2012年7月にスタートした、読者モデルや服飾系学生などのおしゃれ女子が「スタイリスト」として男性の洋服を選んでくれる購入代行サービス「bmool (ビモール)」。開始直後からネットで注目を集め、アクセスの集中でサーバーがダウンするという派手なスタートを切った。2012A/Wシーズンを経て、ランニングファッションに特化した「bemool run」や無料コーディネート診断などの新サービスやコンテンツを加えている。この代行サービスに寄せられる男性たちのニーズやその実態はどのようなものなのかを取材した。
オーダーの受付はWEB上での登録後、「スタイリスト」とのメールのやりとりによって行われる。ユーザーは氏名と年齢、住所などの基本情報に加え、身長と体重、よく買う服や靴のサイズ、体型などの身体スペック、服の購入頻度などの情報を登録していく。
さらにユーザーはコーディネートのスタイルとアイテム(例:ジャケット+シャツ+パンツ)、予算と希望のスタイリストをオーダーする。ただし、担当スタイリストは必ずしも指名通りにはならないという。
商品は、予算とユーザーの希望をもとに担当スタイリストがショップまで出向いて選び、購入する。 ショップやアイテムの選定も、基本的にはスタイリスト自身が組み立てているのである。
1回のオーダーごとに支払われる手数料は5,000円で、ここに送料や衣服購入のための交通費も含まれる。 コーディネートした商品はまとめて梱包され、着こなしメッセージとともにユーザーのもとへ届けられる。オーダーから商品到着までの時間は約1週間から2週間だ。
ユーザーの希望を微妙なテイストまで読み取るのは難しいところだろう。スタイリスト側からユーザーに対して、普段着用しているファッションの傾向といった詳しい質問をメールでやりとりするなどして、擦り合わせをしている。事務局内で協議することもあるそうだ。
「私の場合、だいたい2〜3回メールのやり取りをしてから実際の購入に移ります。予想していたよりも作業は大変でしたが、ファッションは好きなので私自身も楽しんでいます。お送りしたコーディネートを着た写真をメールで送っていただいたり、奥様に見せたらとても喜ばれた、なんて知らせていただくとやはり頑張ってよかったと思えるし、嬉しいですね」
と語ってくれたのは「スタイリスト」の宮森渚朝さん。雑誌「AneCan」の読者モデルとしても活動し、自身のブログでもbemoolでの仕事ぶりを公開している。
bemoolを運営するGreen rompは、アプリ開発などを手がけていたネットベンチャー企業だ。1つ1つのオーダーに丁寧に向き合わければならないbemoolの購買代行サービスは、アナログかつ感覚的な作業で成り立っており、同社の手がける事業としてはむしろ意外な印象を受ける。2011年に広告代理店から独立、同社を立ち上げた代表の野田貴大さんに、このサービスをスタートした経緯について聞いてみた。
「ITベンチャーの会社を立ち上げた頃、ファッション通販サイトでカジュアル服を買ってみたんです。それを着てオフィスに行ったら、これがすごく社内のスタッフに不評だったんですよ(笑)ネット通販で服を買う人は増えていますが、ショップで店員のアドバイスを聞きながら服を選ぶようなことは不可能ですし、センスに自信のない人は服選びが難しい。周囲には忙しくて買い物に行く余裕がないという人も多かったし、これは需要があるのでは、と思ったんです」