ここ数年、アニメやコミックのキャラクターが、『pen』や『BRUTUS』『装苑』『SPUR』といった雑誌の表紙を飾る機会が増えている。2009年の「機動戦士ガンダム30周年」を皮切りに、2012年は「サイボーグ009」や「宇宙戦艦ヤマト2199」などの名作のリメイクが続いているのに加え、「タツノコプロ50周年」「マクロス30周年」などのアニバーサリーイヤーが重なっているだけでなく、ファッション系のコンテンツとも結びついて消費されるケースも目立つ。
かつては子供やオタク向けのコンテンツとして、あくまで限定されたターゲットに向けられていたアニメや特撮だが、全国各地の美術館や百貨店でここまで頻繁にイベントが催されているのは、これまでにない現象といっていいだろう。
さらに、動員イベントや装置という一過性の動きから進化し、2012年9月には渋谷パルコが1フロアをアニメやマンガを含む“サブカルフロア”を編集。「シプヤポップマーケット」としてオープンした。
なぜ、今アニメ&マンガなのか。ということで、アニメを軸として世代やメディア、カルチャーなどの視点を3つのディケイドに渡ってチャート年表化した(PDF版にてご覧ください)。では順番にみてみよう。
80年代はアニメに耽溺する大人はオタクというレッテルを貼られ、偏った趣味の一団として分類されていた(オタク第一世代)。少年/少女向けに作られたアニメ作品をマニアックに読み込むことがオタクの楽しみ方の一つであった。
これが90年代に入ると、宮崎駿/スタジオジブリが大人の鑑賞にも耐えうる作品を相次いで世に出したことで、親子で楽しめるカルチャー・コンテンツとしてのアニメ作品が増えはじめる。名作「ルパン三世」のアニメーション監督としてであった頃の宮崎作品とともに成長してきた60〜70年代生まれの世代が子供を持つようになると、アニメはかつてのような“子供につき合って観る”ものから“子供とともに楽しむ”ものが増えてくる。
海外からは、ピクサー社のアニメが同じような楽しみ方ができる作品として上陸。国内では、若手俳優を拝することでママ世代と子供を同時に取り込んだ一連の平成仮面ライダーシリーズも、“親子同時鑑賞対応”を進めたことで支持層の拡大に成功した事例だ。