「不定点観測」を実施した。
中心は、19歳〜20代前半の服飾専門学校性や、ファッション好きの大学生。以前から高円寺のキタコレビルに通っているファンだけでなく、ミントデザインズやシアタープロダクツなど、渋谷パルコ内の他のショップを目当てに来店していて、偶然知ったという人も少なくなかった。
来場者のファッションは、男女ともに高円寺や原宿、渋谷などの古着店やリサイクルショップで購入した、古着を複数組み合せて着用。奇抜な柄やデザインのアイテムを多数取り入れた、自由で個性的なスタイルが多かった。
12月の定点観測で取り上げた全身真っ白コーディネートや、赤リップ、作り込んだヘアアレンジなどのデコラティブなおしゃれの女の子、「パンクっぽく」「ハード コア」「ヒップホップ風に」など、音楽をテーマにコーディネートしている男の子が目立ったが、必ずしもこれらのジャンルの音楽が好きという訳ではなく、あ くまでも「ファッションのテーマ」として「消費」されている点が興味深い。
また男女ともに、アニメのキャラクターをモチーフにしたアイテムが多いのも特徴。「魔法少女まどか☆マギカ」や「新世紀エヴァンゲリオン」「あの日見た花の名前を僕はまだ知らない」などの缶バッジやマスコットを付けていたり、携帯の待ち受け画面に設定している人が非常に多く、ファッションとアニメが融合して浸透しているようすが伺えた。
特に注目したいのは、既製品をそのまま着用するのではなく、リメイクしていた点だ。古着や安価なSPAブランドの既製品を自分でクラッシュ加工したり、スタッズやバッジを付けたり、タイツやバッグに落書きを施すなど、自由な発想で作られたアイテムがたくさん。さらには、自分のブランドを立ち上げ、ネットや卸で手作りのアイテムを販売している人もおり、97年〜98年の「インディーズデザイナーブーム」の再来を感じた。
インタビューしてみると、「キタコレビルの商品は自由なところが好き」「何でもアリな感じがいい」「1点ものや、ここでしか買えないものがいい」などの意見が多く聞かれた。
ファストファッションに代表される大量生産・大量消費、そして、マーケットイン発想によるMD同質化に拍車のかかる現在のアパレル業界において、時代の空気に敏感な若者たちの間から、古いものやここにしかないものへの関心が高まっており、その結果、究極のオンリーワンである “セルフリメイク”がブームとなっているのだろう。
キタコレビルは、そんなクリエイティブマインドを持つ若者たちにとっては、ある種の聖地となっているようだ。
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