都心部の移動手段の1つとして定着しているのと同時に、ライフスタイルとしてもある種のトライブが確立しつつある自転車。そのことを象徴するような自転車のセレクトショップ「charifuri(チャリフリ)」が2012年11月にオープンし、人気をよんでいる。
運営元は、サイクルアパレルの注目株である「narifuri(ナリフリ)」を展開する株式会社narifuri。商品は、ブリヂストンサイクル社との協業開発によるバイク「HELMZ(ヘルムズ)」と、子ども向けのキッズバイクに特化し、ヘルメットやライトなどの基本的な自転車アイテムをはじめ、「narifuri」の小物やサイクルジャージなども揃う。
場所は、渋谷駅と恵比寿駅のちょうど中間で、旧東横線とJRが交差するところにあるビルの1階。既に2階にオープンしている「narifuri」と併設することで、同社が掲げるコンセプト“fashion + bicycle”の世界観を具体的に表現することに成功したといえる。
もともと自転車ユーザーである同社オーナー兼デザイナーの小林一将さん(34歳)は、海外の大学を卒業後帰国し、コレクションブランドを展開するアパレル企業で生産管理や営業、PRなどの経験をもつ。あるとき、日本で自転車に乗る人が急増していることに着目。その光景から動きやすい洋服への将来的な需要を見込み、自身も乗車時の服装に不便さを感じていたことから、2007年にデザイン性と機能性を備えたファッションブランド「narifuri」を立ち上げた。
サイクルショップをはじめ、CIBONE(シボネ)やTODAY’S SPECIAL(トゥディズスペシャル)など順調に卸し先を増やしてきた同ブランドは、2011年8月に現住所に直営店をオープン。当時からサイクルショップも展開することを視野に入れていたため、1〜2階の2フロアを賃貸契約し、1階を事務所として活用していたそうだ。
そんな「narifuri」とブリヂストンサイクル社の出会いは、2008年にまで遡る。当時新たなバイク構想を持っていたブリヂストンサイクル社が「narifuri」のコンセプトに共感したことから、2009年には共同開発がスタート。“実用性に見た目の良さを加える”という開発テーマのもと、小林さんがメインフレームのデザインに携わり、2010年以降、厳選したサイクルショップにて販売してきたという。
「街乗りの自転車というと、ある意味『なんでもいい』と思われがちですが、街なかは一見平坦に見えるようでも、案外凸凹しているところが多く、段差もあり、実は自転車がタフでないと快適に走れません。高級なロードバイクもあれば安いママチャリもありますが、自転車はシーンに応じた“ちょうどいいもの”があるんです。街乗り用にもちょうど良い機能を持つ自転車があるということを提案していきたいですね」(charifuri店長/福永弦生さん)。