NORTH VILLAGE BOOKS & SHISHA(ノースヴィレッジブックス&シーシャ)
2013.01.22
その他|OTHERS

NORTH VILLAGE BOOKS & SHISHA(ノースヴィレッジブックス&シーシャ)

都内でシーシャ(水タバコ)専門店が急増中。
本を片手にシーシャが吸える極上に自由でユニークな本屋

代表の北里洋平さん。船出をイメージした会社のロゴマークを背に。
店内にはNORTH VILLAGEの書籍を中心に、エッセイや漫画などユニークな本が並ぶ。
北里さんが27歳の時に出版した自伝本「若きサムライ、その声を聞け」(右)、高橋歩著「夢は逃げない。逃げるのはいつも自分だ。」(左)
シーシャは1回1,000円〜。アップルやピーチ、チョコレートやテキーラサンライズなど、スイーツやカクテルなどの多種多様なフレーバーを揃えている。
一般的にフレーバーと呼ばれる水タバコの葉。刻んだタバコの葉に香料と糖蜜などを加えて半ペースト状にしたもの。

 

かつて小規模なアナログレコード店が林立していた渋谷区宇田川町。特にオルガン坂周辺は有名店が集積していたが、05年以降、音楽のネット配信とネット通販が拡大するとともに相次いで閉店。現在では雑貨店や飲食店が急増しすっかり様変わりしている。

そんな宇田川町オルガン坂に、「NORTH VILLAGE BOOKS & SHISHA」(ノースヴィレッジブックス&シーシャ)がある。まるでツーリスト向けの看板のような「SHISHA & WiFi」と描かれた案内板が目印の同店は、自伝を中心とした書籍を発行する出版社「NORTH VILLAGE」が2012年7月にオープンした水タバコカフェ&書店である。約9坪、20席ほどの空間には、シーシャのパイプを手にした等身大エルヴィス・プレスリーの人形が置かれ、壁の棚には、窪塚洋介や高橋歩らの自伝本が並んでいる。

「音楽を聴きながら本を片手に、足湯・足つぼマッサージを受けつつ、美味しいシーシャ(水タバコ)が吸える。これって最高じゃないですか!?」と語るのはNORTH VILLAGE代表取締役の北里洋平さん(32)。

北里さんは2008年、27歳の時に自身の自伝本を出版した事をきっかけに、“自伝家による自伝家のための、自伝中心の出版社”として(株)NORTH VILLAGEを設立。著者とともに旅をしながら本を作るというスタイルで自伝本を刊行し、同時に都内、近県でリサイクルショップを運営している。

もともと埼玉県大宮市の自宅近くで、事務所兼打合せスペースとしてカフェ&バーを営んでいたが、仕事上、利便性の高い東京への移転を決めたという。候補地として北里さんが思い至ったのが、高校生の頃アルバイトをしていていた渋谷だった。

「小学校6年生から南米チリで暮らしていて、17歳で帰国したんですが、その時に人生で初めて渋谷を歩いて、何ておもしろい街なんだと衝撃を受けました。なので、僕にとって特別な場所である渋谷に店を出したかったんです。当初はなかなかいい物件が見つからなかったんですが、歩き回って偶然ここを見つけました。センター街よりマイペースで多国籍のお客さんが来店してくれる理想的な場所でしたね」(北里さん)。

自社の本を販売している他の大きな特徴はやはりシーシャである。窪塚洋介さんの自伝本『放浪』を制作するために行ったエジプトでシーシャに魅せられ、店で提供することを決めたという。

 

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書籍の他、シーシャ関連グッズやフレーバーも購入可能。週末にはマッサージの施術も行っている。
スチームストーンは石に付着したフレーバーの液体を炭で熱し、蒸気を吸う珍しいシーシャ。タバコの葉を使わないため完全にニコチンフリー。
同店のシンボルとなっているエルヴィスプレスリー人形。同社ではリサイクル業を行っており、店内のインテリアを購入することができる。
東急ハンズから徒歩1分。
シーシャを吸いながらボブ・マーリー+アリを描くペインターのchigusaさん。
同店が出店したゴールデンビルは、かつてはレコードショップが多数入居していた物件。現在は民族雑貨店や古着屋などが出店している。
シーシャ(水たばこ)は、専用パイプを使って煙を水にくぐらせて吸う中東でポピュラーなタバコである。宗教的に飲酒が禁じられているイスラム諸国では、嗜好品としてコーヒーを飲みながらシーシャを吸い、ゆっくりくつろぐ文化がある。近年の欧米諸国でのブームを受けて日本でも注目されており、都内でもシーシャを提供する店が増加。一般的に甘いフレーバーのものが多く、見た目以上に親しみやすいものとして認知されつつある。

「タバコは1本につき5分くらいで吸い終わってしまうけれど、シーシャは1回吸うのに1〜2時間かかります。エジプトでは仕事の途中、本当にそれくらいゆっくり休みますからね。せかせかしないで、自分の時間や仲間との時間を楽しむんです。タールがなくてニコチンもほとんど摂取しないので、女性にも人気です。腹式呼吸するので血行がよくなったり、リラックス効果もあるんですよ」(北里さん)。

同店では、フルーツやミントなどメジャーなフレーバーの他、レッドブルやコーヒーなどの珍しいフレーバーや石に香りづけしたスチームストーンなども扱っており、ミックスして楽しむこともできる。シーシャの吸引器や店内の椅子やテーブルも購入可能。缶や瓶でソフトドリンクを提供しており、土日にはハンド・肩・台湾式足ツボのクイックマッサージを受ける事ができる。

客層は、NORTH VILLAGEが出版した本の読者やtwitterで知った人などが中心。男女半々くらいの比率で来店するという。

「今後は、こういった拠点を国内外に増やしたいですね。シーシャ、家具、スタッフのユニフォームなど、最終的に自分たちで使うモノは全部オリジナルのものをつくりたい。店内に壁画を描いて気に入ったキャラを書籍化したりグッズ化したりもしたいです」と北里さん。好奇心の赴くままに、持ち前の実現力でかたちにしていくことだろう。

これまで日本ではシーシャは馴染みが薄く、80年代に増えたエジプト料理店、トルコ料理店などでシーシャを提供する店が僅かに存在していた程度だった。しかし、先にも述べたように2011年あたりから都内でシーシャを提供する店が増えている。高円寺/渋谷のCafe Layla(カフェレイラ)、下北沢のSISHA(シーシャ)、渋谷区初台のSABBATH(サバス)など、シーシャをメインにした業態が相次いでオープン。喫煙というよりリラクゼーションに近い感覚で日常的に通う常連客も多く、限られたスペースでシーシャを吸う事で「何のフレーバーですか?」というような会話が生まれやすい事からコミュニティが形成されるケースが多いようだ。極めてローテクな新しいコミュニケーションツールとして、シーシャが浸透し始めているといえそうだ。

取材・文:小林 沙友里(フリーライター)+ACROSS編集部

NORTH VILLAGE BOOKS & SHISHA(ノースヴィレッジブックス&シーシャ)

〒150-0042
東京都渋谷区宇田川町4-10 ゴールデンビル1F
電話:03-3461-1063
営業時間:16-24時(金土は始発電車の時間まで営業)
http://www.shisha-shibuya.com/


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