ここのところ、渋谷の公園通り周辺ではスケートボードに乗っていたり、スケートボードを抱えて歩いている男の子が急増している。街なかでトリックを練習している光景も非常によく見かけるようになった。
定点観測のインタビューをさかのぼってみると、2011年あたりから「趣味はスケートボード」と答える男の子たちが登場。2010年4月に世田谷公園にスケートボードランプが設置されたり、2011年4月に宮下公園にスケートパークが新設されたりと、スケートボードを楽しむ環境が整備されていることもあるが、ファッショントレンドとの関連性も少なからずありそうだ。
「90年代原宿のストリートファッションやアートが好きなので、当時のカルチャーであるスケートボードを始めました」という21歳の大学生の男の子。学校に行く時などに移動用として使っており、たまにスケートボードパークにも行くという。また、憧れの美容師の影響で1年前からスケートボードを始めたという19歳専門学校生の男性は「70年代に実在したスケートボードチーム・Z-BOYSをモチーフにした映画『ロード・オブ・ザ・ドッグタウン』の登場人物をイメージしてコーディネートを考えました」と、スケートボードがファッションのイメージソースになっていると答えてくれた。
彼らが着用しているのは、UNDER COVER(アンダーカバー)やNEIGHBORHOOD(ネイバーフッド)、soph.(ソフ)やBOUNTY HUNTER(バウンティハンター)など90年代〜00年代頭に人気だった裏原宿系ブランドや、SUPREME(シュプリーム)VOLCOM(ボルコム)などのスケーターブランド。パーカーのフードかぶりやキャップの後ろ前かぶり、ディッキーズのワーカーズパンツやハーフパンツ、足もとはライン入りのスポーツソックスにVANSのスニーカーという、典型的な王道スケータースタイルがそのまま再現されているのが特徴だ。
彼らの中にはスケートボードを始めるとともにがらりとファッションを変えたという男の子も少なくない。「スケートボードを始めてから、気合を入れないゆるっとした服装をよくするようになりました」という20歳大学生の男性は、古着を組み合せたグランジ風のファッションを上手に着こなしていたが、なんとスケートボードを始めるまではヒールブーツを履いたり、ヨーロッパヴィンテージ系のファッションをしていたというから驚く。