最先端のトレンドアイテムを低価格で提供するファストファッションが若者を中心に支持されて久しいが、そんなファストファッション人気を経た今、質が良く長く着られる定番アイテムを求める動きへとトレンドがシフトしている。
そんななか、昨年9月にデビューしたレディスブランド「N°(エヌ)」は、適度なトレンド感を取り入れながらもシンプルでミニマルなスタイルで注目を集めている。運営はrooms17(ルームスイチナナ)。『エヌ』は、同社代表取締役社長兼ブランドディレクターの金森麻紀さん(28歳)が、デザイナー森彩乃さんと立ち上げた新ブランドで、同時に裏原宿エリアにオンリーショップをオープンした。
コンセプトは、自分のスタイルを持つ女性のための”リアルスタンダード”。ブランド名は、いつの時代にも世界共通で使われ、不変的な価値を持つNumber(数字)から名付けたという。
「一見シンプルに見えて、素材やディテールにこだわった、着心地が良いものが好き。ミニマルでシンプル・メンズライクなスタイルをベースに、素材使いやラインで女性らしさを落とし込む。”気がついたらいつも着ている”といわれるような、着た人の定番になる服を目指しています。ユニセックスというよりは、ノーセックスな感じというか」(金森さん)
金森さんは大学在学中から販売員を経験し、その後大手アパレル企業にて企画、営業、マーケティング、MDなどを担当。「昔からブランドを立ち上げるのが夢で、同時にショップを出したいと考えていた」と、独立を目指していたちょうど28歳となる12年2月に退社し、5月に同社を設立した。某IT系企業の若者向けの起業支援プロジェクトのコンペに通過したことから、起業・出店に至ったという。
パートナーの森さんとの出合いは5〜6年前。同じ会社で販売員をしていた森さんと意気投合し、「感覚が合うと感じて、いつか何か一緒にやりたいと考えていた」と金森さん。フェミニンなデザインも得意という森さんは、同ブランドではシャツ・ワンピースなどのアイテムを中心に手がけている。
店内は洋服が引き立たせるため、白色で統一。コンクリート打ちっぱなしの無機質な空間に、トーンが異なる塗装と異素材を組み合わせ、独自のニュアンスを加えている。ブランド観を表現するビジュアルにもこだわり、ルックは写真家ニック・ナイトに師事した根岸栄介氏に撮影を依頼。店内に写真パネルを展示し、トータルでブランドの世界観を演出する。
「ネット通販で手軽に洋服が買える時代ですが、ウェブで目を留めてもらうには、いいものであってもインパクトのあるデザインが必要になります。だからこそ、シンプルな『エヌ』は店舗やビジュアルを含めた世界観を大切にしたいと思いました」(金森さん)。