東京を中心に29店舗を展開する、スポーツサイクルショップの老舗ワイズロード。同店を展開する株式会社ワイ・インターナショナルが2011年10月、渋谷道玄坂沿いに「ワイズロード渋谷本館」をオープンした。
かつて「YAMAHA渋谷店」が入居していたビルの1Fワンフロアを使用する「渋谷本館」は約160坪。渋谷駅から徒歩3分、自転車でも比較的訪れやすい場所だといえるだろう。店内には海外/国産のスポーツサイクルが所狭しと並ぶが、通路も広く余裕のあるレイアウトになっている。
「スポーツ用の自転車に乗ってみたいという方が増えている一方、どんな自転車を買ったらいいのか分からない、という方も多いんです。スポーツサイクルは値段も高く、敷居が高いイメージもありますし、知識がないと入りづらい印象もある。だからこそ流行が生まれる、ファッションイメージが強い渋谷で、もっとスポーツサイクルの世界に入りやすい提案ができる環境を作りたいと考えていました」と、語るのは同店店長の宮島章さん。
何年も前から物件を探していたそうだが、渋谷はもともと大型物件が少ないうえに好物件はすぐアパレルが入居してしまうため苦戦。今回ようやく実現したという。また、同社ではもともと渋谷駅東口の雑居ビル地下に小型の「渋谷店」を出店していたが、今回の本館のオープンと共に「渋谷カスタム店」へと名称変更した。
この「渋谷本館」 がターゲットとするのは、これから乗りたいというビギナーから中級者、マニア層までの全てのユーザー。街乗りから山岳レース仕様の本格派まで、扱う商品の幅は実に広いが、同店ではマウンテンバイク/ロードバイク/クロスバイク/小径車(ミニベロ)/ピスト/BMX/トライアスロン/シクロクロス/ツーリングという9ジャンルにカテゴリー分けして提案している。
「渋谷本館」 ならではのサービスに、ランキング形式での商品紹介がある。ワイズロード全店の売り上げから出した売れ筋と、同社のジャンル別専門スタッフがリコメンドする商品をミックスしてランキング形式にし、店内のPOPで紹介するというものだ。
「各ジャンルの自転車本体と、ライトやスピードメーターなどの主要パーツに関して、月1回ペースで更新しています。我々スタッフはどうしても玄人目線になりがちですが、売れ筋という尺度と合わせることでお客さま目線をふまえた提案が可能になりました」(宮島さん)
これによりユーザーはまず自分自身で検討ができ、スタッフにコンタクトするきっかけにもなるだろう。商品の幅広さだけで終わらない、“分かりやすさ”が同店の大きな魅力だといえる。
また、店舗中央のカウンターに順番待ちの発券機を導入しており、番号順にショップスタッフが対応してくれる。一般的なユーザーとの接客には20〜30分はかかるというし、ただでさえじっくり話をしている専門店のスタッフには声をかけづらいもの。ビギナーにはなおのこと嬉しいシステムだといえる。
ショップには10〜12名のスタッフが常駐しており、中には外国人スタッフの姿も。店内には「ワイズテック」という作業スペースを設け、自転車の整備、修理を行なっている。ファッション好きの間で需要が増えているヴィンテージサイクルのオーバーホールやレストアにも対応しているそうだ。修理以外にも、指定のカラーでフレームをリペイントしたり、オリジナルデザインのロゴを入れるなど、細かいカスタム需要が増加しているのが最近の特徴だという。従来は走行パフォーマンスの向上を目指した軽量化がカスタムの主流であったが、ビジュアル面主体のカスタム需要が増えているということだろう。