セレクトショップとカフェ&ラウンジ、ギャラリー、さらに撮影スタジオなど、使うシーンに合わせてコンテンツが変化していくプロジェクト・ショップ「IDOL(アイドル)」が港区青山に8月5日オープンした。骨董通り沿いにある「Café & Meal MUJI(カフェ&ミール ムジ)南青山」に隣接したビルの地下1Fの1フロアで、延床面積約500平方メートル。複合した機能を活かしてクリエイターとのコラボレーション企画やファッションイベント、アートの展示など多様なクリエイティブを発信する。
セレクトショップ機能を持つ「ストア」では「DRESSEDUNDRESSED(ドレスドアンドレスド)」「G.V.G.V.(ジーヴィジーヴィ)」といった東京ブランドに「Ann Demeulemeester(アン ドゥムルメステール)」や「A.F.VANDEVORST(エーエフ ヴァンデヴォースト)」など、ハイファッションブランドをメンズ/ウィメンズで展開する。また今回はショップ・イン・ショップとして、ニューヨークのファブリックケアブランド「THE LAUNDRESS(ランドレス)」の洋服クリーニングサービス「THE LAUNDRESS CLEANING LAB. TOKYO(ザ ランドレス クリーニングラボ トウキョウ)」のコーナーも設けられていた。
店内中央には、ヨーロッパやNYのアンティークファニチャーで構成された、ランチからディナーまで楽しめるデイリーレストランが広がる。地下フロアながら入口からは自然光が入り、高い天井とオープンな作りもあって居心地のよさそうなスペースだ。営業時間は月〜木・日曜は23時、金・土曜は26時までと、幅広いシーンに対応が可能。
また奥に広がるフロアはフレキシブルに使うことができる多目的な空間。ギャラリースペース、ラウンジ、撮影スタジオなど用途に応じてアレンジすることができ、発信する内容とともに姿を変えていくというから面白い。無骨な雰囲気の金属製シャッターで空間を間仕切りすることも可能で、まだ新しい建物ながらリノベーション物件、そしてNYのソーホーに立ち並ぶ倉庫街のような雰囲気も漂っている。
IDOLのディレクションを手がけるのは、クリエイティブ・ディレクターの畑仲英司さん(32)。CIBONE(シボネ)でイベントの企画、内装設計デザインに携わった後、フリーランスでグラフィックやプロダクトデザイン、展示会の内装、ファッションスタイリストと幅広く経験。その後、トランジットジェネラルオフィスのブランディングチームで「THE LAUNDRESS」やショッププロデュースに携わった後、2011年に独立。
畑仲さんが掲げるIDOLのコンセプトは「ANOTHER ONE」。セレクトショップでもギャラリーでも飲食店でもない何か違う場所でありたい、という畑仲さんの10年来の構想が実現する形となった。
「お客さんとコミュニケーションをしていくために、分かりやすく伝えることも大切なんですが、一言で説明しきれないような、行ってみないと分からない、ということも今の時代では大切だと思うんです。もっと生々しい、表現者たちのリアルな表現をここから生み出していければと思っています。いろいろなジャンルの表現者たちが作品や表現を持ち寄ってパワーを発信する、“お店”というよりは“サロン”のような人が根付く場所にしていきたいです」(畑仲さん)