東京世田谷区・下北沢のリサイクルショップ「NEW YORK JOE EXCHANGE(ニューヨーク・ジョー・エクスチェンジ)」(以下、「NEW YORK JOE」)が、幣サイト「定点観測」でも度々登場するなど、おしゃれ感度の高い若者を中心に人気を集めている。“リサイクルショップ”にも関わらず、同店で買うことや集うことが“おしゃれ”というようにブランド化しているが、それもそのはず。実は、同じく下北沢にある老舗ビンテージ古着店「HAIGHT & ASHBURY(ヘイトアンドアシュバリー)」(以下、「HAIGHT」)の姉妹店である。 「HAIGHT」 は以前弊サイトでも取り上げた、渋谷の古着店「BOY(ボーイ)」(取材記事はこちら)や、ビンテージとエッジーなセレクト品を揃える「CANDY(キャンディー)」と「Sister(シスター)」を擁する複合ビル「FAKE(フェイク)」(取材記事はこちら)を展開するなど、ファッション好きの若者にはカリスマ的存在だ。
「NEW YORK JOE」は、リサイクル品の販売や買取りの他に、客が持ち込んだ買取り商品と店内の商品を「トレード」できるシステムを導入しているのが、大きな特徴である。さらに、洋服やアクセサリー、靴などの全商品を1万円以下で販売するなど、独自性に富んだリサイクルシステムを提案。扱う商品のテイストもカジュアル、コンサバ、アウトドア、ギャル、モード、ビンテージ、ガーリーなど幅広く、ジャンルレスになっているのがおもしろい。
実は 「HAIGHT」 は20年以上前にも、買い付けのビンテージと共に、一般客の中古衣料の買取りを行っていたこともあったが、当時は消費一方の時代で構想をあたためることに。そして2010年、「八幡湯」という元銭湯の魅力的な物件に出会った際に、物が溢れ、リサイクルや古着の買取りが広く一般化した今なら、この50坪以上の広い立地で個性的なリサイクルショップができると判断。出店を決めたという。
店舗の内装は、電気工事以外は全てスタッフによるセルフビルド。空間づくりでも、脱衣所だった木の床、大浴場だったタイル床をそのまま活かすなど、銭湯の味を残して新しい店を生む「リサイクル、リユース」を意識した。店名を表したネオンやパステルカラーで塗られた壁や柱のポップさと、歴史を感じる床や天井の対比が独特な空間をつくっている。
コンセプトは、「老若男女関係なく、すべての人が“リサイクルドファッション”を気軽に楽しめる店」(店長/木村理宇さん)。
デザイナーズもビンテージも一切関係なく、商品すべてが1万円以下で売られており、平均は2,000円台。最高価格でも9,975円だ。タグを見てもパンツが1,470円、シャツが1,260円、「COMME des GARCONS tricot」の半袖ニットが1,890円、「Dr.Martens」の8ホールブーツが5,040円など、圧倒的に低価格である。買取りでは、査定価格(=店頭販売価格)を提示し、その30%の額を現金で支払う。商品にならないような状態・デザインのものでも、1kgあたり10円で買取ってリサイクルしており、持ち込んだもの全てを買取ってくれることも利用客にウケているようだ。
また、トレードでは、査定価格に対して、60%にあたる金額の同店の商品と交換することが可能だ。物々交換とも言えるこのシステムは、全ての人がより気軽にリサイクルファッションを楽しみ、積極的に取入れてもらうために導入したそうだ。