先月は今夏のボトムストレンド3種ということで、「男性/女性ショーツ」と「男性/女性スキニーパンツ」、そして「ベージュピンク・スカート」を取り上げたが、約1カ月が過ぎ、「男性/女性ショーツ」と「男性/女性スキニーパンツ」を着用していたトライブ(グループ)を中心に、さらにシンプルな白シャツ、白Tシャツになり、ストリートを席巻していたようだ。
さっそく着用率を渋谷、原宿、新宿の3地点で比較してみよう。
■渋谷地点(渋谷公園通り/パルコパート1前)
・男性 白トップス着用 22.8%(225人)/男性通行人数 985人
・女性 白トップス着用 16.7%(189人)/女性通行人数 1,132人
■原宿地点(表参道千疋屋前)
・男性 白トップス着用 18.5%(280人)/男性通行人数 1,511人
・女性 白トップス着用 23.3%(468人)/女性通行人数 2,005人
■新宿地点(紀伊国屋書店前)
・男性 白トップス着用 18.6%(252人)/男性通行人数 1,352人
・女性 白トップス着用 19.3%(278人)/女性通行人数 1,441人
注目されるのは、赤い数値のところ。つまり、ここ数年ずっと主張しているが、渋谷地点における男性のトレンド浸透率の高さ=渋谷の男性はおしゃれ感度が高い=おしゃれな人が多い、ということが今月もまた立証されたともいえよう。
では、どんな白トップスのスタイルが多かったのかを見てみよう。
・「LAセレブスタイル」の台頭 〜モードよりライフスタイル重視
まさに「渋谷=LA説」は健在。ショーツにロングスリーブのシャツをさらりと着こなすおしゃれ上級者は、原宿や新宿には少なかった。さり気なくロールアップした袖や右手に持ったスケボーなど、モードというよりもストリート、ライフスタイルな感じが今夏の気分。着用するアイテムはいわゆる80年代初頭のアメカジとも被るが、やや上品でヌケ感やリラックス感があるところなどは、アメリカ西海岸(LA)のセレブ風のスタイルといえる。
ちなみに、右手に持っているスケボーは、今夏ブレイク中のオーストラリアのPenny(ペニー)社のもの。70年代のスケボーを復刻したような素朴なデザインが人気のポイントのよう。
・コンサバをコスプレ?!
一方、女性に多かったのは、先月まではヌーディカラーを着用していたのでは、と思われる「コンサバミックス」なトライブの白トップススタイル。透け感やドレープ 感のあるシャツブラウスが人気で、首元までボタンを留めるスタイルは久しぶりだ。ボトムスやバッグ、靴など全身をワントーンで揃え、タトゥータイツや赤いリップスティックをアクセントにするなど、「コンサバファッション」を90s生まれの「コスプレ世代」がコスプレしたような印象も。
ギャル系に多かったのがオフショルダー気味のルーズなカットソーにショーツを合わせるスタイル(写真右)と、ルーズなシャツブラウスをパンツにインしてジャストウエストにするスタイル(まんなか)。
・「ファッション、衣服」から「身体」へ
おそらくモデルと思われる女性(左)。健康的な小麦色の肌が美しく感じられるのも久しぶり。LA風といってしまえばその通りだが、「美の価値観」が、ビューティだけでなくヘルシーが不可欠になっていることを表しているともいえる。
また、白Tシャツとデニムというミニマルなスタイルが支持される背景には、断捨離的な時代感や、外見よりも内面への関心への高まりを予感させる。それは、ちょうど80s的な価値観から90s的な価値観へと転換した時期とも重なり、00年代の“大衆化するIT消費”にみられるような、過剰に情報化されたトレンドやスタイリングへの、無意識のアンチテーゼのようにも映る。
・スケボー人気=90sストリートカルチャーの復権
少し前に記事として紹介しているが、今月はさらにスケボーを抱える男子が増えていた。今、スケボーが流行る理由に、90sにスケボーを楽しんだ今の30代が、90s生まれの若者にその楽しみをファッションとともに伝導している、という情報の供給側と受容側の関係性があることを指摘したが、90s当時と異なるのはその装いだ。
・オーガニック系女子のファッションはトレンドからスタイルへ
今年だと「Olive展」にも行きそうな「オーガニック系女子」の夏の定番スタイルといえば白い麻やコットンのチュニックスタイルだろう。写真は+黒ボトムでややモード感が感じられるが、素材や風合いを重視するこのトライブのファッションは、ヨーロッパのマダムのように、トレンドではなく、スタイルとして定着したともいえる。
※その他、各地点の白トップスファッションは、下記からどうぞ。
■OVER VIEW
www.web-across.com/observe/cnsa9a0000090tsw.html