ブック・コーディネーターの内沼晋太郎さんと博報堂ケトル代表にして雑誌『ケトル』編集長の嶋浩一郎さん。本好きの注目を集める2人がプロデュースした本のセレクトショップが下北沢の「本屋 B&B」だ。オープンは2012年7月。この店独特の棚構成や毎日店内でイベントを開催する発信力などから、本に関わる人々から広く支持を集めている。
小田急線/井の頭線下北沢駅から徒歩1分のビル2Fという便のいい立地。店内の家具や照明はサイズも形も不統一で、そのためか店内には書店というよりもアンティーク系輸入雑貨ショップのような雰囲気が漂う。白くフラットな照明が一般的な書店の店内だが、日中には自然光も入るB&Bの店内はカフェのようでもある。カウンターにはビールサーバーが備え付けられており、客はビールを飲み歩きながら本を探すことができる。店名の「B&B」とは「BOOK&BEER」なのである。
売場でお客にビールを飲ませると本が汚れるのではないか、と思うのが一般的な書店の考え方だろう。しかし嶋浩一郎さんはこう考えている。
「飲みに行った後、本屋さんに行くと楽しいじゃないですか。リスクよりもビールを飲みながら本を選べた方がお客さんにとっていいサービスになるんじゃないかという気持ちの方が大きかったんです」街の書店を目指しながらも、既存の書店には見られない試みが盛り込まれているのがB&Bの魅力である。
棚の構成は内沼晋太郎さんならではの「文脈棚」。スタッフ全員が選書に携わっている。出版社や著者、書名、ジャンルという分類でも、単行本/文庫/雑誌といった形状でもない。本や著者、その内容などの「繋がり」をベースに編集した構成になっているのが最大の特徴である。旅行や料理、クルマなどという“テーマくくり”の棚を構成する書店やブックカフェは他にも存在するが、B&Bの棚には文学や生物など、とても非効率的なジャンルのテーマにもスペースを割いており、内沼さんやスタッフのパーソナルな関心や美意識が反映されているように感じられる。
店内の本棚、机、テーブルなどのインテリアにはすべてタグがつけられており、商品として販売もしている。北欧インテリアを扱うショップ「KONTRAST」(東京都目黒区)のB&B内支店「KONTRAST.koncept」として位置づけられており、取り扱い商品はKONTRASTのウェブからもチェックできる。
ほかにも内沼さんがプロデュースする「本のある生活」を楽しむためのブランド「BIBLIOPHILIC(ビブリオフィリック)」の雑貨の販売や、代々木ヴィレッジのブックショップ「POST(ポスト)」(東京都新宿区)の出張所として商品の一部を取り扱うなど、本とその周辺でさまざまな「協業」が行われている。
ほかにも内沼さんがプロデュースする「本のある生活」を楽しむためのブランド「BIBLIOPHILIC(ビブリオフィリック)」の雑貨の販売や、代々木ヴィレッジのブックショップ「POST(ポスト)」(東京都新宿区)の出張所として商品の一部を取り扱うなど、本とその周辺でさまざまな「協業」が行われている。
東京の本好きの間で絶えず話題になっている印象のあるB&Bだが、その原動力となっているのが店内で毎日開催されるトークイベントだ。特に新刊のプロモーションに限定せず、内容は多岐にわたっている。