N°(エヌ)
レポート
2013.01.18
ファッション|FASHION

N°(エヌ)

メンズライクでシンプル・ミニマルだけど“気が利いた”
東京発のレディースブランド『N°(エヌ)』がデビュー

カットソーはメンズ専門の生地屋と開発した、オリジナルの生地を使用しているというこだわりで、7,000円〜1万円前後。女性ならではの首や鎖骨のラインを美しく見せるデザイン。
ブランドの世界観を表現した写真は、写真家ニック・ナイトに師事した根岸栄介氏が撮影。
一見シンプルに見えるが、素材やディテールにこだわった、”気がついたらいつも着ている”服作りを目指す。
可動式の什器を採用しており、テーマやシーズンによって様々な空間演出が可能に。
デニムを脱色加工した、ツートンデニム。微妙な白のニュアンスを表現した。
 
最先端のトレンドアイテムを低価格で提供するファストファッションが若者を中心に支持されて久しいが、そんなファストファッション人気を経た今、質が良く長く着られる定番アイテムを求める動きへとトレンドがシフトしている。
 
そんななか、昨年9月にデビューしたレディスブランド「N°(エヌ)」は、適度なトレンド感を取り入れながらもシンプルでミニマルなスタイルで注目を集めている運営はrooms17(ルームスイチナナ)『エヌ』は、同社代表取締役社長兼ブランドディレクターの金森麻紀さん(28歳)が、デザイナー森彩乃さんと立ち上げた新ブランドで、同時に裏原宿エリアにオンリーショップをオープンした。

コンセプトは、自分のスタイルを持つ女性のための”リアルスタンダード”。ブランド名は、いつの時代にも世界共通で使われ、不変的な価値を持つNumber(数字)から名付けたという。

「一見シンプルに見えて、素材やディテールにこだわった、着心地が良いものが好き。ミニマルでシンプル・メンズライクなスタイルをベースに、素材使いやラインで女性らしさを落とし込む。”気がついたらいつも着ている”といわれるような、着た人の定番になる服を目指しています。ユニセックスというよりは、ノーセックスな感じというか」(金森さん)

金森さんは大学在学中から販売員を経験し、その後大手アパレル企業にて企画、営業、マーケティング、MDなどを担当。「昔からブランドを立ち上げるのが夢で、同時にショップを出したいと考えていた」と、独立を目指していたちょうど28歳となる12年2月に退社し、5月に同社を設立した。某IT系企業の若者向けの起業支援プロジェクトのコンペに通過したことから、起業・出店に至ったという。

パートナーの森さんとの出合いは5〜6年前。同じ会社で販売員をしていた森さんと意気投合し、「感覚が合うと感じて、いつか何か一緒にやりたいと考えていた」と金森さん。フェミニンなデザインも得意という森さんは、同ブランドではシャツ・ワンピースなどのアイテムを中心に手がけている。

店内は洋服が引き立たせるため、白色で統一。コンクリート打ちっぱなしの無機質な空間に、トーンが異なる塗装と異素材を組み合わせ、独自のニュアンスを加えている。ブランド観を表現するビジュアルにもこだわり、ルックは写真家ニック・ナイトに師事した根岸栄介氏に撮影を依頼。店内に写真パネルを展示し、トータルでブランドの世界観を演出する。

「ネット通販で手軽に洋服が買える時代ですが、ウェブで目を留めてもらうには、いいものであってもインパクトのあるデザインが必要になります。だからこそ、シンプルな『エヌ』は店舗やビジュアルを含めた世界観を大切にしたいと思いました」(金森さん)。
 
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男女共に人気が高いというメンズライクなロングジャケット。肩から落ちるラインのきれいさで女性らしく見せた。
シューズやアクセサリーの小物類は、ACNE(アクネ)等のインポート品を扱う。こちらはイタリアのブランド、Pollini(ポリーニ)。
アクセリーも甘すぎないものをセレクト。
裏原宿に位置するショップは、以前メンズブランドThe Viridi-anne (ザ ヴィリディアン)があった場所。原宿の喧騒を抜けた落ち着いた立地だ。
同社代表取締役社長兼ブランドディレクターの金森麻紀さん。
アイテムは、厚めのリブ加工の生地を使いつつ、ショルダーを落としたデザインで女性ならではの首や鎖骨のラインを美しく見せるフライスのカットソーや、ニット・サテン・スウェットと3種の素材を組み合わせたプルオーバー、脱色加工によるツートンカラーのデニムなど。上質素材にメンズライクな加工で遊びを持たせながらも、シルエットで女性らしさを表現する。また、カットソーはメンズ専門の生地屋と開発した、オリジナルの生地を使用しているというこだわりも見せる。中心価格帯は、カットソー7,000円〜1万円、ニット1万5,000円〜2万3,000円、ワンピース1万8,000円〜、デニム2万円〜3万円程度。

こだわって作った質の良い服を若い人にも着てもらいたい。だから、ブランド感は大事にしながらも、若い人でもちょっとがんばれば手が届くくらいの価格設定を意識しています。セレクトショップのオリジナル程度のプライスで、東コレブランドとリアルクローズのちょうど中間を狙った」(金森さん)と話すように、優れたクオリティとブランド感、価格が揃っているのも『エヌ』の魅力だ。

そのほか、金森さんが洋服の世界観に合わせてセレクトした海外のアクセサリーや小物、靴もラインナップ。知人のインポーター/バイヤーを通して買い付けることもあるが、良いと思ったものには自らコンタクトを取り、体当たりで交渉をするという。取り扱いブランドは、シューズは「ACNE(アクネ)」(スウェーデン)、「CINZIA ARAIA(チンツィアアライア)」や「ViC MATiE(ビックマティー)」(ともにイタリア)、アクセサリーは「VIEKA BERGSTORM(ヴィヴェカ・バーグストロム)」(パリ)、「JEROME DREFUSS (ジェロムドレイファス)」(パリ)、バッグは「Khirma Eliazov(ヒルマエリアゾフ)」 (ニューヨーク)など。

コアターゲットは20〜30代の女性だが、男女比は4:6程度で、20代前半のファッション好きの男性が来店して購入するケースも多く驚いたそう。メイン客層は20代後半から30代前半の女性。ファッション関係者や服飾系の専門学校生のほか、『ELLE online』や『Fashionsnap.com』などのファッション系ウェブサイトを見て来店する人、周辺の買い物中に立ち寄る人も多いという。裏原宿エリアに出店した理由は、「そこにしかない店がたくさんあり、学生の時から通った憧れの街だったから」と金森さん。

「最近はブランドを気にせずにトレンドのアイテムをファストファッションで揃える人が多く、がんばって洋服を買う人も減ってきたように思います。でも、やっぱりいいものは近くで見ると違いが分かると思うんです。実際に見て着て、店員さんの顔を見て買う。そうやって、若い人がいいものを知るきっかけになれば」(金森さん)

今後は、洋服だけでなく「冗談のようにかわいい、持ち歩きたくなる」がコンセプトのファッションコスメブランド「j9−ジョーク−」を展開するほか、グラフィックデザイナーや写真家などとコラボレートしたアイテムなども展開予定という。

【取材・文:渡辺マキコ】
 

N°(エヌ)

東京都渋谷区神宮前3-26-2 NS-T Bldg 1F
12:00〜20:00
03-5785-1713
http://n-rooms17.com/




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